【高校サッカーレポート】浦和南高校vs浦和東高校(第100回全国高校サッカー選手権大会 埼玉県予選決勝トーナメント 準々決勝)
第100回全国高校サッカー選手権大会 埼玉県予選決勝トーナメント
準々決勝
さいたま市立浦和南高等学校 vs 埼玉県立浦和東高等学校
日時:2021年10月30日(土)13:35キックオフ
会場:浦和駒場スタジアム
天気:快晴
気温:19℃
湿度:38%
風:微風
ピッチコンディション:良好
試合結果
浦和南 4-0 浦和東
(前半 2-0)
(後半 2-0)
浦和東と浦和南ともに、高校総体県予選ベスト8によるシード校のため、今大会は決勝トーナメント二回戦からの登場。浦和東の二回戦は春日部に6-0、続く三回戦では浦和学院に3-0とそれぞれ完勝を収めている。
一方の浦和南は二回戦で越ヶ谷を相手に3-0と快勝。しかし続く三回戦では難敵の成徳深谷を相手に80分と延長でもスコアレスのまま決着が付かず、PK戦までもつれる展開に。浦和南は手に汗握るPK戦を制し、この準々決勝の舞台に辿り着いた。
年間を通して行われるリーグ戦は、浦和東がS2Bリーグで暫定(※2021年9月26日更新時点)4位、浦和南はS1リーグで暫定(※2021年9月26日更新時点)6位に付けている。
準々決勝屈指の注目カードは、浦和というサッカーの街を盛り上げるに相応しい、因縁の浦和対決に。ロースコアの展開が予想されたが、試合は意外な結末を迎えることとなった。
両校スターティングメンバー
浦和南(4-2-3-1)
浦和東(4-4-2)
前半
立ち上がりから浦和南が攻勢に出る。
5分、浦和南は後方からのフィードにMF大里が反応、落としたボールがゴール前に転がりチャンスとなるが、ここは浦和東のGK髙居が先に触りコーナーへ逃れる。この攻撃を皮切りに、浦和南は長短織り交ぜた効果的なパスと、DF井上のロングスロー攻勢で浦和東に圧を掛ける。
一方の浦和東は攻撃に押されて重心が下がり、思うように相手陣内までボールを運ばせてもらえない。それでも我慢の時間帯が続く中、集中した守りで最後のシーンでは身体を寄せてブロック。決定機の演出までは許さない。
前半の給水までは、ほぼ浦和南ペース。浦和東はチャンスすら作れない状況であったが、両チームとも局面での切り替えが非常に早く、目まぐるしく攻守が入れ替わる。その中で浦和南がセカンドボールの回収、前線からの連動した守備が機能し、主導権を握る格好となった。
そして33分、押していた浦和南が先制する。高く上がったロングボールをMF坂本が落としたところ、ワントップに入った2年生FW立沢がゴール正面ペナルティエリアやや外から強烈なシュート。GK髙居が見送ったボールは右ポストを弾いてゴールインとなり、貴重な先制点を挙げる。
先制を許した浦和東も反撃。35分にMF橋本が右サイドから中に切れ込んでミドルシュートを放つも、ここは浦和南のGK黒田が好セーブ。落ち着いて対応する。
1点リードした後も攻撃の手を一切緩めない浦和南は39分、MF大里が放ったミドルシュートが浦和東DFに当たってディフレクトし、これがゴールへと吸い込まれる。相手のディフェンスが間を空けた一瞬の隙を逃さない見事な攻撃であった。
攻勢から効果的に得点を重ねた浦和南が、2点のリードを奪って前半を終える。
後半
追い掛ける浦和東は後半、攻勢に転ずる。
5分、浦和東がショートカウンターから前線のFW櫻井がでタメを作って右サイドへ展開。突破からゴール前へクロスを入れるがシュートには至らない。しかしリードを許した浦和東が同点を目指し、積極的に攻撃を仕掛ける。
14分には浦和東が右サイドから突破を図り、ペナルティエリア内で倒れるがノーホイッスル。それでも試合の主導権は、徐々に浦和東に移り始める。19分にも浦和東はFW櫻井がミドルシュートを放つも、惜しくも左に外れてゴールならず。結果論とはなるが、20分頃までは比較的浦和東の時間帯であっただけに、ここで1点でも取れていれば、その後の展開は変わったかもしれない。
迎えた26分。浦和南のMF大里がDFラインから抜け出し、GKとの一対一の場面を冷静にファーサイドへ流し込んで追加点。
33分には浦和南が前線からの守備が得点に結実する。浦和東のゴールキックからのビルドアップミスを見逃さず、途中出場のFW三上がボールを奪うとドリブルで持ち込み抜け出す。再び訪れたGKとの一対一のチャンスを、今度はニアサイドを突いて4点目。スコアで浦和南が圧倒した。
点差が開いてなお諦めない浦和東が攻め込むが、決定的な場面を作ることなく試合終了。終わってみれば浦和南の快勝となった。
試合前はロースコアを予想していただけに、注目の浦和決戦は、よもやの結末を迎えた。浦和南と浦和東、両チームにスコアほどの実力差があったとは思えない。浦和東も試合を通して良いシーンを数多く作ったものの、ラストパスや局面での判断に精度を欠く場面が目立った。良い時間帯もあったが1点が遠く、決め切れなかったことが悔やまれる。
それでも浦和南が五分の場面を確実に制する、一瞬の隙を逃さないといった「微差」の積み重ねが、結果的に大差での勝利を呼び込んだと言える。実力差が少ない試合において、いつでも勝負を決めるのは「小さな差」であることを教わったような試合であった。
浦和南は盤石の試合運びで堅守の浦和東から4得点で勝利。加えて決勝トーナメントでは難敵相手にここまで無失点が続く。この事実は浦和南にとっても、準決勝に向けて大きな自信になったのではないだろうか。
埼玉県有数のサッカー処、浦和から悲願の決勝、そして全国の舞台へ。浦和南が誇りを胸に、立教新座との準決勝に臨む。
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