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大学の講義は面白くない?

2020年度は,新型コロナウイルスの影響で,大学の講義は遠隔講義になった.遠隔講義と言っても方法は様々で,講義や教員によって格差はとても大きくなっているのだろう.だからこそ,こんな講義を受けるために高い授業料を払っているのではないと怒る学生がいるのだと思う.

ちなみに,私の遠隔講義は↓みたいな感じです.

ようやく全国で緊急事態宣言が解除されたが,先行きは不透明だ.ドタバタで始まった2020年度も,5月が終わり(残すところ週末のみ),既に2ヵ月が過ぎた.私が学生だった頃と比べると,いまどきの学生は驚くほど講義への出席率が高いのだが,遠隔講義の今はどうだろう.出席している振りをして,布団に潜り込んだままだったりするのだろうか.普通に講義が行われていたときでも,5月病というのか,ゴールデンウィーク頃から講義に出なくなる学生はいた.キャンパスに来るなと言われている今,学生がモチベーションを維持するのはずっと難しくなっているかもしれない.

ただ,新型コロナウイルスの影響であれ,5月病であれ,講義が面白くないと文句を言ってもみても(文句は言いまくればいいが),勉強しなければ,それで損をするのは学生自身だ. 

「勉強しろ!」と言われると,授業料を払ってるのは自分なのだから,勉強しないのも学校を休むのも自分の勝手だろ!と考える学生もいるかもしれない.しかし,学生1人の教育にかけられている費用は,授業料を遙かに超えていて,不足分は税金で賄われている.このことを思えば,授業料を払ってるのは自分だから勉強しないのは自由だとは言えないだろう.

そういう私も,もう30年も前になるが,大学に入学してすぐに,大学に失望した.ボソボソ呟くだけで熱意の欠片も伝わってこない教員とか(恐らく今の比ではないレベルで酷かったはず),勉強なんて全然やる気のない学生とか(語学と体育以外は出席しないという学生が結構いた),そんなのが多くて,田舎の無名高校を卒業して,京都大学って凄いところのはずだと思っていた者としては,結構ショックだった.正直,この程度のレベルかと思った.

それでも,4回生で研究室配属されてから,大学にはとんでもなく凄い人達がたくさんいることを痛感した.なかなか講義を聞いているだけではわからないが,物凄い研究をしていたり,恐ろしく頭の回転が速かったり,なんでも知っていたり,驚くべき趣味を持っていたり,そういう教員がたくさんいる.学生が,大学のそういう面にできるだけ早く触れられるといいなと思う.私の場合,研究室で,研究する教員の凄さを目の当たりにして衝撃を受けた.だから今もこうして大学にいる.

衝撃を受けつつも,実験(毎日カーボンファイバーをガラス管内で生やしていた)の待ち時間に,論文を読まずに,研究室の本棚にあったマンガ三国志全60巻を何回も読むなんてことをしていたので,ろくな学生ではなかったが...

それはさておき,その上には,さらに海外がある.本格的に研究をするようになって,何度か国際会議に参加してみると,少数だが,こいつら化け物かと驚愕するような奴らがいる.それはもう,むちゃくちゃ刺激を受けまくれる.

自分の目に映る景色は,自分がどれくらい高いところにいるかで変わる.だから,大学生には上を見て登って欲しい.

勉強も研究も真剣に取り組む価値があるし,何より無茶苦茶面白い.折角大学にいるなら,中途半端にやるだけでは勿体ない.

大業を成さんとするなら,各人がそのための基礎を固めるべきであり,その基礎とは自分自身の勉強です.どんなに志があっても力がなければ他人はその人を信頼しない.(北里柴三郎)

当然,勉強する必要がある.志があっても,力がなければならない.そして当然,志も必要だ.頭が良いだけでは何も為しえない.

君子に貴ぶ所のものは志のみ,胆のみ.胆なく志なくんば,則ち区々の才知将た何の用か之れを為さん.(吉田松陰)

あと,「大学新入生に伝えた(い)こと」にも書いたが,大学時代には色々なことに取り組んで欲しい.学校でもそれ以外でも,失敗したり間違ったりしたら減点ね,ということになっているかもしれないが,だから無難に何もしませんでは,全然面白くない.ワクワクしない.楽しめない.新しいことにドンドン挑戦して,やるだけやったなら,ダメでもいいじゃないか.

皆さんの大学生活が素晴らしいものになりますように!

© 2020 Manabu KANO.

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