指す将順位戦6th 自戦記①
0.エピローグ ~自戦記を書くにあたって~
今回は、noteのアカウントを作った記念として、初めて自分の将棋の自戦記を書いてみようと思いました。初めてなので温かい目で見てもらえると嬉しいです。
自戦記の形式としては、他の方のものを参考にしつつ、対局当時の思考をなるべく思い出す形でいきたいと思います。なお、自戦記の中で参考にするソフトは、水匠3の予定です。
1.指す前に…
今期で、第6期となった指す将順位戦には、前期を含めて2度目の参戦となります。前期は4勝7敗で負け越しとなりましたが、かろうじて降級を免れることができました。
そんな中での初戦となったわけですが、お相手はアクティーさんとなりました。棋譜をちらっと拝見したところ、振り飛車党で、角交換振り飛車が来ると思ったので、これは地下鉄の出番かなと考えていました。
2.対局開始! ~予想通りの序盤戦~
先後についてはこちらが後手となり、予想通り、対角交換振り飛車の形になりました。
(初手から)▲7六歩△8四歩▲6八飛△8五歩▲7七角△6二銀▲7八銀△4二玉▲4八玉△3四歩▲3八玉△3二金▲2八玉△7七角成▲7七銀△2二銀▲3八銀△7四歩▲1六歩△1四歩▲8八飛△7三桂▲6六歩△3三銀▲6八銀△6四歩▲6七銀△6三銀▲7七桂△8一飛▲8九飛△6二金▲6八金(第1図)
先手は、8筋に振りなおした後に、6八金・8九飛の好形と片美濃を作ります。それに対して、こちらは片矢倉以外は先手と同じ形を作ります。
ここまでは、よくある駒組ですが、ここから局面は少しづつ動いていきます。
(第1図から)△2四銀▲2六歩△3三桂▲2七銀(途中図)△3五銀▲5六歩△2四歩▲3八金△2一飛▲3六歩△4四銀▲3七桂△2五歩▲同歩△同桂▲同桂△同飛▲2六歩打△2一飛 (第2図)
第1図から、△2四銀が端攻めと地下鉄飛車を見せる第一歩の手です。
参考としては、△2四銀▲4六歩△3三桂▲4七銀△1五歩▲同歩△同銀▲同香△同香▲1七歩△1二香(A図)
この局面は、△2五桂や△1一飛の狙いがあります。評価値的にも、-1000となっていて後手優勢と言えるでしょう。
本譜は、▲2六歩△3三桂▲2七銀と、すぐに銀冠を目指されたので、途中図の局面で、小考しました。
この局面では、先ほどの筋と同様に、△1五銀から端攻めの筋を考えました。ただ、後々桂馬がはねられないのと、以前に実戦でこの筋をやった時にいまいちだった気がしたので、本譜のように銀の組み換えから飛車の転換を狙っていきました。
ソフトで検討してみると、端攻めの筋もどうやらあったようです。
また、この後の局面でこちらが△2四歩と指したところでは、かえて△4四角とする手もあったようです。(B図)
実戦では全く気付かなかったのですが、言われてみれば、なるほどな角だと思いました。おそらくですが、銀交換の狙いもあるのでしょうが、本命は玉頭の歩をかっさらうことだと思います。そうすれば、飛車を転換してきたときの攻めがより厳しくなります。
参考としては、B図から▲3八金△2六銀▲同銀△同角(C図)となった局面で、▲2六銀だと、△3五角と引いたときに金が浮いています。▲4六角と合わせる手には、単に△同角ととっておけば、あとは、ゆっくり玉頭を攻めて、後手良しのようです。ソフトの最善は、▲3六角という手ですが、△2一飛車とまわっておけば、角切りからの割打ちの筋を消しつつ、玉頭に手を付けられるのでいい手のようです。
本譜に戻ると、アクティーさんは銀冠を完成させて、こちらは飛車を転換してから、桂馬の交換を果たしました。ここから局面は、中盤戦へとなっていきます。
3.中盤戦 ~打開…出来るよね???~
(再掲第2図から)▲4六歩△5二玉(第3図)
この△5二玉と寄った手は、正直なところいい手なのかはよくはわかっていませんでした。というのも、最初は、この局面で動かないと手づまりになってくる感じが、対局中はしていました。(後手番なので無理に打開する必要がないということには、書いてるときに気づきましたw)
攻めの手として最初に見えたのは、△3五歩から棒銀チックに行く手で、端を絡めるか、あるいは5四に角を打つなどを含めて考えていましたが、2六の歩を取った時に、飛車の頭を叩かれる手があるのでは?と思いました。同金や同飛車だと桂馬で王手○○取りとなるような手です。その手があると思ったので、一旦玉を寄りました。
ですが、よくよく考えると叩く歩はありませんでしたね。△5二玉に変えて、△3五歩▲同歩△同銀▲3六歩△2六銀(B図)と進んだときには、先手歩切れです。頭の中で、勝手に歩を作ってしまっていました() 実戦って怖いですね…
(第3図から)▲5八金△5四角打▲4七金△7五歩▲5九飛△3五歩▲5五歩△3六角(第4図)
このあたりが本局で一番時間を使った局面でした。△5四角打は、玉頭と桂頭を狙った味のいい手なので、打って損は無いと見ていました。先手は金をあがって、玉周りを固くします。
感想戦で少し触れましたが、▲4七金にかえて、▲4七桂打という手をソフトは推奨していました。銀の進出を防ぐのと、角頭を狙うという2つの狙いがあって、これなら互角の分かれだったようです。ただ、▲5八金としたからには、▲4七金とするのは自然な流れのように思えるので、桂馬を打つ手は難しかったのではないかと思います。
△7五歩と突いたところでは、△3五歩から玉頭を攻めていく手も考えていましたが、1手前で固められた部分でもあり、あまりパッとしない気がしたので、△7五歩を選択しました。
ただ、▲5九飛とまわられて▲5五歩を見せられると、先に△3五歩とついておくべきだったかと後悔しました。▲5五歩には、△3六角と△7六角の二択で迷いましたが、と金ができそうとはいえ、そっぽで嬉しくないので本譜を選びました。
4.終盤戦 ~押し切れるか~
(再掲第4図から)▲3六銀△3六歩▲3六金△2七歩打▲2七金△3五桂打▲3七金△4八銀打▲5八飛△3七銀成▲3七金△3六歩打▲3六金△2七金打▲3九玉△4七桂成(第5図)
第4図から第5図にかけては、読み通りに行った形で、こちらの流れが良いと感じていました。ただ、現局面ではこちらに持ち駒がないのと、飛車を相手に渡してしまうと、相手の持ち駒が多く、簡単に寄せられてしまいそうなので、この2点に気を付けながら寄せていこうと考えていました。
ただ、後で、一人で検討していた時に驚いたのは、こちらが玉頭を叩いた手があまり良くない手で互角に戻っていたのは驚きました。かえて、△3五銀打が最善だったようです。(D図)
ぱっと見は手の意味がよくわからないのですが、▲同金△同銀となった局面では、玉頭の攻めを受けきるのがかなり難しいようです。この局面だと、評価値が-1000を超えていて、見た目以上に厳しかったようです。
玉頭をたたいた時は、同玉が危ないようで最善で、猛攻を食らいますが、本譜よりはいいようです。ただ、かなり受けがうまくないと簡単につぶされてしまいそうなので、本譜の順を選ばれたのかなと思います。
(第5図から)▲4九玉△5八成桂▲5八玉△7六歩▲7六銀△2六金▲2三歩打△3六金▲4七銀打△4七金▲4七玉△2三飛▲5六玉△2七飛成▲5七金打△6八銀打▲4九桂打△5九飛打▲4八角打△4九飛成▲2六角打△3五金打▲3五角△4八龍▲4七金打△5七銀成▲ 投了(第6図)
第5図から第6図まで、少し怪しい部分もありましたが、最後はきちんと詰ますことができました。
ただ、△2七飛成としたところでは、△5九飛から即詰みがあったようです。△5五銀と出て、上下からうまく挟み込めるみたいですね。
※蛇足かもしれませんが、一局を通しての棋譜解析の結果を貼っておきます。
5. まとめ
戦型としては、対局の前に予想していた形となりました。中盤にかけては、少し間違っていた点もあったかもしれませんが、全体としてはまずまずの推移だったと思っています。角を切って攻めて行ったあたりで、こちらがいけるのではないかと思いました。ただ、評価値とは若干の乖離があったので、もっとうまく形成判断をできるようになればいいなと思いました。
指す将順位戦の開幕局ということもあって緊張していましたが、中盤から終盤にかけては、うまく読んで勝ちにつなげることができました。
対局したアクティーさん、そして観戦していただいた皆さんありがとうございました。
6.自戦記を書いてみて
今回初めて自戦記を書かせていただいたのですが、まず、どういった形式で書くのかについて、かなり悩みました。他の方のを見ると、面白いタイトルをつけていたり、わかりやすく解説していたので、そんな形で書こうかなとも思いましたが、正直そこまでの文才はないと思っているので、自分がこんな感じがいいかなと思った形で書きました。なので、割とだらだらと書いてしまった気がするのは、反省点です。
地味に大変だったのは、▲と△を棋譜に付け足すのがかなり大変でした。一個一個に付け足していくのはつらかったですね。他の人はどんな感じで付け足しているのかが気になりました。あと、24からコピペしてきたときは、消費時間も書かれているので、それを消すのも大変でした。最初から、消費時間がかかれていない棋譜のデータがあればいいのですが、そんなデータってあるんでしょうか?教えてもらえると嬉しいです。
ただ、こういった長い文章を書く経験は最近はあまりなかったのでとても良い経験になりました!余裕のある時に、また書いてみたいと思います。ですが、次回からはもうちょっとピンポイントでいくつか局面を拾う形にするかもしれません。
感想や改善点など気になる点があったら、リプ欄など書いてもらえると嬉しいです。