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医師は見落としをする。絶対にだ。

なぜ医師は見落としをするでしょうか?

「非注意性盲目」

https://youtu.be/P-PP35A0vHw

この動画を身近な人に見せてください。白いシャツを着た人が何回パスをしたかをカウントしてもらいます。

「白いシャツグループの人たちは何回パスをしたか数えてみて」

ぐるぐる動くので数えるの、難しいですよね。そして…

この時に現れるゴリラを見落とす人がいます。

その割合、42%。

私も三人に試しましたが二人がゴリラを見落としました。

特定のものに注意が向けられていると、見落としをする事象。

医師は患者さんの持つ情報をメタ的に(複数視点で)解析します。事前情報があるので知識や経験が動員され、「多分これじゃないかな?」という先入観を作ります。つまり診察するターゲット(臓器)をすでに絞り込んでいます。全身をくまなく診察しているつもりで、見ているようで見ていない事が起こります。その結果、ちゃんと見落とします。

先入観を排除して冷静に俯瞰してみることって絶望的に不可能なんです。

大きな頭蓋内病変が(放射線医師による)読影で見落とされたことがありました。前もって患者さんの情報を伝えることが仇になるのです。コレって避けられないことなのです。見るターゲットを決めて読影するから。

かつてこう言う病理医がいました。「臨床情報は見るな」と。余計な情報を排除して実直にプレパラートの組織像からジャッジすべきと。この態度は非注意性盲目から逃れる手段だったのです。

ちなみに「ゴリラをちゃんと見つけられたよ」という人がいたらその人に聞いてみてください。「今あなたの後ろにゴリラが立っていたのに気づいた?」って🤣

参考

心理学用語「非注意性盲目」とは?見えないゴリラの実験まで解説 – スッキリ (gimon-sukkiri.jp)

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形成外科医 金沢雄一郎
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