子供が好きじゃない
先日、「高齢になる前に妊娠したい。夫も子供を欲しがっている。でも自分は子供好きでないから心配。」という方から相談を受けました。
特に若い方には、このように悩む方が多いのではないのでしょうか?
少子化が進み、年下の子供と遊ぶ機会や、年下の子供の面倒を見るも機会減り、子供達と時間を過ごすという機会が減ってきています。
毎回日本へ行く度に子供の数の少なさに驚きます。
日頃から、小さな子供達が周りにいて、触れ合う機会が多い、という場合、子供の純粋さや可愛らしさに気づくことも多いと思います。
子供の人口が多い国では、大人達も子供達に優しい傾向にあるように感じます。そのような国では、公共の場で子供がうるさくしていても、白い目で見られることはまずない。むしろ、「元気でいいことだ。」「可愛いね!」と優しい言葉をもらうことが多い。
それに比べて、日本では、世間の目が子供に厳しいように感じます。
特に最近の若い子達は、年下の子供達と遊ぶ、面倒を見てあげる、なんていう機会は、自分に年下の兄弟がいない限り、ほぼないのではないでしょうか?
私も若い頃は、子供が好き、という訳ではありませんでした。
が、20代初め頃にメキシコで暮らすこととなり、沢山の人懐っこい子供達と時間を過ごす機会を通して、少しずつ子供が好きになっていったのを覚えています。
その後も、ボランティア活動やベビーシッターの仕事を通して、子供ってこんなに可愛いのかぁ、とますます子供を好きなりました。
それでも、いざ自分の子供、となると、「自分は良い母親になれるのか?」「子供を無条件で愛せれるか?」と心配したものです。
結論から言うと、「女性は誰でも、ホルモンが正常に機能しているのなら、母性本能のお陰で、自分の子供は他人の子供よりも大大大好きになるから、心配しなくても良い。」です。
ただし、産後のホルモンのバランスの崩れや、サポート不足、寝不足、栄養不足、等で、自分の心に余裕がなかったりすると、子供との絆が深まらなくなる、いうのも確かです。このような状況では、産後鬱になる可能性も高いです。
なので、妊娠中や産後時期の準備、食生活、サポート、セルフケア等の準備の大切さをアドバイスさせて頂きました。
今回はそのアドバイスのいくつかを紹介します。
栄養を貯蓄する
まず、出産はもちろん産後の大変さを乗り越えるだけの体作りが必要です。これを怠ると出産、産後が大変になります。
なので、妊娠中(できれば妊娠前から)の体作りは重要です。
妊娠中の食生活アドバイスの全詳細は今回は書きませんが、一つだけ言えることは、動物性タンパク質、動物性脂質、動物性コラーゲン(骨から作るボーンブロス)を沢山摂ってください、ということです。
特にレバーやタラ肝油やボーンブロスの重要さはもう何年も前からアドバイスしていますが、動物性のものから得られる栄養素は、野菜等に比べると半端なくパワフルです。
栄養たっぷりの体で出産、産後を乗り越えて頂きたい。
もちろん、体の強い赤ちゃんが作られることは言うまでもありません。
母乳を生産するのも、どのぐらい体内に栄養がたっぷりと貯まっているか、に左右されます。
産後の出血、睡眠不足、授乳による疲労も、栄養がたっぷりと貯まっている体であれば、乗り越えれます。
母乳育児
栄養がたっぷりと貯蓄されている体であれば、母乳もしっかりと作ることができ、完全母乳育児の成功率がぐっと高まります。
そして、できるだけ母乳育児をする、ということも子どもとの絆を深める上で大事になってきます。
母乳があまり出なくて、完全母乳が無理、というケースもあるでしょうが、それでも、母乳をできるだけ与えることをお勧めします。乳首を吸わせるだけでもいいんです。
例え母乳があまり出なくても、乳首を吸ってもらうことで、母親の脳にオキシトシン(幸せホルモン)が出て、子供がとても愛しく感じれるようになるんです。それに、それがきっかけで、母乳が生産されます。
母乳育児を完全に諦める前に、母乳育児のプロの方にサポートしてもらうことを強くお勧めします。
世界保健機関(WHO)の大規模な調査でも、母乳育児を全くしなかった場合、産後鬱になる可能性が非常に高いことが分かっています。
また面白いことに、母乳育児をしなかった場合でも、粉ミルクを与えている時に赤ちゃんの目を見ながら話しかけるか、話しかけないかでも結果が全く違ったそうです。もちろん、目を見て話しかけたグループは、産後鬱になりにくかった結果だったそうです。
一番、産後鬱になりにくかったグループはもちろん完全母乳のグループでした。
栄養がたっぷりと有り余っている体にすることと、産後の負担をできるだけ軽減させること(手厚いサポートを受ける)で、母乳育児が可能になると思います。
その他、子供が好きじゃない、という彼女に下記のようなアドバイスもしました。
妊娠中のコミュニケーション
妊娠中はお腹の赤ちゃんに常に話しかけてあげる。
独り言のようでもいいし、質問形でもいい。
自分の思っていること、考えていることを色々シェアする。
赤ちゃんはちゃんと聞いていますし、お母さんの感情をしっかりと理解しています。
お腹の中の赤ちゃんは異次元世界の人のようなものです。
私達が思っている以上に知能が高いです。
話しかけるのができない、という方は、本を読んであげるのもいいですよ。
絵本が理想ですが、絵本がない場合は、お母さんが読んでいる普通の本でも大丈夫。お腹の赤ちゃんに読んであげている、という意識が大切。
子どもとの絆は妊娠中から始まります。
自分の幼児時代を思い出す
自分が赤ちゃんだった時のことを思い出せる人は少ないでしょうが、3〜4歳の頃はなんとなく思い出せるのではないでしょうか?
どのようなことを思い出せますか?
その時、自分はどのような感情でしたか?
お母さんに対してどのような感情を持っていたか?
お母さんにどうしてもらいたかったのか?
昔の自分に言葉をかけられるのであれば、どのような言葉をかけてあげたいか?(そして、実際に頭の中で想像して、昔の自分に言葉をかけてあげても良いです。)
子供を持つ、ということは、過去の自分に再会する、ということでもあります。
日頃の子供との触れ合いで、まるで昔の自分を見ている錯覚に陥ることも多々あります。昔自分が持った感情、昔自分が考えたこと、思ったこと、嬉しかったこと、悲しかったこと、辛かったこと、悔しかったこと、等などが無意識に蘇ったりします。そして、それに反応してしまうことも多い。
自分にもそのようなことがあった、そのような感情があった、と自覚することで、自分の子供に心から寄り添うことができるんです。
誰でも自分の中に「インナーチャイルド」が存在します。
そのインナーチャイルドを成長させるのは、基本、自分自身ではありますが、自分の子供だったりもします。
自分の子供を見ることで、過去の自分の気持ちだけでなく、過去の自分の親の気持ちを理解できることもあります。そして、自分が過去の親を再現してしまっていることに気がつくこともあります。
子供はそのような気づきを与えてくれる存在です。
そして、我が子が、母親としての自分を成長させてくれる。
失敗も沢山あることでしょう。辛いことも沢山経験することでしょう。
でもそのような経験なしでは、親は成長できないんです。
良い母になれるか心配。
子供を無条件で愛せるかどうか心配。
そのように心配している方に言えることは、
子供は良い母親かそうでないかは関係なく、無条件で愛してくれる。
子供があなたを成長させてくれる。
ということです。
「育児」って言われていますけど、「育自」が正解です。
育つのは親です。
子供は勝手に育っていきますので、あえて親が「育てる」必要はないです。
それよりも親は、自分自身を育てていかないと。我が子の無条件の愛に包まれながら。
「ある意味、子供を持つということは、自分自身のヒーリングですよ。」
と彼女に伝えたら、彼女は意外な発想に驚いていました。
たとえ、普通に幸せな幼児時代を過ごしたという方でも、何かしら、子供なりの心の傷は残っているはずです。
子供はそのような私達のインナーチャイルドの傷を癒やしてくれるんです。
注意:
もし、幼児時代がとても辛いものだった、あるいはトラウマ的だった、または、両親を今でも憎んでいる、というような場合は、妊娠中に(或いは妊娠前に)プロのカウンセラーにサポートしてもらうことをお勧めします。
産後プランを前もって立てる
出産よりも大事なのは産後。
もちろん、出産も大事で、出産の為の準備をするのはいいことですし、私自身もヒプノバーシングの出産準備教室を提供しています。
ただ、出産に集中しすぎて、産後のことは全く考えていなかった、という方が多いのも事実です。
出産よりも産後のほうが大変だった、と言う方も多く、私もその一人です。
核家族の場合は尚更です。
産後、パートナーさんが休める期間にも限度があると思いますが、パートナーさんが仕事に戻ってから、頼れる家族がいない場合、ママは大変になります。
産後、最初の3ヶ月間は、何かしらのサポートがないと、心身に余裕がなくなります。産後鬱になりやすいのもこの時期ですね。
なので、最低でも生後3ヶ月までは、サポート計画をしっかりと立てましょう。
頼れる身内の人を呼び寄せる、友達に頼む、家事やベビーシッターのサービスを利用する、その他、普段は使わないようなサービスであっても、ママの負担をできるだけ軽くするために大いに利用してください。
妊娠中に、どのようなサービスがあるか確認してください。(産後は調べる余裕もなくなるので。)
パートナーさんにも、前もって、何をどのように手伝ってもらいたいか、具体的に伝えることが重要。具体的であればあるほど良いです。
「もっと家事を手伝ってほしい」は抽象的なので、男性にはわかりません。
「金曜日の夜は夕食を作って欲しい。」「月曜日の夜に洗濯物を畳んで欲しい。」「土曜日の午前10時から12時までは子供を見てほしい。」「毎週日曜日にはマッサージを受けに行くので、その間子供を見てほしい。」等と具体的に伝えることがポイントです。
日本人では一人で頑張ってしまう方が多いと思いますが、人に頼める自分になりましょう。頑張り過ぎる人ほど、産後鬱になりやすいです。
セルフケアを定期的に行うことも大事ですね。
「ママが幸せであれば、子供もパートナーも皆幸せになる」というのは過言ではありません。
遠慮なく、セルフケアを行って下さい。
以上、アドバイスを少しシェアしました。
これから母親になる方にお役に立てば光栄です。
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