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キャロンとデモコン理論

プロローグ:落ちるも残るも同じ?

「ごめんなさい!わたしが戦国フェスをダメにしてしまったばっかりに…」

キャロン•ポーンはローズ•ベリィに深々と頭を下げた。

「良いんですのよ。貴女はキチンとわたくしの衣装を持ってきて下さったのですから。メインステージは残念でしたが…これも、そうそう、デモコン理論、とか言う奴ですわ。」

「デモコン理論?」

「ええ。破棄されてしまった物も最後までデッキに残った物も、使えないと言う点では結果的に変わらないと言う考えですわ。
キャロンさんが落としてしまった戦国フェスも、きっと最初から無かったのと同じなのですのよ。」

「そう…なんですね…」

キャロンは納得できなかった。
理屈は分かっていても、何だか納得が行かなかった。

「初心者には受け入れ難い理論でもありますので、そう言うものと言う認識で良いと思いますわ。
かく言うわたくしも、よく分かっておりませんけど。」

ローズは優しく微笑む。
何となく自責の念から解放されたキャロンも立ち直り、この出来事はここで終幕を迎えた。

「今誰か、デモコン理論の話をしたか!!!???」

キャロンとローズの前に、ソルディシア•A•ペンドラゴンが現れなければの話だが。

「あ、ソルディシアさん!」

ソルディシアの出現にキャロンは喜び、ローズは一歩ひく。
彼女のノリを理解できる詩姫はそう多くは無い。

「ふふふ…我が『魔龍の傾聴(ドラグーン•レコグニチオン)』」が確かに捉えたぞ。其方らの宿せし、悪魔の導きを乞い願う闇に魅せられし意志を!」

「ええっと…べつにわたくしはそこまでは…」

後退するローズ•ベリィ。

「ソルディシアさんはでもこん理論…?について知っているんですか!?」

惹かれるキャロン。

「ああ!其方が臨むのならば、操魔法理論(デーモンコントロール•リコライズ)について、我が詳しく教えてやろう!」

「よろしくお願いします!ソルディシアさん!」
「で…では、わたくしもお願い致しましょうか。」
(面倒な事に巻き込まれてしまいましたわね…逃げ出す隙を窺わなくては…)


第一章:そもそもデモコン理論とは

「願い叶える冥淵の主人よ!今ここに顕現し、我が望みを叶えよ!デーモンコントロール!」

ソルディシアが取り出した、一枚の古びたカード

「え…MTGのカード?」

ローズは困惑する。

「ああ。インスタントカード、デーモンコントロール。これがデモコン理論の名の由来だ。」

デーモンコントロール 黒
インスタント
カード名を1つ選ぶ。あなたのライブラリーのカードを上から6枚追放する。その後、選ばれた名前のカードが公開されるまで、あなたのライブラリーの一番上のカードを公開し続ける。そのカードをあなたの手札に加え、これにより公開された他のすべてのカードを追放する。

「うわぁ…何と言うか、凄いカードですね…」

ドン引きするキャロン。

「悪魔を呼び出すのに精神力を使い、呼び出してから代償を受け取るにしてもかの悪魔は融通が効かない。悪魔と言う物の恐ろしさを体現した、究極のサーチカードだ。」

この辺りで二体は、ソルディシアがどうしてデモコン理論に詳しいかを理解した。

「最初に失った6枚のカードの中に目当ての物が全てあれば即敗北。仮に取引が上手くいっても、大量のカードを失う事となる。一見すれば諸刃の剣だ。」

ソルディシアは両腕を広げ、この時を待っていたと言わんばかりに高らかに言う。

「然し、ある日起こった大事件が、この”代価”そのものへの認識を大きく変える事となった!
この代価は我々の認知するほど、大きな物では無かったのだ!
この、デッキからの代償を軽んじる理論の名前が、デモコン理論だ。」

第二幕:デモコンスライが変えた世界

※解説パートここから

デモコン理論を真に理解するにはまず、この理論が生まれるきっかけとなった全ての始まり、デモコンスライについて知っておく必要がある。

ローズ「デモコンは分かりますが…スライとは?」

デッキタイプの名前だ。グッドスタッフとかランプとか、よく言うだろ?あれと同じだ。

キャロン「それで、スライってどんなデッキなんですか?」

簡単に言うと、コスト効率を究極まで突き詰めたアグロだ。
スライカープと言う独自の法則に従ってそのデッキは構築され、最後の1マナまで絞り出して相手を攻撃し続ける、そんなデッキだ。

ローズ「なるほど。わたくしとは真逆の性質のデッキなんですのね。」
キャロン「じゃあ、そのデモコンスライもアグロなんですね?…あれ?でもアグロなのに、わざわざデッキを沢山失ってまでカードを探す必要があるの?」

そここそがまさに、かの偉大なデモコンスライの異常性だ!

デモコンスライはその安定性と速さもさることながら、他のデッキに類を見ない異様な戦法を取る事で有名だ。

デモコンスライ。またの名を司書デッキ、可変アグロは、相手に合わせてデッキを改造する速攻なんだ。

キャロン「デッキを改造!?一体どうやって…」

簡単だ。デッキから要らないカードを除外し続ければ良い。
ここで、デモコンスライもう一つのキーカードを紹介しよう。

出でよ…理想郷への導き手!真理の創造者!愚者の頂きよ!

ローズ「え…えっと、こちらは…?」
キャロン「よく見たら以外と可愛い…かも?」
ローズ「きちんと両方の目で見てみて下さいまし…」

なんだなんだその言い草は!
かの者こそデモコン理論を理論たらしめた張本人なのだぞ!

はぁ…詳しく説明しよう。
能力は見ての通りだ。腹が減ったと言いながらデッキからカードを喰い続ける。
だが、そんな彼こそがデッキ操作の原点なのだ。

デモコンスライの戦法は至ってシンプルだ。
まず相手を見て、超軽量デッキ圧縮魔法のデーモンコントロールを撃つ事でデッキを圧縮。後はかの偉大なオークの司書によって更にデッキ内のカードを厳選。デッキそのものを相手への回答デッキに改造する事で、準速攻以上の全ての鈍足デッキを叩き伏せる。
それがデモコンスライの基本戦術だ。

キャロン「わぁ!何だかすごく強そうですね!」

実際とても強かった。
デモコン理論と言う一つの思想形態を生むくらいにはな。

デモコンスライの考え方はバトスピでは、ドローとハンデスを繰り返して手札を濃くしていく青に近いな。
今ではゲーム中のカードの厳選は普通の事だが、その概念を普及させたのもデモコンスライと言えよう。

ローズ「なるほど。デモコンスライについては、なんとなく分かりました。
ですが、わたくしの知ってるデモコン理論と今の話がいまいち繋がらないのですわ。」

まあ無理も無い。
ではそろそろ、デモコン理論の真の姿を暴こうではないか。

デモコン理論とはこうだ。
アグロやビートデッキでは上半分も下半分も内容は大して変わらない。だから仮にデーモンコントロールでデッキが上半分消し飛んても、それはデーモンコントロールを使わなかった場合に残って最後まで使われなかった下半分と、使わないと言う点では全く同じなのだ。だからデッキを削る事を過度に怖がる必要は無い。

これがこの理論の全てだ。
デッキを小型化する行為がそのままアドバンテージとなるオークの司書よって明かされた、カードゲームの真理の一つだな。

キャロン「なるほど!デッキが小さくなれば、より少ない司書さんでデッキの改造が終わりますからね!」

流石は我が盟友、その通りだ。
デッキが濃ければドローソースに割く枠を節約できるし、メタを踏む事も無い。
これがデッキ圧縮と言う考え方の真意の一つだ。

ローズ「なんだか、わたくしの認識しているデモコン理論とかけ離れている気がしますわ…」

お前の様な者は多い。黄金姫よ。
では最後は、デモコン理論の真の恐ろしさを垣間見ようでは無いか。
デモコン理論は悪魔と同じだ。

悪魔は、誰にも制御できないのさ。

第三幕:独り歩きするデモコン理論

デモコン理論が生まれたのは太古の昔。
元々は、高難度だったデッキ圧縮系ギミックの扱い方を示す指標の一つでしかなかったんだ。
だが、悪魔の理論は独り歩きを始めた。

時代と共にカードやデッキは多様化していく。
それに伴い思想が新しくなって行くのも当然の事。だが、デモコン理論のそれは間違った方向に向かっていったんだ。

ローズ「と言うと?」

まず初めに、アグロやビートといった、特定のカードに寄らない、何処を取っても内容が均一なデッキに対応する理論だと言う事が忘れ去られた。

次に、デモコン理論そのものへの認識が歪んだ。
もともと無作為なカードの破棄もデッキ圧縮の手段として成立しうる事を説いた筈の理論だったが、いつしか重要なカードをサーチなどで破棄してしまった時の言い訳に使われる様になった。
リリ様を落としてしまった!だが仕方ない、これもデモコン理論だ。
と言ったら具合にな。

ローズ「あ…」

その様子、お前も何か心当たりがある様だな。黄金姫よ。

そもそもこのバトスピにおいて、デモコン理論が通用するケースはほぼ無い。
どのデッキにも防御札やキーカードが存在するからな。
デモコンが通用デッキがあるとすれば、何を引いても差して変わらないと言う点で01詩姫くらいだろう。もっとも、01にデーモンコントロールなど入らないがね。

良いか盟友よ、とにかくこれだけは覚えておけ。

サーチで運悪く強いカードを破棄してしまう事とデモコン理論は、一切何の関係も無い!!!

ローズ「!」
キャロン「そう…ですか…」

※解説ここまで

第四幕:悪魔の理論も此処には届かぬ

「導魔や血契約の紹介でたびたびデモコンと言う言葉を聞くが、厳密にはあれは間違いだ。
奴らはただ、破棄したら効果が発揮しトラッシュからカードを戻せるからデッキを削っているだけに過ぎん。純朴なディスアドについて考えるデモコンとは、そもそもの本質がかけ離れているのだ。」

ソルディシアの長い講談が終わり、二体の詩姫はデモコンについて深く理解する事ができた。

(最初は変な方かと思いましたが、中身は案外ちゃんとしておられるんですのね。)

ローズは彼女の事を見直し

「うわーん!ごめんなさーい!」

キャロンは先程の召喚時の事を思い出し、更に落ち込んでしまった。

「こらこら泣くな盟友よ。ほら、上を見上げてみろ。」

「グスッ…え…?」

キャロンは空を見上げる。
昼間だと言うのに、月が煌々と輝いていた。

「神閃月下。我々を導く永劫の光。盟友よ、お前の召喚時で、ちょうどトラッシュが11枚になったのだ。」

「!」

「盟友よ、幸いにもお前はデーモンコントロールでは無い。
お前は我が盟友、そして、一枚手札を増やしたり、一枚か二枚デッキを落とせる、我らがサルベージアブソリューツのエンジンなのだ。」

まとめ

今回は、キャロンからデモコンの話になったのが不思議に思ったのでつらつら書きました。
ご意見、ご感想等ありましたら是非是非お寄せ頂ければ幸いです( ^∀^)

では最後に、私の最推しを紹介して終わりたいと思います。

で、ナナカシロナガさんはいつオンステージするんですか???????

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