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小児科医と我が子の病気
18年前の今日、まだ生後2ヶ月になったばかりの娘が手術を受けた日
バレンタインの日だったこともあり
毎年この日を思い出している
あのとき、あの先生方にオペをしていただいたお陰
あのときの、脳外科チームの先生方…お元気だろうか
娘の病気は、
『頭蓋骨早期癒合症』
頭蓋骨縫合早期癒合症とは頭蓋骨縫合のどれか、またはいくつかが通常よりも早い時期に癒合してしまう病気で、狭頭症(きょうとうしょう)とも呼ばれます。海外の報告によると出生1万人当たり4-10人と言われています。原因はほとんどわかっていませんが、胎児期の子宮内での圧迫や締め付けなどにより生じるという説があります。また、一部は遺伝子異常が報告されていますが、詳しい解析は今後の課題となっています。
最初に気付いたのは妊娠後期だった
エコーを見ている主治医から「頭、長っ!」って言われて
その意味がその時は私も多分主治医もわかってなくて
「まだ丸くもなってないから産まれないねー」
ってくらいの話で終わっていた
そして実際出産の日を迎えることになるのが
頭がつかえて降りて来ない
促進剤、人工破膜…
児心音低下で緊急帝王切開という流れで
お腹から産むことになった
なかなかの、、、難産になってしまった
そして産後2、3日経った頃だったろうか
主治医から「ちょっと受診した方が良いかと思う」と話があった
確かに、頭は長い
でも、明らかに産後の私は「小児科医」としての視点を持てずにいた
というか、とりあえず無事に生むことができた安堵と
初産だったので「お世話」に頭がいっぱい、だったような気がする
なので言われたときは
えーー!そう!!!?
そんなことない?
ある?ほんま?
と気持ちは行ったり来たり….
どのタイミングで何が進んだのかよく覚えていないけれど、
産婦人科入院中に
母子センター、兵庫県立こども病院、大阪市立総合医療センター
それぞれに受診し、検査と治療方針を立ててもらった
それぞれ提案された術式が違い、
中には今後のIQや発達への影響の話をされたところもあって
付き添いできていた母が隣でほろほろ涙を流していたのを思い出す
自分の感情は、全く覚えてない…..
(とにかく通院で必死だったのかな)
当時は決まった術式もなく
(というか、最近また調べ直してみたが、
今もいくつか方法はありそうな感じ)
結局色々と知り合いの先生にも相談して
一番、地縁のあるところの施設で、「縫合切除術」を受けることにした
入院生活は丸1ヶ月
付き添い入院ではなかったので、毎日母乳をせっせと運ぶ生活
術前術後とも心地よく過ごさせてもらい、
途中で母より担当の看護師さんへの方がよく笑うのでは?!
たくさんスタッフの方ともお話しさせてもらった
往復は大変だったけど
なんか目まぐるしく過ぎていった入院生活は本当に良くしてくださったなぁと
そしてそこから
脳外科は12年
形成外科はコロナに入って行けなくなって終診
となってしまったけれど
無事に元気に成人できたこと、
当時の主治医、執刀医先生方にいつか伝えたい、と、思う
子どもの先が読めないときは
なんで、自分の子が….と、何度も何度も思ったし、
自分のせいでこんな風に産んでしまった、とも思った
論文読み漁って将来のことを考えて不安にもなった
でも、、、目の前の我が子がとてもとても愛おしく
ただただ愛おしく
今できることをするしかない!、と
また次の「発達を促すこと」にフォーカスを当てて
本を読み漁った
早期教育は普通は「賢い子に育てる」ことがスタートにあるかもしれないけれど
私にとっては、
”よりよく発達が進むように”
”普通の生活が送れるように”
”きちんと自立できるように”
そんな思いだったような気がする
「縫合切除術」
これが最善なのかどうかはわからないけれど、
術後の効果はすごかった
術後切除した部位が一気に広がった
脳が成長しようとしていたところが制限されていたんだろうな、狭かったね、、、
と思わずにはいれないくらい
その後は広がり過ぎて骨欠損が残るのではと不安もあったけれど
予測より少し早く閉じた
そして当時はまだなかった、「ヘルメット治療」
形成外科の先生がギプスで手作りしてくれて、それをはめた
振り返っても本当にたくさんの人に支えてもらって乗り越えて来れた
素晴らしいチームだったし
形成外科の先生も時間をかけて手作りしてくださって….
最善を目指して治療してくださった
このことを私は娘にも話していて
きっと娘の大きな力となっていると思う
そして私もまた、
スーパードクターズにお会いできたお陰で
人の役に立てるように日々の診療頑張ろうと思えている
本当に感謝しかない
外見ではほぼなにもわからないけれど
まだ頭はゴツゴツのいびつなままで痕が少し残っている
髪をとくのが痛いと言ってたときもあったけど
私に何一つ文句も言わない娘
病気なく産んであげれなかったこと
本当ごめんね、とまだ思うけれど
本当に素晴らしい先生方との出会い、この経験で
大きな力をもらったことには違いないから
医師になって恩送りする彼女の力になることを祈っている