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「色」をテーマにカフェを出したよ!って話

はじめまして、じゃいると申します。

昨年、2019年の駒場祭で私たちは、「色に気づく、色を味わう」をテーマに「cafe虹茶(にじちゃ)」というお店を出しました。
赤・青・黄・緑といろんな色のお茶が楽しめるから、紅色の茶じゃなくて虹色のお茶だね、ということで「虹茶」です。

当日はおかげさまで、昼の時間帯には席が全て埋まるほどの大盛況でした。
この記事では、私たちがどんなお店を、どんなことを考えて作ったのか書いていこうと思います。

カフェ虹茶

赤、黄、緑、青色の4色のお茶とお菓子を食べることができるカフェを出しました。お茶の色にフォーカスしてもらうために、お茶のメニュー開発はもちろん、部屋の装飾にもこだわり尽くしました。

当日のメニュー

ブランディングと制約

さて、カフェを開くにあたってまず最初に考えたのは、いかにして他のカフェではなくdesigning plus nineのカフェを選んでもらうか、です。そのために私たちが行うのが「ブランディング」です。designing plus nineのカフェはどんな価値があるのかをお客さんにアピールし、同時にサークルのメンバーにも共有して、サークルとして何を目指すのかはっきりさせます。
しかしブランディングはそう簡単にはいきません。限られた空間、限られた予算の中でそれを実現しなければいけません。

空間的制約について

私達がお店を出したのは、登録有形文化財であり駒場で一番古い1号館。
駒場の象徴的存在であり雰囲気も抜群で、駒場祭に来た多くのお客さんはこの建物に立ち寄るため、集客は期待できます。

しかしながら、ブランディングで独自の世界観を出したいとなると、その雰囲気は障害にしかならない。外面はカッコ良くても中は薄汚れているし、お洒落なcafeを出すとなると到底理想的とは言えない環境です。
この場所で、どのように店舗設計を行うかは、まさにデザインの腕の見せ所というわけです。

駒場1号館

体験のデザイン

昨今、「デザイン」の幅が広がり、グラフィック・家具・建築などの有形のデザインだけでなく、体験のデザイン(UXデザイン)もデザインとみなされるようになってきました。

私たちの中でも、空間的な制約があまりにも強い中、制約の少ない「体験」の方からアイデアを膨らませていけないかという意見が出ます。
そこで、そもそも決まっていた「色」と「カフェ」という要素と、駒場祭に来るようなお客さんが何を求めているか、お客さんがどんな体験をできたら嬉しいか、から逆算してアイデア出しをしていきます。例えば…

・色で飲むものが変わる
長所=直接的、カフェという場所と相性が良い、色というテーマの説得性
短所=飲み物選びが大変、種類が限られそう

・色で座るところが変わる
長所=内装のイメージが変わる、わかりやすい
短所=連れの2人が違う色選ぶとバラバラになってしまう

・色でもらえるもの(持って帰れる)が変わる
長所=思い出に残る
短所=カフェという場所と相性が悪い

・色でサイドメニューが変わる
長所=カフェで自然
短所=説得力がない

この中から絞り込んでいった結果決まったのが、「色で飲み物を注文する」という少し奇妙な体験です。
この体験を主軸に、色で飲み物を注文する前にどんな体験があると良いか?逆に、注文した後どんな体験が待っていれば楽しめるか?を考えていきます。考えて考えて…でも良いアイデアって実際作らないと出てこないんですよね。

メニュー開発のための試作会中。

「これ、コップの下からスマホのライトで照らしたら、いい感じになるんじゃない?」

メンバーのふとした一言から生まれたのが、この妖しく光るお茶です。
当日はお客様一人ひとりにお声がけして、部員のスマホを貸し出して楽しんでもらいました。

バタフライピー

キービジュアルのデザイン

さて、体験のデザインと、「色に気づく、色を味わう」というコンセプトをもとに、ビジュアルを詰めていきます。
ビラやWebサイトに載せる画像なども、「お茶の色をとにかく目立たせる」「お茶から色以外の要素を極力排除する」というコンセプトのもとで制作します。
ロゴの背景にあるシミは、実際にお茶で紙を染めたものを写真に撮り、加工したものです。

また、お茶そのものの色も写真を加工してグラフィックに。

店舗のデザイン

体験のデザイン、キービジュアルのデザイン、と来て最後に店舗のデザインです。

店舗の空間設計はお客さんの体験をもとに考えます。ここで会計して、ここでお茶を受け取って、ここに座ってお茶を飲んで、ここにコップを捨てて、ここから帰る…という一連の流れと、お客さんがどういう感情を持つかをイメージしながら、動線や机の配置、ゴミ箱の位置まで考えていきます。

また今回の教室カフェには、黒板や棚などで学校感が出てしまう、薄汚い、薄暗いといった空間的な制約があります。
この課題の解決のために、全体を白やベージュ、茶色であえて統一することで、無理のない範囲で部屋全体に統一感をもたらし、お茶の色が目立つようにしました。教室用のテーブルや椅子を目立たせないために、椅子やテーブルのカバーもメンバーが自作し、「お客さんからどう見えるか」を常に意識しながら店の装飾作りをしていきます。

白い布を垂らしアトリエのような雰囲気をつくり、黒板アートを描いたり。

木をハンダゴテで焼いて作った看板を作ったり。

カウンター席にはパレットのような短冊を。

これ以外にも、紹介し切れないほどたくさんのこだわりを詰めて、一つのカフェを作りあげました。

当日

そして当日。
当日もお客さんを観察し、更新できるところは更新していきます。
例えばビラ配りでも、廊下の人の会話や目線を観察することで、店に興味を持ってくれた人に最適なタイミングでビラを渡せるようにしました。

興味を持った瞬間にはまだ渡さない
意外なことに興味を持った瞬間にビラを渡すと、多くの方が去っていった。「あとでビラを見ればわかるか」となってしまったのかも。
**
しばらく様子を探り始めたら渡す**
興味を持った人は以下の行動をよくとる。
1. 中の様子を廊下から覗く
2. ドアに貼ってあるビラの裏面を読み始める
3. 同行者に「え、ここ良い感じじゃない?」と話しかける

これらの「直観的に気になる!」→「冷静に入ろうかなどうしようかな」のフェーズに移行するあたりでビラを渡すと、お客さんに入店の意思決定を促すことができた。

また、お店の一角でプロジェクションマッピングをしていたのですが、動線の都合上部屋の奥に追いやられていたので、お客さんの興味をひくことができるようにするべく期間中に大規模なレイアウト変更をしました。

プロジェクションマッピングの様子

最後に

designing plus nineのメインはデジタルデザインですが、デジタルだけがデザインの対象ではありません。さらに言うと、「もの」だけがデザインの対象ではありません。
「お客さんがどう感じるか」に注目した「体験のデザイン」からカフェのブランディングを始めたことで、制約がある中でも、統一感があり、かつ遊びがあるような店舗を作ることができたのだと思います。

新歓情報

今年も例年通り新入生を募集しております。
デザインに興味がある方であれば誰でも、所属・学年問わず、ぜひご連絡ください!

新入生歓迎特設サイトです!↓

※オフラインでの新歓説明会は大学の要請を受け全て中止になったのでお気をつけください🙇‍♂️最新情報はTwitterでご確認をお願いいたします。

文:じゃいる(東大,2019年入部)

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