【朗読台本】 弔辞 【0:0:1】
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【概要】
・所要時間:5分
・人数:不問1
※男女比は執筆時の想定です。指定するものではありません。
【登場人物】
・朗読者:あなた
【本編】
お久しぶりです。
いやお久しぶりではないですね。
でも、随分とご無沙汰していたような気持ちです。
「何を真面目な顔をして」と、笑っているのでしょうか。
うらやましい限りです。
僕はまだ、笑えません。
あなたが亡くなったと聞いた時は
不思議と驚きよりも、「そうか」と吞み込めた気がしていました。
自分でも奇妙なのですが、受け入れられた気がしていました。
あなたが亡くなったことで、今、僕より大変な人がいる。
落ち着いて力にならなければと、僕は冷静でいられる立場なんだと
冷静でいなくちゃいけないんだと、
そう思っていたからなのかもしれません。
おかげさまで慰めるばっかりで、僕はまだ泣いていません。
どうだい。悔しいですか。
化けてでてもいいですよ。今日だけは。
こういった場で、長々と思い出話をすると
きっとあなたは「白々しい」とまた笑うでしょう。
だから、あなたとの思い出は、みんなしまっておくよ。
あなたが修行を終えて、仏になったら、解禁にするよ。
聞きにくるかい? 来たらちゃんと合図してくれよ
7月は暑いよ。
勘弁してよ。
残された僕たちは。
さっき、みんなで固く誓いあいました。
僕らは絶対に冬に死ぬって。
勘弁してよ。
本当に。
本当にこれが、あなたにかけられる最後の言葉なんですか。
まだいいですよね。
きっと明日には。もっとぐっとくる素敵な言葉が思い浮かぶんですよ。
どうして もう一日待ってもらえないんですか。
いいでしょう、一日くらい。
「しょうがないな」って言ってくださいよ。
勝手に死んで、人の都合も考えずこんな、呼びつけておいて。
一日くらい待てるでしょう。それが大人でしょうよ。
少し、後悔してるのはさ。
一緒にいた一日一日をさ。
言おうと思って、照れてひっこめた言葉をさ。
何か、こう、何気ないやり取りをさ
もっと大事にすればよかったよ。
もっとちゃんと伝えればよかったよ。
こんなことになるならさ。
僕が馬鹿だったんだよ。
言えばよかったんだよ。
どんなにあんたにからかわれようと
もっとまっすぐ、言いたいことをいえばよかったんだ。
あんたのからかいなんて、ただの照れ隠しだって知ってんだよこっちは。
冗談じゃないよ。
冗談だったらよかったよ。
あんたのせいで無茶苦茶だよ。
僕だって、隅っこでただ泣いていたいよ。
だからもう、僕は二度と、弔辞は読まない。
最愛の人は、本当に言いすぎだけど。
間違いのない言葉を贈るよ。
愛するあなたへ。
今までありがとう。
せいぜい元気で。
いってらっしゃい。
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