エンジェルベイビー
銀杏のレコードを手に入れた興奮がさめやらないまま、今日も銀杏を聴いてこれを書いているのだけど、最近の銀杏BOYZもやっぱりいい。件のとんがった青春時代の僕なら第三次とdoorしか聴かないとかほざいているだろうけど、今ひたすら聴くのは恋は永遠とエンジェルベイビー。もはやシャッフルで流した曲でタイトルを決めて書くとか前提が崩壊しているけど、身も蓋もない言い方をすれば通勤電車に揺られながら銀杏を聴いている時の方が書きたい衝動に駆られる。さあ書くぞとシャッフルで曲を流してどの曲をタイトルにしようかとかやってるよりもノリがいい。
最近気づいたことだけど、敬愛する作家や芸人が「飲み会のノリで思いついたネタ」と言うよりも「一人で夜の喫茶店で絞り出したネタ」と言う方が好きだ。僕もそうだけど、夜のファミレスや喫茶店が好きだし、そこで何か作業をしている時間が好きだったりする。居酒屋で仲間と飲んでて頭に浮かぶことなんて基本大したことないし、そういうノリの話を面白いと思ってる感性を疑ってしまう。これはもう好き嫌いの世界だろうけど、居酒屋に2時間いるより喫茶店にいる10分間の方が貴重だし考えがまとまる。アイディアが沸きやすい4Bだとよく言われる、バスルーム、ベッドルーム、バス、バー。僕は最後がバーじゃなくて喫茶店を入れるべきだと思う。バスルームベッドルームバスと、大体一人でいるような場所が続いてその流れでバーはない。酒の場は大体誰かと行くことが多いだろうし、バーに一人で行ったとしても大抵マスターと話をするからアイデアなんて書き留めてる暇がない。新たに3B1C(Bathroom,Bed,Bus,Cafe)と書き換えるべきだ。
夜の喫茶店の何がそんなに良いのかと言うと、疲れたサラリーマンとかレポートを作る大学生とか、おそらく僕と同じで夜の喫茶店が好きだと言う感性を持っている人しか集まらないところにある。グループで来て作業をしていない人も、映画を撮ってるサークルの会議とか、連休に行く旅行先を決めてたりとか、最近好きなアイドルの話とか、とにかく「擦れた居酒屋の話題」をしていないところがいい。好きなこと、趣味のこと、自分の内面の深いところにある話題をこそこそ話すところ、そこが夜の喫茶店の醍醐味だと思う。僕はといえば喫茶店で友達に手紙を書いたりするのが一番落ち着くことで、会社の研修で社員寮を間借りしている時も、よく喫茶店に逃げて手紙を書いていた。ただ毎日のようにそうやって過ごすもんだから部数が増えてしまって泣く泣く何通かお蔵入りになったり、手段と目的が真逆になっていた。
昔から一人で行動するのが好きだったし、一人で行けるところを開拓してきたから多少の暇つぶしには困らない自信があるし、そのバリエーションは人より多いと自負している。自慢することでもない気はするけど、誇れるところはそこしかないので仕方ない。
最近のブームでいえば、コインランドリーで過ごすことだ。それも深夜のコインランドリー。最近引っ越したばかりで洗濯機も買う金がないから、週に1回行くようになったのだけど、これが楽しくて仕方ない。なんならこの文章も乾燥機を回しながら書いている。僕がよく行くコインランドリーは駅から離れた住宅街の中にあって、目の前のローソン以外に明かりもないから、乾燥機がグルグル回る音が店内に響いて、小さな音量で洗剤のCMが流れて、夜だから店内には僕一人だけ。この文章を書きながら洗濯が終わったら洗濯物を乾燥機に移して、時たま外で原付に腰掛けてたばこを吸って、また店内で文章を書く。この優雅な時間には一種のヒーリング効果があると思う。やっぱり3B1CじゃなくてCoin laundryを追加した3B2Cが僕の考えをまとめてくれる場所だ。このまま洗濯機を買わない方がいいんじゃないかと思えて仕方ない。コインランドリーの会社は洗濯機のデカさや乾燥能力の高さばかりを引き合いに出すんじゃなくて、雅なひと時を過ごす合間に洗濯物が乾いている。というような広告をうったほうがいいのではないだろうか
一人で泣きたい夜に、コインランドリー。
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