見出し画像

ランピースキン病が福岡・熊本で発生。大至急対策を!人に感染しません

11月6日に福岡でランピースキン病が発生しました。「ランピースキン病」は牛だけが感染するウイルス性疾患で、人は感染しません
さらに、11月11日に熊本県の乳用牛飼養農場での発生と、福岡県内で乳用牛・肉用牛飼養農場で3例目の発生が確認され、国内の発生数は計4事例となりました

死亡率は10%以下とされますが、牛への感染を防ぐためにすぐに実施することが多数あります

感染が拡大すると牧場の経営が苦しくなり、また日本の場合は獣医が自殺するなどの不幸につながりやすい


農水省のホームページに詳しいですが、情報がpdf形式なのでこのページにできるだけ内容を開きました
牧場関係者は後半の韓国のニュースもぜひご覧ください

消毒剤一般のランピースキン病ウイルスに対する効果

🔵 エーテル (20%)、クロロホルム、ホルマリン (1%)、一部の洗剤 (ドデシル硫酸ナトリウムなど) に影響を受けやすい
🔵 フェノール (2%/15 分)、次亜塩素酸ナトリウム (2~3%)、ヨウ素化合物 (1:33 希釈)、Virkon® (2%)、第四級アンモニウム化合物 (0.5%)、一部の洗剤 (ドデシル硫酸ナトリウムなど) に影響を受けやすい

農林水産省のホームページをご覧ください


「国内におけるランピースキン病発生に伴う防疫対策の徹底について」のpdfにどのように対応すると良いか書いてあります

こちら↓からもダウンロードできます

ポイント


✅:蚊、サシバエ、ヌカカ等の吸血昆虫(合わせてベクターと呼ぶ)による機械的伝播に より感染が成立すると考えられていることから、平時から害虫の防除を行うために殺虫剤の散布その他必要な措置を講ずる

✅:感染した牛の移動により感染拡大するおそれがある

✅:本病ウイルスが付着した飼養器具等の持込みが感染の原因となるおそれがあることから、他の畜産関係施設等で使用し、又は使用したおそれがある飼養器具等は、原則として農場内に持ち込まないこと

✅:血液を介して本病の感染が成立する報告もあることから、注射針、人工授精用 器具その他体液(生乳を除く。)が付着する物品を使用する際は、1頭ごとに確 実に交換又は消毒を実施すること

ランピースキン病の治療

現在、公的にランピースキン病に有効とされる治療薬はないようです
確立されていませんので異論があるあもしれませんが、イベルメクチンが有効であるという報告があります

イベルメクチン

イベルメクチンは、ランピースキン病ウイルス(99.82%阻害)および羊痘ウイルス(99.87%阻害)のin vitro複製段階を強力に阻害します
ランピースキン病ウイルスを2.5μMイベルメクチンで処理すると、付着、浸透、複製段階で感染性ウイルス粒子の数が減少しました
治療目的で使用できると考えられます
Yesilbag et al. 2021; Toker et al. 2022
イベルメクチンは、ランピースキン病 の予防として、1% s/c で 1 ml/50 kg または 0.2 mg/kg を 10 日間に 1 回投与することができ、ウイルスの増殖を防ぐために 3 回注射することができます
感染した動物でも、イベルメクチンは皮膚の結節におけるウジ虫の形成を防ぐことができます
皮膚の状態も改善します
これに加えて、エンロフロキサシン 5 mk/kg を 5 日間、筋肉内注射すると、二次的な細菌感染が減少します。
メロキシカム 0.5 mg/kg を 3 日間、筋肉内注射すると、痛みが軽減されます
かゆみがある場合は、クロルフェニラミン マレイン酸塩 20 ml も投与できます
Shridhar et al. 2022
その他の参考文献  Comparative Evaluation of Different Antivirals against Lumpy Skin Disease in Cattle

平庵さんの記事が気づきにつながりました。感謝いたします

その他、重要な指示が多数記載されていますので、上記の対策pdf をお読みください

韓国では10月末にランピースキン病を初確認


韓国の場合を詳しく:先月20日、韓国中部・瑞山市(チュンチョンナムド・ソサンシ)の農場で、牛の感染症「ランピースキン病」の発生が韓国国内で初めて確認されました。その後、中部の忠清南道やソウル郊外の京畿道などでも相次いで確認され、24日午後3時の時点で、あわせて27件に増加。韓悳洙首相は閣議で、緊急のワクチン接種により、牛に抗体ができるまでの3週間が、これ以上の感染拡大防止に重要だとの認識を示しました。韓国政府は発生が確認された農場の牛を7日基準で計5480頭が殺処分された。
13日からはランピースキンにかかった牛だけを殺処分する選別的殺処分を進めている。これに先立ち、農食品部は財政的負担を理由にワクチンを接種していなかったが、ランピースキンが拡散すると韓国の国内すべての牛農家にワクチン接種を義務付けた

https://en.yna.co.kr/view/AEN20231023005251320

韓国におけるランピースキン病の発生状況

日本農水省

アジアにおけるランピースキン病の発生報告状況

日本農水省

世界におけるランピースキン病発生状況

日本農水省

ランピースキン病について 動衛研


韓国ではランピースキン病発病から1カ月で致死率95%以上の動物感染病がまた流入する可能性がある


11月27日、韓国農林畜産食品部(農食品部)と農林畜産検疫本部などによると、アフリカ馬疫と偽牛疫の国内流入の可能性が高いことが分かった。アフリカ馬疫は 14 世紀から確認された馬の疾病だ。吸血昆虫人などに蚊によって感染され、アジアでは 2020 年にタイで初めて発生した後、主に東南アジア地域で確認された。偽牛疫は 1942 年アフリカのコートジボワールで初めて発見され、ヤギや羊などで飛沫接触、または汚染された飼料と水を通じて感染される。2007 年、中国でも確認された
ただ、韓国ではワクチンの事前導入などは検討していないという。馬疫は国際的に通用するワクチンがなく牛疫は慢性化する場合、致死率が低くなる特性を持つというのが理由だが、一部ではランピースキンのワクチンも遅れて導入され被害が大きかっただけに先制的な対応が必要だという指摘が出ている 中央日報


いいなと思ったら応援しよう!