【水虫・白癬】 病気を知ることでQOLを上げる 一般向け 前編
この記事の内容は、公益社団法人日本皮膚科学会を中心に作成された日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン 2019をベースに、実際の診療での知見を組み合わせたものになります。
この記事が「水虫で悩む患者さんのQOLが上がるきっかけ」になったら嬉しいです。最後に、スキやコメントいただけると大変嬉しいです。
医療者向けの情報を一般の方に向けて、わかりやすく発信することを目的としています。
水虫(白癬)の概要
水虫(正式には白癬ですが、水虫に統一します)は皮膚糸状菌という真菌によっておこる感染症です。
水虫の中でも足に生じるものは、夏になると日本人の4人に1人に見られると予想されていると日本皮膚科学会入っています。
それくらい、とてもありふれた疾患です。
治療の重要性と目的
水虫は足にできる水虫であれば、外用薬を塗布する場所と期間を適切に行えば根治できる病気です。
爪にできる水虫は足にできる水虫と違い、外用以外に内服も使用する必要があります。
外用に加え、内服をしても爪水虫の場合は根治が難しい場合があります。(水虫に感染した爪が皮膚に深く食い込んでいる場合)
水虫で死ぬことはないと軽視される方も見えますが、皮膚の傷口から二次感染をした場合、蜂窩織炎やリンパ管炎を発症することがあるので注意が必要です。
安易に感染してしまう水虫は、気づいたら家族全員ということもあります。
水虫の感染や悪化を防ぐ為には24時間以内に白癬菌が付着したところを洗い落とすことや水虫かな?と思ったら早めの受診が大切です。※1
水虫はとてもありふれた感染症です。日本人はメラノーマが足の裏に発生することが最も多く、進行すると致死率も高いのです。
このような研究がさらに進み、足裏メラノーマを予防できるようになることを望んでいます。
水虫の原因
水虫の原因になる白癬菌は、足だけでなく全身に感染します。
現在、足白癬や爪白癬の方が多い理由として、公衆浴場(温泉や銭湯)やスポーツジムなどにある、足拭きマットやスリッパなどを共有していることが原因だと思われます。
水虫の原因となる白癬菌が皮膚の表面についただけでは感染はしません。
白癬菌はケラチンと呼ばれる皮膚にあるタンパク質を栄養源として、温かくて湿り気を帯びた環境で増殖します。
その日のうちに洗って、清潔にすれば感染しないのですが、洗わずに乾燥させない、そして通気性の悪い状態でいると感染してしまいます。
菌が角質層へ入り込み、この白癬菌が角質を食べ、結果として出た成分に反応して炎症や水ぶくれが起こります。
水虫の後発部位
多くの場合、足です。足の指の間や足の裏が多いです。その他、土踏まずのあたりや踵(かかと)にも見られます。
水虫・白癬の診断方法
白癬菌が寄生していそうな部位から皮膚をピンセットなどで少し取り、顕微鏡で観察します。
取った皮膚をスライドグラスの上で検査液と馴染ませると菌の有無が判定できます。
白癬菌の種類を確認をするときには、真菌培養を行います。
足水虫の症状
足水虫には、趾間(しかん)びらん型、小水疱(しょうすいほう)型、角質増殖型の3つのタイプがあります。
① 趾間(しかん)びらん型
足の指と指の間にできやすいです。
むず痒いような感じることがあります。
指と指の間がカサカサし、やがて白くふやけ、皮膚が剥がれるとじゅくじゅくしてきます。
② 小水疱(しょうすいほう)型
足の裏や足のふちに小さな水疱ができます。
痒くなることが多いです。
③ 角質増殖型
足の裏や踵(かかと)の皮膚が硬く、厚みがあるようになります。
冬になると、亀裂ができて痛くなる場合があります。
かゆみを伴うことは少ないです。
このタイプは慢性的な水虫であることが多いです。
爪水虫の症状
足の水虫から爪へと感染することで起こることがほとんどです。爪が白色から黄白色の濁ったような色になったり分厚くなったり、ポロポロと崩れるように脆くなったりします。
爪水虫は難治性で、放置すると歩行次に痛みを伴うほど悪化することがあります。