JCEJ Outstanding Paper Award 受賞
化学工学会(SCEJ)の英文ジャーナル"Journal of Chemical Engineering of Japan (JCEJ)"の編集委員会から,私も共著者にしてもらっている論文が Outstanding Paper Award 2019 に選ばれたとの連絡があった.
今回の授賞論文
S. Kim, K. Mishima, M. Kano, and S. Hasebe, “Database management method based on strength of nonlinearity for locally weighted linear regression,” J. Chem. Eng. Japan, vol. 52, no. 6, pp. 554–561, 2019.
第一著者は京都大学化学工学専攻の金先生で,データ解析関連の研究に長らく一緒に取り組んでいる.
この論文では,Just-In-Time型モデリング(モデルのスクラップ&ビルドを繰り返す手法)の一種である局所線形回帰を対象に,その性能を決めるデータベースに含める(あるいは捨てる)サンプルをどのように決めるべきかを示している.なんでもかんでもサンプルをデータベースに放り込めばいいわけでなく,機械的に新しいサンプルが来たら古いサンプルを捨てたらいいわけでもなく,非線形性の強さなどを評価して,きちんと取捨選択することの効果を示している.
このジャーナル"JCEJ"の Outstanding Paper Award の受賞はこれが2回目になる.前回は,住友金属工業(当時)と早稲田大学との共同研究の成果をまとめた論文だった.
前回の受賞論文
I. Ahmad, M. Kano, S. Hasebe, H. Kitada, and N. Murata, “Prediction of molten steel temperature in steel making process with uncertainty by integrating gray-box model and bootstrap filter,” J. Chem. Eng. Japan, vol. 47, no. 11, pp. 827–834, 2014.
第一著者は,当時,京都大学化学工学専攻で博士後期課程に在籍していたAhmad君で,今は母国パキスタンで大学教員になっている.今でも共同研究を実施しているが,政情不安のパキスタンで苦労しながらも,プロセスシステム工学という分野を立ち上げて頑張っている.
いずれも優秀な共同研究者の研究成果への授賞であり,おこぼれに預かる身としては感謝しかない.
© 2020 Manabu KANO.