帝王切開の麻酔 2022~ERAC: 血圧管理②Norepinephrine intermittent boluses~
こんにちは。
産科麻酔科医ドクターまるです。
では、帝王切開の麻酔管理、血圧管理②です。
前回、Norepinephrineがよさそう…という研究を紹介しました。
今回は、Norepinephrineの使い方、ボーラス投与の量についてです。
40週の妊婦の帝王切開の麻酔管理で
Norepinephrineを治療的に使用した場合の最適な量について調べた研究です。
実際に投与したNorepinephrine量は、Figure2のようになっています。
最初の患者は、収縮期血圧(SBP)の基準値を下回ったら3㎍を投与。
そこから、基準の80%を下回ると失敗とみなし、次の患者は次の高用量Norepinephrineを使用。
(3㎍で失敗→4㎍、5㎍で失敗→6㎍、8㎍は最大量)
一方、80%以上に回復した場合、成功とみなし、次の患者はランダムに同用量になるか次の低用量になるか割り当てられます。
(3㎍で成功→3㎍かもしれないし、4㎍かもしれない)
投与するNorepinephrineは3,4,5,6,7,8㎍のいずかです。
手術前室で、基準となるSBPを決定。
輸液は晶質液をpreload。
薬は、0.75%高比重bupivacaine 13.5mg、fentanyl 10㎍、morphine 100㎍。
冷覚低下域は導入後20分の時点でTh6以上。
麻酔導入から1分毎にSBP、HR、SpO2を測定。
SBPの基準値を維持するように上記のように管理をし、
80%を下回ったらPhenylephrineやEphedrineを使用。
胎児出生で研究は終了。
結果、Norepinephrineのボーラス投与のED90は、5.49㎍であった。
実際、この研究では6㎍を1-13回ボーラス投与し、基準値の80%以上を維持できた。
ほか有意な差が認められたのは、臍帯動脈血ガスの結果、Norepinephrine 6㎍未満の患者でBEが高値ということ。
Norepinephrineの胎児への影響については、まだ明らかになっていないが、
臍帯動脈血ガスのBEで差が出たことについては、
6㎍郡のBEは1例を除いて正常範囲内であったこと、
7㎍郡でも異常値はなかったことから、
Norepinephrineの胎盤移行は考えにくいとしている。
Norepinepherineの持続薬液を作る時も
5-8㎍/mlの組成で作ることが多いのは、
理にかなっているということですね~。
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