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直美(ちょくび)現象と古い医局システム

直美:臨床研修を終えたばかりの若手医師が美容医療の分野に進むことを指す表現。

直美の何が問題なのでしょう?

懸念されているのはふたつ。ひとつは美容医療の質が下がるという懸念、もうひとつは一般診療の人材不足を引き起こすことです。

そんなわけで”けしからん!”とされています。だから「きちんと専門医を取得するコースにまずは行きなさい!お前たち!ぷんぷん」とな。

かつての日本は「医局(いきょく)」という大学内部の謎の(一般の人が理解できない)人材派遣組織が機能していました。ある種のOS(オペレーションシステム)です。(大学自体は診療と研究と教育を担います。)まず大学医局に入会してそこからキャリアを育むのです(つまり専門医取得コース)。法で規定されるでもなく、そう信じていた時代。

若手に辞令が出ます。「半年後から岩川県に飛ぶことが決まりました」と。若手は特に見返りの交渉もしません。素直に単身で飛びます。するとまた一年後に辞令が出ます。「今度は岡玉県へ」・…・ブンブン引っ越すたびに自分の懐を痛め、そして家族を傷つけます。でも我慢してると肩書きが積み上がって偉くなった気分になれます。

このOSが機能しなくなりました。アップデートが追いつきません(というかアップデートする気がない)。Windows95のままだもの。そして、新人から「そのOS要らなくね?」と思われ始めたのです。これは致命的。なぜならこのOSは権威で成立していたから。信じてもらうことで機能していたから。"専門医"って資格でもないし、給与が増えるわけでもないただの"概念"ですから。貨幣と同じで信用を失ったらジエンドです。

医局の権威って実(み)のある根拠はないのです。みんなが信じるから頼っていたし、偉いんです。

大谷翔平さんだって、野球に価値を見出さない社会では何者でもなくなってしまうんです。だからね。若者に「けしからん」というのは意味ないんです。「大谷さんは偉いんだぞ。お前も毎日1000本ノックしろ」と言ったところで伝わらないんです。だって野球強くなりたいわけじゃないんだから。

新しい医師は一般の人々の感性に寄って行っただけ。だってそうでしょう?徒歩や馬車で移動する時代は終わったんです。車や電車で移動するのを選ぶんです。まともな感性なら。むしろ古いOSで運用していた医療側がおかしいんです。

古参の医師たちは「ずるい〜〜」と苦虫を噛み潰しています。よしよし、なでなで👋。

残念ながら盛者必衰、諸行無常。医療は次のステージに移ります。教授を中心とした医局システムが機能しない前提で医療を考えませんか😃

追伸

時代の変化って早いですね。ガラケー時代、いや、それすらなかった時代をよかったなあと振り返る自分がいることも否定しません😅え〜ん😭


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形成外科医 金沢雄一郎
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