【ふしぎ旅】慈光寺
新潟県五泉市(旧村松町)に伝わる話である。
慈光寺は旧村松町の中心部の外れにあり、山の麓の何も無いところに、こんな立派な寺がどうしてという感じで存在している。
伝説にもあるように由緒正しい寺で、参拝客も少なくない。
杉並木を抜けていくと石仏などを見ていくと、大きな池だったという本堂がある。
立派な院庭を中に置き、それを取り囲むように本堂他がある七堂伽藍である。
庭の中央に蛇が枕にしたという石がある。
さて、女神になったはずの大蛇であるが、そのまま息絶えずに、流れ出た水は能代川となり、信濃川に合流し、日本海へとたどり着いたらしい。
伝説にもあるが、能代川はかつては九十九曲川(くじゅうくまがりがわ)と呼ばれるほどの激しく蛇行する川であった。
一説には、日本海では無く、新潟の白山神社にたどり着き、そこで神となったとも言われている。
白山神社の本殿の裏手にある蛇松神社が、それだとか。
松の幹の皮が 蛇の鱗のようにみえるのが特徴である。
さらには、大蛇は2匹に分かれ、一方は白山神社に、もう一方は長岡の高龍神社へとたどり着いたという伝説もある。
新潟屈指の名刹である慈光寺より生まれ、かつては新潟県社であった白山神社に祀られるとは、さらには、県内でもパワースポットとしても知られる高龍神社まで関係してくるとはこの大蛇、どれだけの妖力があったのだろうか。
とは言え、霊峰白山より流れ出る能代川(実際には、少しずれるが)は、洪水などのたびたびの水害をもたらしながら、大河、信濃川に合流し、日本海へとつながっている。
その姿は、昔の人から見たら、巨大な神秘的な生命体のように感じても不思議はないであろう。
この一帯の川には川の主が多いらしく、早出川につながる仙見川には大蝦蟇がいる。
早出川の東光院には龍神がおり、こちらは阿賀野川へとつながり、日本海へ出る。
いずれも、水辺への畏敬と、その神秘さからから生まれたのであろうと推測される。