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産科麻酔科医が伝えたい’2022年’無痛分娩~痛みは我慢した方がいい?編~

こんにちは。産科麻酔科のドクターまるです。
3.ぎりぎりまで痛みは我慢した方がいいのか?編です。

数年前、私も無痛分娩を経験しました。
その時はまだ、産科麻酔の入り口に立ったばかりで、気になることをネットで調べまわっていました。
’無痛分娩レポ’ なるブログやSNSを見ると、
「ギリギリまで痛みを我慢した方が、うまくいくと言われた」
「いつ無痛を始めてもらえるのか分からないまま進んだ」
というようなことが書いてあり、不安になった記憶があります。

今、少し成長した産科麻酔科医として”いつ無痛を始めるのがいいの?”に答えるとしたら
「病院による」です。
ごめんなさい…

産科麻酔領域で言われている、無痛分娩開始のタイミングは、
’分娩が開始していて妊婦が希望したらいつでも!’です。
分娩の始まり…これは、規則的な陣痛がきているか、です。

では、なぜ「病院による」と答えたか。
それは、病院によって無痛の提供方法が違う、からです。
オンデマンド無痛(24時間対応無痛)、あるいは計画無痛(誘発分娩)か。

安全な出産のことを考えると、オンデマンド無痛が理想です。
十月十日かけてゆっくり準備してきた身体に、いきなり外から「産むよー」「赤ちゃん出すよー」って言ってもびっくりですよね。
やっぱり、妊婦さんの身体の準備が整うことが必要なんです。
オンデマンド無痛は、自然と分娩の準備が整ったところに、無痛という環境を提供します。

しかし、医療体制、主にスタッフの人的条件により、提供時間を制限している施設では、誘発分娩計画分娩と言われる方法になります。
日本の多くの無痛分娩はこちらです。

計画分娩では、外部からの刺激をいくつか加えることで分娩を促していきいます。
しかし、時間制限がある=無痛に終わりがある
お尻を叩くだけ叩いて、実際分娩のときは時間外で無痛できなかった
なんてことにならないように
計画分娩では、子供を産む準備が整うのをしっかり見極めることが大切です。

その目安となるのが、ビショップスコア。

この5項目を、内診して確かめます。
合計の点数が高いほど、準備が整っていると判断します。
’痛み’は、評価項目に含まれません。
ただ、ビショップスコアが高い=分娩が進行している=痛みが強くなっている
ので、’できる限り痛みを我慢した方がいい’ というのは、あながち間違いでもないといえます。

ビショップが何点になったら無痛を導入するかは、病院や産婦人科医次第。なので、出産予定の施設がどうなったら無痛を始めてくれるのか、
あらかじめ聞いておくといいと思います。






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