レイダリオ からみたビットコイン
レイダリオ がビットコインについての自分の考えを発表した記事が面白かったので、日本語にしてみました。
Twitterとかではレイダリオ がついにビットコインに手を出した!のように書いている人が多く見られましたが、実際の記事では慎重にリスクなどを分析しています。
おそらく原文全てを読んだ人は少ないので、よかったらここで読んでみてください。
原文はこちらから読めます。
また、Twitterではこれに関連する周辺情報なども随時呟いているので、よかったらフォローお願いします。
以下日本語訳になります↓↓↓↓
私のビットコインに対する考えをはっきりさせるために今これを書いています。この記事は信頼できるものなので、メディアで私が言ったと取り上げられている発言ではなく、ここに書かれていることを参照してください。ビットコインを広めたい人たち(多数派)はそれを特定の角度から描写する一方で、ビットコインに反対する人たち(少数派)はまた別の特定の方法でそれを描写していると私は指摘したいです。私が言及するほとんどの事柄と同じように、事実には長所と短所があり、それらが何であるかという私の認識をできる限り正確に伝えたいと思います。
繰り返しになりますが、私はビットコインや仮想通貨の専門家ではないので、私の見解は信頼に足るほど価値のあるものではなく、私はそれを公表するべきではないと思っています。市場において価値のある意見を持つためにはどれだけの知識が必要かを私は知っているので、私は自分自身の見解に賭けたりすることはありません。しかしそれでも、世間は私のビットコインに対する非専門的な意見を求めていますし、メディアで歪められたものよりは自身の言葉で説明した方がいいので、ここに載せておきます。ただし、私の意見を信じすぎるなという警告はしておきます。私としては、メディアを通したものではなく、私自身が書いたものを読んでほしいというただそれだけなのです。
私は、ビットコインはとんでもない発明だと信じています。コンピューターによってプログラムされ、それがおよそ10年も機能し続け、近年急速にお金、または資産の一種として人気を獲得している、そのような新しい形のお金が発明されたことは、素晴らしい成果です。既存の信用ベースの貨幣システムを作り出すのと同じで、それはまさに錬金術、つまり何もないところからお金を生み出しているのです。1350年ごろにメディチ家から始まり、銀行家に富をもたらした信用創造と同じく、ビットコインは発明者や、早くからそれを手にした人々を大金持ちにしていますし、さらに多くの人々を大金持ちにし、既存の貨幣システムを破壊する可能性を秘めています。ビットコインを作り出し、この新しい種類のお金を現実のものにするという夢を支えてきた人たちは、その夢を維持させ続け、ビットコインを金に類似する代替資産と成すという素晴らしい仕事をしてきました。
(現在進行中の、あるいは将来起こるであろう信用創造のために)金に類似する代替資産のニーズが高まっている現在において、そのような代替資産はあまり多くありません。世界で起きていることがゆえに、供給量が限られているお金や資産へのニーズが高まっているのに加えて、個人で保管できる資産へのニーズも高まっています。個人的に保有できる金のような資産があまり多くないことと、そのような資産の市場規模が比較的小さいことから、ビットコインとその競合がそのようなニーズの高まりに応えることができる可能性があります。ビットコインは、とても存在し得ない相当に投機的なアイデアから、おそらく存在し、そしておそらく将来的に価値を持つであろうものへと、一線を超えたように私には思えます。私からした大きな疑問は、ビットコインが実際何に使われるのかと、その需要がどれくらいあるのだろうか、ということです。供給量はわかっているので、価格を見積もるためにはその需要を見積もる必要があるのです。
供給に関しては明確にしておかなければならないことがあります。確かにビットコインの供給は限られていますが、今までに競合として新しい仮想通貨が現れてきましたし、これからも現れるだろうことから、仮想通貨の供給は限られていません。そのため、ビットコインやその他の仮想通貨の価格決定においては、ビットコインに類似する資産やこれから出てくるだろう競合の供給量が意味を持つはずです。実際のところ、私はより良い仮想通貨が出てきて、現在のものに取って代わることを想定しています。というのも、それが全ての進化の仕組みーー新しい方法やモノが古い方法やモノに取って代わるーーだからです。ビットコインは仕組みが決まっているために進化できず、より良い代替物が発明され、そして超えていくのではないかと私は推測しています。私はこれをリスクとみなしています。以上の理由から、”供給が限られている”というのは一見したほど正しくはありません。例えば、ブラックベリーの供給が限られているとしても、代わりにもっと進んだ競合が出てくるため、それにはそれほど価値がありません。私はまだなぜこれがリスクではないかという問いへの答えを知りません。ただ、私のこの慎重な考えが訂正されるなら、それを歓迎します。
同時に、この観点だけでなく、ビットコインの技術がずっと機能し続けており、ハッキングされておらず、10年もの時間の試練に耐えてきたことを私は大いに感心しています。しかしそれでも、サイバー攻撃がサイバー防衛よりも遥かに強力な時代において、デジタル/サイバー資産を保有している人にとってサイバーリスクは無視できないものです。国防省が自省のシステムをハッキングから守ることができないのに、デジタル資産がハックされないと完全に安心しきっているのは、お人好しでしょう。そしてハックされないというのは金のような資産の利点の一つであり、全ての金融資産のリスクの一つでもあります。実は、ほとんどが数字で構成されている現在の金融システムが、現在認識されているよりも混乱やサイバー脅威に対して脆弱だということがわかる日がいつか訪れる可能性が十分にあると私は思っています。ところで、このようなことは現在急速に起こっており、伝統的な金融資産の価値を脅かしうるものです。あなたが受け入れるにしろ、聞き流すにしろ、私はこの警告を指摘しておきます。私はビットコインが"コールドストレージ"によっってオフラインで保有することが可能だと理解していますが、それは難しく、ほとんどの人が実際はそれをしていないことを知っています。つまりまとめると、私の理解では、ビットコインはデジタルで接続されているものですから、サイバーリスクに対して満足いくほど保護されていません。これが正されることを楽しみにしています。
ビットコインがデジタルであることの延長線上には、それがどれほどプライベートであるか、そして政府がそれを許可するかしないか、という問題があります。プライバシーに関しては、ビットコインは残念ながら一部の人が思うほどにはプライベートなものではないようです。それは結局のところ公開台帳であり、ビットコインの量はプライベートではない方法で保持されています。政府(とおそらくハッカー)が、誰が何を持っているかをみたいのであれば、プライバシーが守られるだろうとは私は思いません。また、もし政府がビットコインの使用を排除したいと思えば、ビットコインを使用している人のほとんどがそれを使うことができなくなるため、ビットコインの需要は急減するだろうと思われます。政府がプライバシーを侵害したり、ビットコインの使用を阻止したりするというのは決して大袈裟な話ではなく、ビットコインが成功すればするほど、その可能性は高まると私は思っています。最初の中央銀行(1694年のイングランド銀行)の設立以来、正当で論理的な理由から、政府はお金をコントロールすることを望み、自身の国境内で唯一の通貨と信用を持つという能力を保護してきました。私がa)政府高官の立場になっても、b)政府高官の行動を見ても、c)政府高官の話を聞いても、ビットコイン(あるいは金)が政府の発行する通貨や信用よりも明らかに優れたものとなることを政府が許すとは到底思えません。ビットコインの最大のリスクは成功することだと私は思っています。成功すれば政府はそれを潰そうとするだろうし、政府にはそれをするだけの力があります。
需給に関していうと、供給はわかるとしても、私が既に述べた理由から、長期的な時間軸(これは長期的な資産なので)での長期的な需要を知ることは非常に難しいです。例えば、私はビットコインを金に類似する代替資産だとみなしているので、個人で保有している金の価値がどうなるか、それらの保有量のパーセンテージをとり、それが資産の分散のためにビットコインに変わることを想定して、計算するようにレベッカ・パターソンやブリッジウォーターの他の人に頼みました。例として、個人保有されている金の10%,20%,30%,40%,50%が資産の多様化のためにビットコインに変わるとしたらどうなるでしょうか。ビットコインを始めた人や、その波に乗っている人たちの10%か20%が資産を金や株に変えようと思うとどうなるでしょうか。政府がビットコインの使用を禁止したらどうなるでしょうか。などなど。これらのシナリオについてどのように思いますか?これらのシナリオは、非常に不確実な未来を描いています。(完全なレポートはこちらで読むことができます。) そのため、私からみるとビットコインは80%減ったとしても気にならない額のお金を投じる、かなり不確実な未来を持った長期的なオプションとなります。
以上が、専門家でない私から見たビットコインです。私は間違いを指摘されたいですし、より多くを学びたいです。一方で、私やブリッジウォーターの同僚が資産のオルタナティブ 運用に集中していると言った際には、それを信じてください。