【ふしぎ旅】嫉妬する神様
新潟県の弥彦神社は越後一之宮にして、歴史も古く、新潟県最大のパワースポットなどとも最近は呼ばれている。
この弥彦神社は、地元新潟では、かなり有名な噂がある。
それは、弥彦神社でデートしたカップルは別れるという噂だ。
井の頭公園などが有名であろうか。全国どこにでもあるお別れスポットの話だ。
この噂の理由付けとしては、弥彦の神様は女の神様だからカップルで行くと神様がやきもちを妬いて別れさせるということらしい。
しかし、実際には弥彦の神様は男の神様だから、カップルで行っても大丈夫だよと、迷信にすぎないんだよというオチがつくわけだ。
ここで、疑問を感じる方も多いだろう。
なぜ、女の神様だと”やきもち”を妬いて、男の神様だと”やきもち”を妬かないのだろうか
”やきもち”を妬くということは、男女共通であり、自分が不幸な時に、あるいは寂しいときに、幸せそうなカップルを見ると、嫉妬心を持つというのは、男であっても当然のことだろう。
そう考えると、神様が男であろうと、女であろうと、やはり弥彦神社でデートしたカップルは別れるという噂は真実味を帯びてくるわけだ。
つまりは弥彦の神様は、独り身のさえない神様、という仮説が出てくる。
しかし、実際のところはどうなのだろうか。
「おやひこさま」と呼ばれる弥彦神社の御祭神は天香山命(あまのかぐやまのみこと)で天照大神の曾孫にあたる、非常に位の高い神様です。
神武天皇の命を受け、熊野(和歌山県)から越後に渡り、越後の人たちに、製塩技術、漁業、稲作など農耕術、製鉄技術などを伝えたとされています。
なお、能登(石川県)の「伊夜比女神社」と弥彦神社は夫婦関係にあると言われています。
・・・奥さんがいるということは、独り身ではないということだな。
少々期待はずれであるが、カップルに嫉妬するさえない独り身ではなさそうだ。
さらに詳しく調べると、7月末日に能登で行われるオスズミ祭とい火祭りは「伊夜比女神社」の女神が弥彦神社の男神を呼んで、年に一度の夫婦の逢瀬を楽しむ儀式だとか、何とか。
さらにだ、一説には熊野時代の妃、熟穂屋媛命(うましほやひめのみこと)というのもいるらしいのだ。
複数妻の存在!
・・・しかしだ。こんなに充実している神様が、なぜカップルに嫉妬する神様などとされているのだろうか。
一説には、弥彦の神様は、熊野時代の妃である熟穂屋媛命も祀られているので、「伊夜比女神社」と元夫である天香山命の仲を妬んで、カップルを別れさせるのだという話がある。
また、かつて弥彦神社があるところは温泉街で、遊郭もあったので、女郎買いをする男たちが、彼女や妻を連れてこないための方便として、そのような噂をたてたのだとも言われている。
こちらの方が話としては面白い。
とは言えだ。
私としては、やっぱり嫉妬する神様がいると思うのだ。
リア充の、天香山命をのぞき見ながら、いつも悔しがってハンカチを噛みつつ、他の女神に声をかけても全く相手にされないような、そんな神様がいると。
そして、あまりにも自分が惨めな境遇が悔しいものだから、八つ当たりして、参拝に来るカップルに石をなげて別れさせるのだ、その神様は。
そんな神様がいたら、神様でもそうなのかと、ホッとして、心が安らぐと思うのは私だけではあるまい。