【ふしぎ旅】龍神沼
山形県西川町に岩根沢三神社という神社がある。
ここは、出羽三山の月山への登山口があり、古くより修験者が集まるところであった。
現在でも、山形県のパワースポットとして名高い。
この神社の近く、田畑が広がる中に、鬱蒼とした林があり、その中に龍神沼と呼ばれる小さな沼がある。
この、沼にはつぎのような伝説が残されている
昔、ある沼の主であった龍は、村に住む一人娘をさらう。
元武士であった老いた父は怒って、娘を救わんと、沼深く潜り、斬り込み一太刀を浴びせるが逃してしまう。
そこで元武士は栗の木の皮を剥ぎ、沼いっぱいに投げ込むと沼の水は栗渋で真っ黒になった。
龍は渋攻めに耐え切れず、牛首に変身し大空をめざし飛び去っていった。
しかし悪いことをした龍は、何処に行っても神々にとがめられ、行くところなく大空をさまよう。
その時、雲の切れ間から下界に青々とした沼が見えてきたのが龍神沼である。
龍は神々の慈悲とばかりに、その沼に舞い降り、主となり心改め世のためにつくした。
干ばつには雨を、長雨には晴天を、稲作、養蚕の守り神として、崇め祀られた。
後に文政13年(1830年)龍王神社として奉斎される。
1830年というと幕末一歩手前で、日本国で不穏な空気が流れる直前だ。
そこまで古くない時代に龍神が舞い降りたという伝説なのだから、案外と龍とまでは言わないまでも、不思議な出来事があったのかもしれない。
あるいは、その頃、山形では不作が続いたので(天保の大飢饉が1833年である)、急遽、田畑の神として、龍神様を立派にしようとしたのかもしれない。
ところで、この龍神沼、それまではよくある村の伝説に過ぎなかったのだが、1976年に実際に龍が目撃され、全国的に知られることとなった。
目撃者は、この龍神沼の近くで農作業をしていた2夫婦4人と複数人だ。
夕暮れ時、この龍神沼の上を、全長4メートル、太さ30センチの物体3体が上下動をしつつ、旋回して飛んでいたという。時間にして約1時間半と、かなり長い時間だ。
これは地元の新聞記事にもなり、今でもオカルト系の書籍では、扱われることが多い事件だ。
また一説には、この龍は、小山を超えたところにある鶴部という集落からやってきたというが、この鶴部という集落は1980年代に田圃にミステリーサークルが見つかったことで知られる。
案外と、この辺りは不思議な力が満ち溢れており、それが龍と言う形になって表れているのかもしれない。
あるいは、もしかしたら、龍神とは何者かによるこの近辺を偵察する小型の無人飛行体なのかもと想像すると、とても面白い。
お読みいただきありがとうございます。 よろしければ、感想などいただけるとありがたいです。