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帝王切開の麻酔 2022~ERAC: 血圧管理③Norepinephrine infusion rate~

こんにちは。
産科麻酔科医ドクターまるです。

さて、①でノルアドよさそう!②で治療的に使うなら…をご紹介し、
帝王切開の血圧管理③では
Norepinephrineの持続投与の最適な量についてです。

Ahmed M, et al: Anesthesiology 2019; 130: 55-62

ノルアドを予定手術で持続で使うなんて…
心臓麻酔や急性汎発性腹膜炎麻酔の時に使う印象でした。
でも、実際はPhenylephrineの持続投与が始まった時も
同様にハードルが高かったそうです。

この研究は、Norepinephrineを0.025、0.05、0.075γで予防的に使用して比較した、RCTです。

麻酔は、脊髄くも膜下麻酔で高比重bupivacaine 10mg、fentanyl 20㎍。
輸液は、晶質液をcoload。
髄液逆流を確認し、それぞれNorepinephrine 5㎍ボーラス後に持続開始。
Norepinephrineは8㎍/ml 組成。
胎児出生5分後で持続投与は終了。

低血圧(基準SBPの80%未満)になったら、ephedrine 9mg投与。
重症低血圧(基準SBPの60%未満)では、ephedrine 15mg投与。
徐脈は、低血圧を伴わない場合はNorepinephrine持続投与停止、
低血圧を伴う場合はephedrine投与、
それでも遷延する場合はatropine使用で対応。
麻酔域は、pinprickでTh4以下。

Ahmed M, et al: Anesthesiology 2019; 130: 55-62
Ahmed M, et al: Anesthesiology 2019; 130: 55-62
Ahmed M, et al: Anesthesiology 2019; 130: 55-62


結果、低血圧の頻度は0.05、0.075γ郡で低く(Table2; 有意差なし)、
SBPは高め(Fig.2)、HRは低め(Fig.3)の傾向にあった。
ほかの検討項目で有意な差を認めるものはなかった。

0.025γに比べると、0.05や0.075γの方が、低血圧予防には効果的であるが、
0.075γが0.05γに勝っている点は示せず、
Norepinephrineを予防的に使用するなら0.05γがよさそうと結論付けている。


Norepinepherine 0.5mg (0.5ml)を生理食塩水 100mlに溶解し5㎍/ml組成を作成し、
30ml/hr (50kgだと0.05γ)で使用しているのは、よさそうなのかも…




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