指す将順位戦6th B3 8回戦 vsk2lowさん
こんにちは!動点Pです。最近は夜の気温が下がってきていて、だんだん秋が近づいている感じがしますね。さて、指す将順位戦は残り4局となっていよいよ昇級や降級といった言葉がちらつく時期となりました。私自身は直近で連敗してしまい微妙な位置になってしまいましたが、ここで踏ん張れば入れ替え戦の望みがあるので頑張ろうと思っていました。では、k2lowさんとの対局を振り返っていこうと思います。
対局に向けて
k2lowさんは前期の指す将順位戦では当たったことがなかったので、まずは他の方々との棋譜を見ることとしました。いくつか見てみると、基本的には四間飛車を指していて、後手番だと対抗形の居飛車側を持ったりもしていて相振りも指されているという印象でした。なので、戦型予想の本線は対四間飛車で考えて、いつも通りミレニアムに組もうと決めていました。そして、いくつか見た棋譜の中で八十さんがミレニアムで対抗されていて、その中でk2lowさんが三間飛車に振り直す形にしていました。なので、振り直しに対する指し方をある程度整理してから対局に臨みました。(詳しくは)
本命のぶつかり合い?
開始日時:2021/09/26 21:00:38
棋戦:R対局 持ち時間15分
先手:Iida Line(879)
後手:Kasatanahama(995)
▲7六歩 △8四歩 ▲6八飛 △8五歩 ▲7七角 △3四歩
▲6六歩 △6二銀 ▲7八銀 △4二玉 ▲4八玉 △5二金右
▲3八銀 △3二玉 ▲3九玉 △5四歩 ▲5八金左 △4四角
▲6七銀 △3三桂 ▲2八玉 △2二銀 ▲5六歩 △7四歩(第1図)
先手がk2lowさん、後手が動点Pとなりました。戦型はこちらの予想通り、▲四間飛車vs△ミレニアムとなりました。局後の感想戦では、k2lowさんは僕が右玉党なので右玉で来ると考えていたそうです。僕は対振りでは中飛車にだけ右玉で対抗しているので、それを伝えたところ、おそらくk2lowさんは勘違いで僕はそうやって思われていたことが意外で、お互いそこでちょっと笑っちゃいましたw
さて、本譜に戻りますが先手は早めに▲5四歩と突きました。三間飛車に振り直すのでてっきり▲5四銀型だと思っていましたが、▲5四歩型も全然あるのでここではすぐに△7四歩と指しました。この手の意味としては、先に▲7五歩を突かれないということもありますが、▲5三金~▲6四金~▲5八飛と中央から動かれる手を防ぐために早く△7三桂と指したかったということです。具体的には、△7三桂と指しておけば、▲5三金と指されたときに△8六歩▲同歩△6五桂!(参考図1)のような筋もあります。もちろんこれで居飛車側がはっきり良いという訳ではないですが、そんな意味合いも込めて早めに△7四歩と指しました。
振り直しの善悪
(第1図から)▲7八飛 △3一金 ▲6八角 △5三角 ▲1六歩 △4二金寄
▲4六歩(第2図) △2一玉 ▲4七金 △7三桂 ▲3六歩 △3二金寄
▲3七桂 △9四歩 ▲9六歩 △5一銀 ▲4五歩 △4二銀
▲1五歩(第3図)
第1図から先手は7筋に飛車を振り直してきました。ただ、感想戦でも触れられましたが、こちらが早めに7筋の歩を突いているので浮き飛車に構えづらく、先手から早めに▲7五歩と突いておくべきだったという話になりました。もちろん本譜の進行でも振り飛車側が悪いという訳ではないのですが、主張に乏しいというのは否めません。k2lowさんも▲7五歩と先に突く手をうっかり忘れられてたそうです。
本譜の進行に戻ると、7筋に振り直した後に振り飛車は角を引いて、飛車の働きをよくします。居飛車は金銀を近づけてミレニアムを目指します。第2図は▲4六歩と突いたところですが、これによって角が出てくる筋も無くなったので、かなり穏やかな展開になった思います。
第2図からは互いに陣形整備をして9筋も突きあいました。そして、先手は6五の位を取って▲6四角を見せます。後手は端を詰められてはいますが、ミレニアムも完成して右桂を使える形で、攻める準備は万端です。
飛車先突破!
(第3図から)△8六歩 ▲同 歩 △同 角 ▲4六角 △6四角 ▲同 角 △同 歩 ▲8八歩 △8七歩(第4図) ▲7一角 △8六飛 ▲6二角成 △8八歩成 ▲4八飛 △8五桂(第5図) ▲3五歩 △同 歩 ▲同 馬 △9九と ▲3四歩 △8九飛成(第6図)
第3図からは△8六歩▲同歩△同角と後手から動きました。ここでは▲8六飛が振り飛車の手筋ですが、△7七角成▲8二飛成△6七角成(参考図2)となって先に金駒が手に入って後手良しです。
そこで先手は、△8六歩▲同歩△同角の局面で▲4六角と角を飛び出してきました。角成は許せないので角をぶつけるのは当然の一手です。そして、飛車成を防ぐために▲8八歩と受けましたが、△8七歩と打ったところが第4図の局面になります。
第4図の局面では、後手が龍を作るのを受けるすべはありません。▲同歩は△同飛成が銀桂両取りとなって後手良しです。なので、ここで先手は▲7一角と打ち込んで馬を作りに来ました。ここでは、一分弱小考して△8六飛と浮きました。▲6二に馬を作られたときに一番当たりにくいところが8六の地点だったからです。実際に本譜の進行でも▲6二角成となって、後手は待望の△8八歩成が実現しました。先手は飛車を4筋に逃げて、後手が△8五桂と指した局面が第5図です。
第5図の局面で△8五桂と跳ねたのが味のいい手で、この辺りではこちらが大分良いのかなと思っていました。ただ、飛車をうまく使われると嫌なのと、桂頭の傷が常に残っているのでその2点には注意しながら指そうと思っていました。実際に、第5図からは▲3五歩と桂頭に狙いを定めてきました。実戦では取りましたが、手抜いて攻めあう方針もあったかもしれません。また、感想戦では先に▲4四歩と突いて後に飛車を使いやすくしてはどうかという話も出ましたが、手抜いても問題ないので微妙かな?といった感じになりました。第6図の局面では、後手が先に桂香を拾う形になりましたが、先手の桂頭にも手がかかっていて、先に玉に近いところを攻められているのは形勢はいいですが実戦的には嫌な気分です。
端攻めの是非
(第6図から)▲3三歩成 △同銀右 ▲1四歩 △同 歩 ▲2六桂 △2四銀 ▲5三馬 △1五歩(第7図) ▲4四歩 △同 歩 ▲5四馬 △1六歩 ▲1四歩 △1五香(第8図)
第6図から先手は桂馬を取って、▲1四歩と端を攻めてきました。ただ感想戦でも触れましたが、先手に歩がないので指し手が割と限られていて、こちらとしてはあまり怖い端攻めではなかったです。△同歩と取っておいて▲2六桂と打たれましたが、△2四銀が「桂頭の銀、定跡なり」という格言にあるように、1三と3三の地点を同時に守りつつ馬にも当てているので必然かもしれませんが良い手だったと思います。▲5三馬と逃げますが、△1五歩と取られそうだった歩を逃がしつつ相手の端を詰めることができました。
第7図の局面では、先手はとにかく歩が欲しいので、▲4四歩△同歩とさせてから▲5四馬と玉をラインに入れつつ一歩補充します。そこで△1六歩が気持ちの良い手。詰めろではありませんが、何もしなければ1七の地点でばらしてから再び香車を打って、△3九角!(参考図3)が激痛です。▲同金とせざるを得ないですが、△同龍と取っておいて先手玉に詰めろがかかり続け、後手玉には有効な王手がないので後手勝ちです。
この進行は避ける必要があるので、▲1四歩と香車の効きを止めましたが、1五の地点に香車を設置するのが厳しい一手です。先手はなかなか1七の地点でばらす筋を防ぐ手段がありません。
3敗で踏みとどまる
(第8図から)▲4四馬 △1七歩成 ▲同 香 △同香成 ▲同 玉 △1五香
▲2八玉 △1七角(第9図) ▲2九玉 △1八歩 ▲2八香 △1六桂
▲2二馬 △同金上 ▲3九銀(第10図) △2八桂成 ▲同 銀 △同角成
▲同 玉 △1七角 ▲2九玉 △1九歩成 ▲同 玉 △3九角成
まで102手で後手の勝ち
第8図から先手は▲4四馬としましたが、これはなんともないので1七の地点でばらしていっておそらく寄り筋かなと思ってました。ばらした後に再度△1五香と打って▲2八玉に△1七角と打ちました。(第9図)
この局面で玉の逃げ方は3通りありますが、1筋に逃げるのはどちらも角成で詰みなので、▲2一玉としますが△1八歩が厳しい手でした。同玉は詰みですが放っておいても歩成で詰みなので、▲2八香と打ちますが△1六桂が厳しい追撃です。馬を切って▲3九銀と埋めたところですが2二の地点でばらしてから詰ますことができました。
振り返り、そして次に向けて
一局を振り返ると、まず序盤については予想通りの形になって、あまり時間を使わずに進められたことがよかったと思います。中盤では、うまいタイミングで攻めることができ、相手の端攻めをうまく逆用できたのがよかったです。いつも端攻めには手を焼いていたので少し自信になりました。
ソフトの棋譜解析の結果を見てみると、優勢になってからはひどい悪手を指すことはなかったのでその点は良かったと思います。また、終盤に関して致命的なミスがなかったのは非常にうれしかったです。
これで6勝目となって、指す将順位戦に参加して初めて勝ち越しが決まったので嬉しかったです。ここで踏みとどまれば入れ替え戦に臨める可能性が残されているのでそれを意識しています。9回戦の対局は残念ながら不戦勝となるので、実質的には10回戦の対局が次の対局になります。約一か月の準備期間があるので、しっかりと準備して臨みます。ここまで読んでいただきありがとうございました!!