「誰がこんなの買うんだよ」からの逆転大ヒット 「手のひらネットワーク機器」誕生秘話を聞いてみた
こんにちは。ドヴァ マーケティングサービス部のちーなです。
カプセルトイ業界に突如舞い降りた話題の商品「手のひらネットワーク機器」。2023年6月の「interop Tokyo 2023」にて発表するやいなや、売り場によっては翌日完売、1週間後には増産が決定し、9月には再版という人気っぷり! 今年6月には第2弾も発売され、ネットワーク機器というかなりニッチな題材にも関わらず、累計10万個の販売を記録しています(2024年8月時点)。
ドヴァのnote記事でも何度か登場している本商品ですが、このたび企画・総合監修を行っているエーピーコミュニケーションズさんに、開発秘話を伺うことができました!
事の発端は、弊社の定期オウンドメディアミーティングにて。
「いや~、手のひらネットワーク機器、面白いですよね」
「どんな経緯で制作されたんだろうね」
「企画者さんにお話聞けないかな」
「そういえばプリセールスの○○さんが監修のエーピーコミュニケーションズさんとコネクションあるって言ってたような……」
「よし、ダメもとで連絡をお願いしてみよう!!」
こんな感じで突発的に思い立ち、さっそく連絡を取ってもらったところ、こんな返信が……。
OKいただけました!!!!
8月某日、オンラインでの取材が実現。当日は企画からリリースまで携わった広報担当のコバヤシさんとコマツさんに、直接お話を伺うことができました。
◆きっかけは「インフラ業界を盛り上げたい」
以前から「ITインフラを目指す人が少ない」「自社の名前を知ってほしい」「採用につながることがなにかできないか」と試行錯誤していたというエーピーコミュニケーションズさん。過去には「インフラエンジニア川柳」を企画したことで注目が集まりましたが、刺さるのはエンジニアや川柳マニアなどのコア層ばかりでした。
もっと一般の人に知ってもらう企画がなにかできないだろうかと考えていたところ、音響機器のミニチュアカプセルトイにはまっている友人の姿からひらめきます!
◆断られ続ける日々
さっそく企画書を片手に、さまざまなカプセルトイメーカーに提案を始めてはみたものの、そもそも企画書を持ち込むこと自体NGのメーカーもあるようで、思うように話が進まず……。
そんな中、「手のひらPC」シリーズを制作した「ターリンインターナショナル」さんへ企画を持ち込んでみたところ、「面白いですね、やりましょう!」と賛同を得ることができたそうです。
余談ですが、実は「手のひらネットワーク機器」は「手のひらPC」とも接続できるそうなので、お持ちの方は是非お試しを!
「企画書を作りあちこちに提案してまわること自体は、前職での営業経験もあったので苦ではなかったのですが、そこからが大変でしたね」とコバヤシさんは振り返ります。
◆もう1枚の大きな壁
製作会社さんが決まり一安心 と思いきや、もう1点重要なことが。
それは、ネットワーク機器の意匠を使わせてもらえる”協力企業”を探すこと。
Interop Tokyo 2022で、国内メーカーはもちろん、外資系メーカーにも積極的に声をかけましたが、担当者ベースで話は盛り上がるものの、なかなか上層部のOKをいただくのは難しかったそうです。
「ご協力いただくメーカー様との間に金銭の授受は発生しないので、お金を生まない企画にどう賛同してもらうかが一番の課題でしたね。当時はココまで盛り上がるとおもっていなかったので、具体的なベネフィットも提示できませんでしたし。もう最後は『想い』に共感してもらうしかないなと」(コバヤシさん)
そんな想いを込め、諦めず声かけを続けたところ、ついに協力してくれる企業が! それに続くように1社、また1社と協力企業が現れ、最終的にはA10ネットワークス、シスコシステムズ、古河電気工業の3社での企画スタートとなりました。
◆作るからには徹底的にこだわる
クオリティの高さにも驚かされた本商品。機器の細かいプリントや、電源コードとLANケーブルの接続部の違いなどあげたらキリがないのですが、中でもこだわった部分を聞いてみました。
「実は私は元エンジニアで。上部ファンは必ず入れてほしいとお願いしました。天板と下板は共通のパーツなんですけど、実は床下にケーブルを通すための穴もあけてもらって。実際に附属のケーブルが通るようになっています(笑)。あとは機器の色を忠実に再現するため、作ってもらったサンプルを基にもう少し濃く、もう少し薄くとか、色の調整は何度も繰り返しましたね」(コマツさん)
なるほど、通りでお詳しい! そして床板のケーブル穴、弊社のエンジニアもばっちり気付いておりました!
こだわって作った部分、気付いてもらえると嬉しいですよね(*'ω'*)
逆にここはできなかった、ということはありますか? という質問に対しては、
「本当は扉や側板まで作りたかったんですが、そうするとカプセルに入らなくて……。さすがに諦めました」とコマツさんは苦笑い。
◆全ては否定的な意見から始まった
さて、そんな苦労やこだわりの末にできあがった「手のひらネットワーク機器」。
当初の目的である「採用」「認知度アップ」にもつながる結果となりました。
SNS上でも大きな話題となった本商品ですが、初めからこれは売れる!という確信はあったのでしょうか?
「売れるという確信はありませんでしたね。マニアックな人に刺さるものを作りたい、企画が失敗しなければいいやという考えでした」(コバヤシさん)
「初めのうちはSNSでも”誰がこんなの買うんだよ”と言われていたりもして。ただそれが逆に話題になったようですね(笑)」(コマツさん)
誰がこんなの……から今では10万個売り上げる大ヒット商品に!
また、その他にもヒットの要因があったようで。
「カプセルトイって、自分が狙っているもの以外が出ることもあるじゃないですか。でもこの商品はいくらダブっても良いんですよ。”冗長化”(※1)できるので(笑)。そこが結構特殊な商品ですよね。あと、エンジニアはガジェット好きが多い。ニッチな業界だからこそ刺さる人には刺さると思いました」(コマツさん)
確かに弊社エンジニアもいっぱい並べて冗長化したいと言っておりました(笑)。
※1. 冗長化…機器に不具合が発生した場合に備え、同じ条件の予備機器を準備しておくこと
◆その他の裏話
「手のひらネットワーク機器」には「1.1」というバージョンもあり、第1弾との違いはケーブルの色。なぜ色が変わったのかというと……?
「もともとLANケーブルと電源ケーブルの色は変えたかったのですが、予算の都合上、同じ色になってしまったんです。それが悔しくて。でも話題になったおかげで(予算がつき)、色を変えることができました」(コマツさん)
ここでも担当者のこだわりが垣間見えました!
そんなバージョン1.1を経て発売された第2弾ですが、企業選定で重要視したことはありますか? と質問したところ、意外な答えが。
「ありがたいことにご協力いただける企業も増えたため、第2段は”色がかわいいもの”を基準で選びました。今度は好きにやるぞー! と(笑)」(コマツさん)
先日この商品を使ってラッキングに初挑戦した弊社デザイナーが、こだわりポイントとして「機器の配色を美しくした」とコメントしていたので、そういうことか! と妙に納得してしまいました(笑)。
◆まだまだ満足しない!
企画当初の苦悩から細部のこだわりに至るまで、とても貴重なお話を伺うことができた今回の取材。最後に、今後の展望について聞きました。
「これだけ話題になった商品なので、ついつい次も『手のひらネットワーク機器』を使って何か……と考えてしまうのですが、それだけでは良くないなと思いますね。今後も新たな企画を考えていきたいです」とコバヤシさんは意気込みます。
現状に甘んじることなく、IT業界をもっと盛り上げるために今後も新たな企画を考えていきたいというお二人。
ぜひ弊社もなにかご一緒できたらと思います!
急なお願い&お忙しい中、終始にこやかに対応してくださったご担当者さまへ、この場を借りて再度御礼申しあげます。
ありがとうございました!
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追記
と、この記事を執筆している間になんと新製品が……!
実現されてるーーーーー!!!!
すでに弊社内では「めちゃくちゃ欲しい……」「折り畳みの机もリアル(※別製品)……」とザワザワしています(笑)
「手のひらPC&サプライ」もリニューアルされるとのことで、これは是非手に入れて新しい企画を考えたいですね(`・ω・´)✨