イベルメクチン使用の超過死亡への効果@ペルー
こんにちは。
ペルーですが、イベルメクチン配布と超過死亡の関係のリアルワールドのデータが査読済みの論文として掲載されました。
イベルメクチンと無関係な医師の皆様に読んでいただきたい記事です。イベルメクチンが効いたと言っている一般の皆様が思い込み発言をしていたわけではないとわかってくださると良いです。ただし、日本の医療制度下で適切な時期にイベルメクチンを投薬するのは難しそうです。
タイトル:COVID-19 Excess Deaths in Peru’s 25 States in 2020: Nationwide Trends, Confounding Factors, and Correlations With the Extent of Ivermectin Treatment by State
Cureus 15(8): e43168. 掲載日 8月8日2023年 原著リンク
状況が日本ととても違うのと面白いので背景の説明が大変長くなりました。この論文、実は新しい大統領のコロナ政策がヤバイをデータにしてしまいました。
結果を早く読みたい方は、目次から結果に飛んでください。
ポイント:
イベルメクチンは、置き薬的に家庭に常備し服用して初めて有効性が出る。
医師の処方箋を求めて購入して服用するのでは有効性が出ない。
ペルーはどんな国?
基礎データ
面積:約129万平方キロメートル(日本の約3.4倍)
人口:約3,300万人
民族:メスティソ(混血)60.2%、先住民(ケチュア、アイマラ、アマゾン先住民等)25.8%、白人系5.9%、アフリカ系3.6%、その他(中国系、日系、その他)4.5% (2017年ペルー国勢調査)
歴史:紀元前から多くの古代文明が栄えており、16世紀までは当時の世界で最大級の帝国だったインカ帝国(タワンティン・スウユ)の中心地だった。スペイン植民地時代を経て現在は共和国です。
首都のリマは普通に都会。今年、旅行に行った人のYoutubeです
インカ帝国の遺跡を観光する動画はこちら↓です。リマ首都圏以外にも国土は広く、ジャングルから砂漠、山地までの地形にまたがっています。
ペルーのコロナ禍の特徴
驚くことに、人口あたりのCOVID-19死者数が世界最多でした。Worldmeter
実に、リマ首都圏の高齢男性は、ワクチン展開前にCOVID-19症例の10人に4人が死亡されました。高齢男性 (60歳以上) の症例致死率は40% です。その当時の実行再生産数R0は約3でした。
現在も、
1. ペルーで実行再生産数が高かった理由は不明です。
2. ペルーで症例致死率が高かった理由は不明です。
ペルーのイベルメクチン投与の実際
ペルー共和国は24 の県と首都リマを含むカヤオ特別区によって構成されています (面積は日本の約3.4倍)
新型コロナウイルス感染症の入院患者および外来患者の治療のための IVM の大量配布は、これら 25 州で公的および民間の両方のチャネルを通じて自主的に行われました。
ペルー国民のイベルメクチンに対する感覚
ペルーでは、著名人が新型コロナウイルス感染症をイベルメクチン IVM治療で成功したという報告が広く公表され、国民にIVM治療に対する信頼が生まれました。
ペルーの薬局でIVM不足 が生じ、密輸業者 や偽造業者 が需要を賄おうとする動機となった
結果
全死因超過死亡の分析を、州ごとに人口の年齢が60歳以上を対象に実施した。注釈:超過死亡は年齢の影響が大きいので、対象を60歳以上とした。
各州について、パンデミックの第 1 波における超過死亡のピーク日を決定し、次に、死亡のピーク日からその後 30 日および 45 日までの超過死亡の減少を追跡した。
ペルーの 25 州を、IVM 配布の程度によってグループ化した。
最大(作戦 MOT による大規模 IVM 配布、10 州)、
中程度(地方で管理された IVM 配布、14 州)、
最小(制限政策のあるリマ)です。
表 1 は、IVM 分布の階層別のピーク死亡日から 30 日後および 45 日後の超過死亡の平均減少率を示しています。大量にIVMを配布した県では、30日後に超過死亡が約74%、45日後に約86% 減少しました。これに対し、IVM服用に医師の処方箋を必要とした首都リマでは、30日後に超過死亡が25%、45日後に約25.2% しか 減少しませんでした。
IVMの使用が制限される前後の1日当たりの全死因超過死亡数(7日間移動平均、全年齢)の全国的な変化は、その期間にペルーで新型コロナウイルス感染症に対するIVM治療が有効であった可能性を裏付けている。 図 2A に示すように、IVM 使用期間中の 2020 年 8 月 1 日から 12 月 1 日までの間、全国的な超過死亡は 14 分の 1 に減少しました。 しかし、IVMの使用が制限された後[13,75]、超過死亡は2021年2月1日までに13倍に増加した。
結論
2020年5月8日にペルーでCOVID-19のIVM使用が認可されたことにより、自然実験が実施され、本薬剤の有効性を示す強力なエビデンスが得られた。
ペルーの25州全体において、IVMの配布範囲と30日間の超過死亡の減少との間には有意な相関関係があった(p<0.002)。
MOT作戦に関与した10の州では、IVMの配布範囲が最も広く、死亡ピークから30日後の過剰死亡の平均減少率は74%であった。2020年5月に発令された社会的隔離義務の影響、SARS-CoV-2ウイルスの遺伝子構造の違い、25州間の血清反応陽性率や人口密度の違いなど、いくつかの交絡因子の可能性が検討されたが、これらの結果に有意な影響は及ぼさなかったようである。
以上です。イベルメクチンは事前に配布して、置き薬のように使用するのが最も有効なようです。正しい使い方をしていましたか?
この論文の意見と少し違って、私はイベルメクチンはコロナウイルスが人体に感染する時に対抗して産生されるインターフェロンの反応性をよくするなど自然免疫の強化がシャープな有効性に繋がったと考えています。
ここまで読んでくださいましてありがとうございました。
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論文紹介のブログもあります。
イベルメクチンの臨床上のベネフィット@査読すみ論文から
以下に論文紹介の記事をご紹介します。
日本とタイにおける軽度の新型コロナウイルス感染症患者に対するイベルメクチンの有効性と安全性
日本とタイ、多施設共同、プラセボ対照、無作為化、二重盲検、並行群間第III相試験では、軽度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者におけるイベルメクチンの有効性と安全性が評価されました(IVERMILCO試験)
方法は、参加者は、0.3~0.4mg/kgの用量に調整された治験薬(イベルメクチンまたはプラセボ)錠剤を指定数、空腹時に1日1回、3日間経口摂取した。
有効性の主要評価項目は、治験薬投与後 168 時間までに臨床症状が最初に改善傾向を示した時点でした。
IVERMILCO Study ClinicalTrials.gov 番号、NCT05056883
結果は、合計 1,030 人の適格な参加者が治験製品の投与を受けるように割り当てられました。 502人の参加者にはイベルメクチンが投与され、527人の参加者にはプラセボが投与されました。
有効性の主要評価項目は、イベルメクチン群とプラセボ群の両方で約 96 時間 (約 4 日) であり、統計的に有意な差は示されませんでした (層化ログランク検定、p=0.61)。
有害事象および有害薬物反応の発生率は、イベルメクチン群とプラセボ群の間で統計的に有意な差は示されませんでした(カイ二乗検定、p=0.97、p=0.59)。
結論は、この結果は軽度の新型コロナウイルス感染症患者の治療法としてのイベルメクチン(0.3~0.4mg/kg)は効果がないことを示している。 ただし、12 歳以上の未成年の参加者を含む参加者に対して安全性が確認されました。
ワクチンとの関係:研究に参加した参加者のうち、84.4%が以前にSARS-CoV-2のワクチン接種を受けていた。 ワクチン接種状況がイベルメクチンの効果に影響を与えた可能性があるため、ワクチン接種を受けていない集団も分析され、全体の結果と同様の結果が得られました
タイトル:Efficacy and safety of ivermectin in patients with mild COVID-19 in Japan and Thailand. 12月26日2023年OnLine ahead
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COVID-19の人工呼吸患者において,イベルメクチン投与は消化器合併症の減少および無呼吸日数の延長と関連する.傾向スコア分析 ブログリンク
イベルメクチンのデータ誤用による長期的影響 ブログリンク
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番外編:イベルメクチンをめぐる戦いは沈静化してない (Aug 18, 2023)
イタジャイ州のイベルメクチン研究を攻撃する不正研究のプレプリント が投稿された ブログ記事へ