【意味がわかると怖い話・37】怪物
俺は見たこともない怪物に追われている。
奴は歯を剥き出し汚らしくうめき声をあげる。
俺は無我夢中で走った。
興味本位で山奥にある廃病院なんかに来なければよかった。
まさかこんなことになるなんて……。
しかし幸運にも廃病院の玄関までたどり着く事ができた俺は駐車場に停めてある車へと向かう。
後ろからは奴のうめき声が聞こえてくる。
急いでキーを取り出し車のドアを開けるとすぐにエンジンをかける。
よくあるB級ホラーのようになかなかエンジンがかからないと言うこともなく始動した。
俺は心の中で「やった!!」と声をあげる。
すぐに発車し山道をひた走る。
家に帰ったらまずはこの事を仲間に自慢しよう!
とんでもない怪物に出会ったこと、そしてなんとか逃げ延びることができたことを。
ああ……美味いものもたらふく喰おう!!
やってみたかったあれやこれも明日から思い切って挑戦するんだ。
生きているって素晴らしい!!
命の危機にさらされ、そして安堵した今、俺の目から無意識に涙が溢れていた。
ベキベキベキッと後ろから木々がなぎ倒される音が聞こえてくる。
【ネタバレ】
彼が遭遇した怪物とはジェイソンのような人形の物ではない。
ゴジラのように巨大な怪物であった。
車を走らせはしたものの巨大な怪物はすぐに追いつくだろう。
人が逃げるアリをたやすく捉えることが出来るように……。