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女性アスリートのための医学 その1


最近,スポーツ関係の現場では,「女性アスリートのための医学」
に関する話をよく耳にするようになっています.
私がこの1年間で参加した複数の学会でも
同様の話題が取り上げられていました.

女性特有の悩みや,女性アスリートが陥りやすい問題など,
女性アスリートの健康問題についての認識が高まってきています.

ダンサーもアスリート並みのトレーンニングを行っていることからも,
女性アスリートの健康に関する問題を知っておくことは,
とても重要です.

女性アスリートの問題点を分類すると,
・女性アスリートの三主徴
・月経随伴症状
の2つに分類されると言われています.

2回に分けて,ざっくりと説明していきたいと思います.
今回は女性アスリートの三主徴についてまとめます.

女性アスリートの三主徴について

三主徴は
①利用可能エネルギー不足(以前は摂食障害とされていた)
②視床下部性無月経
③骨粗鬆症
の3つの疾患のことです.

三主徴の始まりは,エネルギー不足からと言われているので,
順番に見ていきましょう.

①利用可能エネルギー不足

運動によるエネルギー消費量にあったエネルギーが確保されていない状態
のことです.
アメリカスポーツ医学会では

成人では BMI:17.5kg/m2,
思春期では標準体重の85%以下

を用いて評価しています.

エネルギー不足が続くと,
脳の下垂体から黄体化ホルモンの分泌がおさえられ,
排卵が起きなくなります.

これが月経不順や無月経へとつながります.
最近では,ローザンヌ国際バレエコンクールでもやせすぎのダンサーは
出場することができないというルールも設けられたと聞いています.
芸術であるバレエは,審美面も評価の一つに入ることから,
幼いころから食事制限をしてしまうことが多い傾向にあるかと思いますが,
運動に見合ったエネルギーを摂取することは重要です.


②無月経

無月経になると,エストロゲンの低下により,骨密度が低下することがわかっています.
これにより,疲労骨折のリスクが高まります.

③骨粗鬆症

骨粗鬆症は閉経後の女性に多いという認識の方も多いと思いますが,
10代から20代のアスリートでも,①,②のような状態のアスリートでは
珍しいケースではないようです.

カルシウムやビタミンDを摂取して,骨を強くして,
タンパク質もしっかりとって,筋を強くして,
炭水化物をもちゃんと摂取して,エネルギー不足にならないように
気持ちよく運動することがとても大切です.

研究から

「月経があると面倒だし,生理来ないほうがいいや」
と考える人は一般女性の方を含めて,とても多いかもしれません.
特にスポーツをしていたり,踊っている人には
そう考える人は多いかと思います.
実際,昔の私もその一人でしたが,今勉強を重ねることで,
その考えは間違っていたんだなぁと気づかされました.

今考えるとありえないような
炭水化物抜きかつ野菜中心のダイエットをして,
身体の調子が悪くなったり,疲れやすくなったり,
実際,中足骨の疲労骨折やシンスプリントも抱えていました.

月経不順にもなって,バレエを辞めてからも
ここ最近まで悩まされていました.

ちゃんと栄養バランスを考えて食べるべきだったなぁと
とても後悔していますが,過去の私には今の知識はありませんでした.
過去の自分に教えてあげれるものならおしえてあげたいですね.

その代わりに,今この記事を読んでくださっている方々に
少しでも,情報が届けることができれば,嬉しいです.
次回は月経随伴症状について少しまとめてみたいと思います.


参考文献
・Health management for female athletes ver.3 (The University of Tokyo Hospital)


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