【2024.11月更新】水虫治療の外用薬・内服薬のまとめ
この記事の内容は、公益社団法人日本皮膚科学会を中心に作成された日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン 2019をベースに、実際の診療での知見を組み合わせたものになります。
この記事が「水虫で悩む患者さんのQOLが上がるきっかけ」になったら嬉しいです。最後に、スキやコメントいただけると大変嬉しいです。
医療者向けの情報を一般の方に向けて、わかりやすく発信することを目的としています。
水虫の治療
足水虫の治療では原則、外用薬(抗真菌薬)、爪水虫の治療では内服薬(外用薬)です。外用薬(塗り薬)には、大きく分けて軟膏剤、クリーム基剤、液剤があります。
軟膏剤はベタつきがありますが、すべてのタイプに使えます。次にクリーム基剤です。こちらは使用感が良く、使用頻度が多いですが、ジュクジュクした水虫では刺激することがあります。液剤も同じです。
爪水虫の外用薬
爪水虫の第一選択薬は内服ですが、肝機能障害などで、内服をできない場合は、爪水虫の外用薬を使用することができます。2014年に発表されているクレナフィン爪外用薬や2016年に発売されているルコナック外用薬があります。
水虫の外用薬には1日一回塗れば良いものが増えてきました
塗り方のポイントは病変部だけでなく全体に塗ります
症状が良くなったように見えても、医師の指示通り少なくとも3~6ヶ月くらいは使って下さい
ちょこっとコラム
私の治療に関する考え方は、薬局で薬を買ったりケアをしても良くならない時に、皮膚科を受診していただくと良いかなというように思っています。
実際に水虫の外用薬も医薬品と同成分のものが薬局で購入はできる訳です。しかし、本当に水虫なのか、そこが大切です。また外用薬も塗り方がポイントとなってきます。
局所だけに塗るのではなく足全体に塗るような気持ちで塗布して頂きたいです。さらに期間は皆様が考えるより、少し長めに使用していく必要があるのです。
初めての診断は皮膚科で。しばらく皮膚科で治療をした後、再発時などは薬局のスイッチOTC水虫治療薬をお使いいただくというのも良いのではないでしょうか。
水虫治療の内服薬
爪水虫の場合、治りにくい為内服薬を用いて治療することが多く、内服が第一選択となります。この2種類がよく使用されています。
ホスラブコナゾール(ネイリン):1ヶ月の薬剤料は約7万円で1日1回、ジェネリックなし(2024年6月)、3ヶ月内服
テルビナフィン(ラミシール):1ヶ月の薬剤料は約2000円で1日1回、6ヶ月以上内服
この他には、イトラコナゾールを使ったパルス療法があります。(通常より多い量を1週間飲み、3週間休むことを3回(3ヶ月間)
内服薬での治療中は副作用の早期発見のため、定期的な血液検査を実施しています。
ちょこっとコラム
2018年20年ぶりに爪水虫の新薬として、日本で開発されたネイリンカプセルが登場しています。1日1カプセル、12週間の服用で爪水虫の完全治癒が期待できる薬とされています。
開発時のデータによると、足の親指、爪白癬(水虫)の症状のある患者さん153名のうち101名がネイリンを12週間内服すると、結果として
爪の濁りなくなり、顕微鏡検査においても白癬菌が見つからない完全治癒した割合は59.4%
爪の濁りが30%以上減った有効率は94.4%
とても高い効果があったと報告されています。肝機能障害などの副作用もあります。多くの場合、安全に使用できます。念のため、肝機能検査などを行います。ご心配な方はお薬手帳を持参のうえ、受診されるのが良いと思います。
また、妊娠中や妊娠している可能性のある方もネイリンは使えません。授乳中もです。妊娠を希望されている場合、内服中から内服終了後、3ヶ月は避妊を徹底して下さい。
実は白癬は足と爪だけではありません
足水虫や爪水虫は有名ですが、その他にもあります。
体部白癬
股部白癬
頭部白癬
ちょこっとコラム
水虫をいうと、足や爪が有名ですがその他にもあるのです。大きく分けて、体部の水虫、股部の水虫、頭部の水虫です。
体のどこでも、水虫に感染する可能性はあるのです。症状としては体部と頭部に大きく分けられます。
体部は顔や首、上半身に直径1~2cmの赤っぽい環状の発疹が1個だけやたくさん連なったようにできる事が多いです。
頭部は以下の3つの症状があります。
脂漏性湿疹型:フケやかさぶたのようなもの
black dot ringworm:毛が薄くなってしまう
ケルスス禿瘡:永久脱毛
柔道やレスリングなどをされる方の中で、トリコフィトン・トンズランスという新しい菌が持ち込まれて感染することも増えています。
この菌は非常に感染力が強いので、注意が必要です。格闘技をされる方の6~10%くらいの方は、実は白癬に感染しているのでは?と言われています。
感染しても症状のない方も多いので、菌だけには感染しているという状態になります。気になられる症状がすでにある方は皮膚科を受診してみるのも1つかもしれませんね。