新型コロナのリアル 前編
こんにちは。騒がしいので、いつもの皆様のために新型コロナウイルスの流行状況と対応策について書きます。今日の記事は前半の流行状況の説明です。対策は明日になります
現状
患者数が指数関数的に増加中です
お住まいの地域の流行状況
こちらをクリックして、下図を探してください。そこで地域を選択します
全国的な傾向
西高東低で南から感染が北上しています。関東地方では東京が一番低い
関東地方の感染状況
・千葉県 12.77人 ・茨城県 10.83人 ・埼玉県 9.97人 ・神奈川県 9.13人
・栃木県 8.18人 ・群馬県 7.75人 ・東京都 7.56人
東京都の感染状況
7 月8日~7 月14日の定点医療機関 当たり患者報告数は、定点当たり 7.56 人と前週(7.14 人/定点)から横ばい。全国の定点当たり11 .18人より低い
下図は、東京都の各地区ごとの定点当たり人数です。荒川区、八王子市が10人を超えています
年齢別の患者数
グラフから、全国の場合は流行速度に年齢による偏りは見られない
東京都の場合、7 月8日~7 月14日は10代と50代の患者数が伸びました。10代は夏休みを迎えたので逃げ切りです
検査陽性率は50%
流行中の新型コロナウイルス変異株
東京都の場合、7 月8日~7 月14日は KP.3 が87% でした
7 月18日12時時点の変異株の割合を表にしたものです
変異株KP.3 とは? Pango命名
BA.2.86.1 からKP.3に至る変異株の変遷をFocosi 博士がまとめたのが下図になります
日本で直近30日間で多い変異株は順に、
KP.3.3 (57.41%)、KP.3.3.3 (19.68%)、KP.3.1 (3.47%)、KP.3.2 (1.62%)、KP.3.1.1 (1.16%)、KP.2.3 (1.16%)、KP.3 (1.16%)です。XDQ系統は、XDQ.1.1 (0.93%)、XDQ.1 (0.69%) と減少しています
これらの中で、KP.3(JN.1.11.1.3)、LB.1(JN.1.9.2.1)、KP.2.3(JN.1.11.1.2.3)について G2P Japan & Kei のチームが公開しているプレプリントから抜粋します
増加している変異は?
これらの特徴的な変異を並べたのが下図で、はじめに注目するポイントはS31del です。LB.1、KP.2.3 からS31del が見られるようになります
S31del を持つ変異株の蔓延する力と感染性
2024年3月から4月にかけてこれらの変異株が広がったカナダ、英国、米国のゲノム監視データに基づき、ベイジアン多項ロジスティックモデルを使用してKP.3、LB.1、KP.2.3の相対有効再生産数(Re)を推定した。その結果、KP.3 の Re は KP.2 とほぼ同じであるが、LB.1 と KP.2.3 の Re は KP.2 よりも高い
→ 現実社会で、S31del がある変異株が増加する
擬似ウイルスを作って感染させると、LB.1とKP.2.3はKP.2やKP.3よりも感染力が強い
→ 実験でも、S31del がある変異株は感染力が高い
どんな人がS31del がある変異株に抵抗力がありますか?
プレプリントの説明文は、
免疫抵抗性:XBB.1.5、EG.5.1、HK.3、JN.1によるブレイクスルー感染(BTI)血清、およびLB.1およびKP.2.3に対するXBB.1.5ワクチン血清の50%中和値は、KP.2に対する値よりも有意に低かった
グラフが小さいので大きくします。XBB.1.5 に感染した11人の血清は、B.1.1 を中和し、 BA.2.86 も少し弱く中和しましたが、最近のKP.2、KP.3、LB.1、KP.2.3 を中和しない人が多いです。グラフの丸がそれぞれ1人の血清による中和能に相当します。この11人にワクチン未接種者はいません。11人の内訳は3回接種4名、4回接種4名、5回接種3名です
結論1:XBB.1.5 に感染した人でも、今回の流行で感染する可能性はある。感染するかどうかは人による
結論2. コロナ感染歴が最近であればあるほど、再感染しにくい防御抗体を持っている人が増えます 下図↓
最後に、XBB.1.5 対応のワクチン接種者です。このワクチンを接種する前に、XBB.1.5 に感染した場合が右側で、LB.1 やKP.2.3 に抵抗力のある防御抗体を持っている人が半数以上いますが、XBB.1.5 対応ワクチンの追加接種だけでXBB.1.5 未感染の場合は、左側グラフのように大多数の人に防御抗体がありませんでした
結論3. XBB.1.5 対応ワクチンを接種しただけではS31del がある変異株に防御抗体は普通にできない。追加接種前に XBB.1.5 に感染している人の中には防御抗体を持っている人がいます
間に合いませんでした。続きの対応、対策編は夜間に書きます
皆さま、ゆっくりお休みください
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