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「マチネの終わりに」を評価するところ(ネタバレ含む)
「マチネの終わりに」の小説を読んで、または映画をみて、改めて思ったことをまとめます。
ネタバレがあるので読む際には気をつけてください。
マチネの終わりにについて、散々Facebook上に書いたんだけど、僕が最も評価している点は、ネタバレ部分で、その部分については書いていなかったので、noteに書きます。
Facebookの記事はこちらから
映画「マチネの終わりに」
小説「マチネの終わりに」
あらすじ
まずは、「マチネの終わりに」の小説や映画をみたことのない人のために、あらすじは次のとおりです。
世界的なクラシックギタリストの蒔野聡史は、
公演の後、パリの通信社に勤務する
ジャーナリスト・小峰洋子に出会う。
ともに四十代という、
独特で繊細な年齢をむかえていた。
出会った瞬間から、強く惹かれ合い、
心を通わせた二人。
洋子には婚約者がいることを知りながらも、
高まる想いを抑えきれない蒔野は、
洋子への愛を告げる。
しかし、それぞれをとりまく
目まぐるしい現実に向き合う中で、
蒔野と洋子の間に思わぬ障害が生じ、
二人の想いは決定的にすれ違ってしまう。
互いへの感情を心の底にしまったまま、
別々の道を歩む二人が辿り着いた、
愛の結末とは―
映画「マチネの終わりに」HPから引用
簡単に言ってしまえば、クラシックギタリストの蒔野聡史とジャーナリスト小峰洋子との純愛です。
二人がとにかく相手を思い続けるというお話です。
評価するところ
僕がこの小説を評価しているのは、蒔野のマネージャー三谷早苗の存在でしょう。
早苗は洋子の対比として描かれています。
華やかな洋子に対して、地味な早苗。
柔軟さに対して、かたくな、
蒔野と価値観が一致するのに対して、価値観が一致しない。
特に最後については、蒔野と洋子の最初の出会いの場面で際立たされます。
洋子の言うことにいつまでも早苗は理解しないのに、蒔野は一瞬で理解します。
そうすることで、蒔野と洋子の心の距離が縮まることを演出してます。
そして、僕がこの作品を最も評価しているのは、早苗が物語中盤で裏切り行為をするところです。
早苗が蒔野になりすまして、洋子にもう会えないとメールを打つんです。
このシーンを初めて読んだ時、ショックで心が震えました。
早苗のこの裏切りにより、二人はすれ違い、別の人と結婚し、新たな生活をしていくことになります。
正直、このシーンを読むまでは、つまんない話だと感じてました。
美男美女の恋物語が、何が面白いんだろうと思ってたんですよね。
それがこの事件が起こることで、物語の様相が変わってきて、俄然面白く感じるようになりました。
蒔野も早苗も苦しむんですが、早苗もやっぱり苦しむ様子が描かれていてそこもいいんです。
人生を変えてしまう出来事をそれもほんの出来心でやってしまい、そのうちバレるはずと思いながら、バレずにどんどんと物事が悪い方へ転がってしまいます。
そうしたことで、早苗は罪悪感にさいなまれていきます。
早苗は二人に真実を数年たってから打ち明けるんですが(小説では不用意な一言を言うことでバレてしまうことになっています)、早苗にとってそうすることでホッとしたところがあったんじゃないかな?!
最後、真実が判明したあとニューヨークのセントラルパークの池のほとりで蒔野と洋子の二人が再開する所で終わるんです。
二人のその後の人生がどうなるのか、考えさせるところで終わっていて、想像力をかき立てられる終わり方で、これまたいいんですよね。
二人には明るい未来が待っていてほしいです。
マンガ
小説、映画もいいんですが、マンガも実は、連載中です。
小説、映画、マンガと描き方が微妙に違っていて、面白いです。
微妙な違いに注目するのがオススメです。
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