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陣痛促進剤を避けたほうがいい理由
いままで色々なお産のお手伝い(付き添い)をさせて頂きましたが、陣痛促進剤を使ったお産、特に合成オキシトシン点滴を使ったお産ほど辛そうなものはないです。
あまりにも辛いから、最初は無痛分娩(エピジューラル)をしたくないと思っていた産婦さんも、無痛分娩を求めるようになるケースがほとんど。
それもそのはず、陣痛促進剤は人工的に信じられない程強い陣痛を引き起こすからです。陣痛の波がとても不自然になるんです。
自然の場合、少しずつ陣痛が強くなり、「その少しづつ」というプロセスで脳からエンドルフィンというモルヒネのような作用のあるホルモンが出て、産婦さんがこれから少しずつ強くなっていく陣痛の痛みに耐えれるようにしてくれるのです。
このエンドルフィンのお陰でなんとか産婦さんはお産に耐えれるのです。(自然の法則は本当に素晴らしいです。)自然なお産で出るエンドルフィンはモルヒネの何倍もの鎮痛効果があります。
でも、陣痛促進剤を使った場合、いきなり陣痛が強くなるので、このエンドルフィンは出ません。
いきなりドカーンとくる陣痛に、妊婦さんの体はびっくり。パニック状態になります。
我慢強い方であれば、なんとか乗り越えられるでしょう。
日本では、陣痛促進剤を使っても、無痛分娩が一般的ではないので、そのまま大変なお産をされている方が多いそうですね。これはこれで凄いと思いますが。
オーストラリアでは無痛分娩が一般的で、病院でも無痛分娩費用を社会保険がカバーするので、無痛分娩を選択する方が非常に多いです。
無痛分娩の副作用やリスクを理解している方は、もちろん選択しないのですが、陣痛促進剤を使われてしまった場合、気持ちが変わることがほとんど。
タイミング的に無痛分娩(腰から硬膜外にカテーテルを差し込んで麻酔薬を注入)が問題なく実行できるのなら良いのですが、タイミング的にもう遅過ぎるという場合、産婦さんにとっては地獄のようなもの。
私の個人的な意見としては、陣痛促進剤を使って無痛分娩をさせてもらえない、或いは、最初から無痛分娩は可能でないと分かっていて、陣痛促進剤を使うのは、非人間的だと感じます。
それぐらい強い陣痛がいきなり産婦さんや赤ちゃんを襲うのです。
陣痛促進剤は使わない、同意しない、というのがベストですが、どうしても使う、使わないといけないというケースであれば、無痛分娩は選択肢としてあったほうが良いです。(無痛分娩自体に沢山のリスクはついてきますが、それでも、です。)
日本でも似たようなものだと想像しますが、オーストラリアでは、陣痛促進剤が使われるのは…
- 予定日より早く出産しないといけない場合
- 予定日を超過した場合
- 羊水が破れて6~12時間以内に陣痛が始まらない場合
- 弱い陣痛が長時間続く場合
- 陣痛は始まったが、子宮口がなかなか開かない場合
等です。
上記の全ての理由に、ツッコミどころがありますが、医療機関側としては、これらの理由で陣痛促進が必要と判断することが多いです。
陣痛促進剤には主に2種類ありまして…
1. プロスタグランジン(Prostaglandins)
2. シントシノン(Syntocinon)
1つ目のプロスタグランディンは、子宮口が全く薄くなっていない、ほとんど開いていない場合に使われ、子宮口を柔らかくする効果が目的です。
病院で使われるプロスタグランジンはもちろん合成のものですが、プロスタグランジンという成分は、実は男性の精液にも含まれています。
なので、予定日をかなり過ぎてもお産がなかなか始まらず、羊水膜もまだ破れていないという場合に限って、セックスをすることをお薦めする助産師さんもいるほどで、精液の天然プロスタグランジンの効果は期待できるようです。
病院では、プロスタグランジンを含むジェルをタンポンのアプリケーターのようなもので膣から入れられます。
ペッサリーのようなもので、入れたままにしておくタイプもありますがオーストラリアではほとんどがジェルタイプ。
2つ目のシントシノンは、オキシトシンと呼ばれる、もともと体が自分で作り出せるホルモンを真似た合成ホルモンです。
「シントシノン」は薬剤のブランド名です。アメリカでは「ピトシン」というブランド名です。
シントシノン(合成オキシトシン)は、既に子宮口が開き始めている時に使われます。
シントシンは点滴で継続的に与えられ、強力に子宮を収縮させます。
自然出産の場合、自然に出るオキシトシンの量は、産婦さん本人が我慢出来るレベルに合わせて脳が調整するので、陣痛も本人が我慢出来るぐらいになるように出来ているんです。
一方、合成オキシトシンは容赦ありません。
突然に、しかも強烈に子宮を収縮させます。
産婦さんが我慢出来ないほどの陣痛になりますので、無痛分娩を求めることになるパターンが多いです。
又、陣痛促進剤は、強力に子宮を収縮させるので、もちろん赤ちゃんにも負担がかかる。自然な陣痛の場合、ゆっくりと、徐々に強くなっていく感じで、赤ちゃんや産婦さんが休むべきだと体が判断した場合、陣痛がまた弱くなったりします。陣痛が途中で止まったり、弱くなったりするのは、体だけが知っているちゃんとした理由があるのです。
自然なお産では、いくら陣痛が強くなったり、長くなったりしても、陣痛と陣痛の間には最低でも90秒の休み時間があり、その間は痛みを全く感じません。
陣痛促進剤を使った場合(合成プロスタグランジンでも合成オキシトシンでも)、陣痛と陣痛の間が極端に短くなり、この休む時間がほとんどなくなります。
陣痛が我慢出来ないほど強過ぎて、休み時間もほとんどなく繰り返してやってくる。
これでは、産婦さんは肉体的にも精神的にも疲れきってしまいます。
日本では、陣痛促進剤を使われても、頑張って耐える方が多いのでしょうが、オーストラリアでは必ずと言っていい程、エピ(Epidural)による無痛分娩がオファーされます。
無痛分娩の為の施しが問題なく行われた場合、下半身の痛みはなくなりますが、うまくいかなかった場合、下半身の片方側だけが麻痺してもう片方側はすごく痛い、ということになったり、もっと最悪な場合、麻酔が全然効かなかったりすることもあります。
いろいろな対処策はありますが、それを解決するまでが辛いですし、解決しない場合もあります。
そして、無痛分娩になると、仰向け出産になるパターンがほとんど。
周りの方々がサポートすれば、横向きでいることも可能なのですが、産婦さんが強く要求しない限り、病院では仰向けの体勢のままにされます。
横向き体勢だと、会陰にかかる負担が少し軽減されるので、会陰が切れにくい、そして赤ちゃんも産道を通りやすくなります。
ちなみに、お勧めの横向き体勢は、誰かに片足を持ち上げてもらう体勢です。(産婦さん本人は麻酔で足を持ち上げれなくなっているので。)
仰向け体勢だと、赤ちゃんにとっては産道を通りにくくなり(上り坂になる)吸引分娩やかんし分娩になってしまう可能性がぐっと上がります。
また、仰向けの場合、会陰に大いに負担がかかり切れやすくなります。
仰向けでいる為に、なかなか赤ちゃんが出てこれず、お母さんも赤ちゃんも疲れてしまって、結局は帝王切開になる、というパターンも非常に多いです。
陣痛促進剤を使っていなければ、少しは状況が違っていたかもしれません。
そもそも、陣痛促進剤を使おう!という発想がおかしい。
予定日を越していても、出ないものは出ないし、出るものはいづれ必ず出るものです。何をそんなに急ぐ必要があるのでしょうか?
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4週近くまで待った産婦さんを知っていますが、赤ちゃんはちゃんと出てきました。
また、陣痛が始まったけど、ゆっくりの弱めで、結局、お産が始まってから実際に赤ちゃんが出るまで合計3~4日間かかった、という話もよくあります。お産の進み具合は、産婦さんと赤ちゃんの体だけが知っている理由があって、そうなっているんです。
もちろん、何か大きな理由で緊急事態である場合は、致し方ないのでしょうが、そうでない限り、お産は急ぐ必要はないのです。
リスクの高い陣痛促進剤は、いくら医者が強く勧めてきても、気軽に同意しないように、気をつけて下さい。
予定日をかなりの日数で過ぎてしまっている場合、もしかしたら、予定日自体があまり正確ではなかったのかもしれません。
また、初めての出産の場合は、妊婦さんが緊張していることが多いので、これもなかなかお産が始まらない原因でもあったりします。
リラックスできるようにセルフケアをしたり、カウンセリング、ホメオパシー、ヒプノセラピー等をトライすることもお勧めです。
私が教えているヒプノバーシングも、お産に対する恐怖や緊張を取り除く為に役立ちます。
オンラインでも教えていますので、興味のある方はこちらまでご連絡下さいね。