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機銃掃射 昭和20年(1945)8月14日


 心に留め置いていたこと

 中日新聞だったか。昭和20年8月12日のお昼近くアメリカの戦闘機が運行中の鉄道車両を機銃掃射中学校の生徒を含む乗客数十人が亡くなった。 あまり目立たない慰霊塔に対して慰霊祭を行ったこと、風化していくことのおそれが綴られていたと記憶している。

 調査報告


 後日、参考資料で確認をとると筆者の記憶違いが判明。 正確な日時は昭和20年8月12日ではなく、昭和20年8月14日。場所は渥美線・神戸駅の東。死傷者は45名とされるが重複の可能性がある。名鉄三河線竹村駅でも8月14日同様の悲劇があった。
 8月2日、現在の名鉄豊川線国府駅(こうえき)に対する機銃掃射(ただ、資料元の『フィールドワーク 豊川海軍工廠』ではP-38ともP-51と表記されているので詳細不明の状態になっている)名鉄本線御油駅でも7月15日に機銃掃射があった。(おぼろけだが数年前、東京都の中央線?でも機銃掃射を受けたというニュースをやっていたことを覚えている)
 資料のひとつである『愛知の駅ものがたり』にはアメリカで汽車に乗車した田原の漁師、岡崎市で旧海軍航空隊の基地内を走る路線、令和5年4月16日の『道』に関してのバラエティ番組内で登場した『三河大草駅』など愛知県内の駅にまつわる物語が収録されている。

 イマジネーションの手がかり 手塚治虫『カノン』


証言 渥美線電車機銃掃射-1945年8月14日の記憶-』『続証言 渥美線電車機銃掃射-1945年8月14日の記憶-』をみてふと思い出したのが手塚治虫の『カノン』という短編漫画。今回再確認のため読んでみると涙が出そうになった。渥美線機銃掃射や昭和20年8月7日の豊川海軍工廠空襲の説明も『カノン』を読めば十分。他に手塚自身の体験から自伝的要素が入った『紙の砦』『どついたれ』『ガチャポイ一代記』『ゴッドファーザーの息子』『空きっ腹のブルース』といった作品群は、終戦となってすぐ「戦争が終わってよかった」とイメージしてしまう後世の人々よりも、ずっと証言者の言いたいことを漫画という形できちんと表現している。


<後日談>


 ゴールデンウィーク中、愛知県田原市に自動車でいく機会があり、内海の工業地帯(かつての海軍航空隊基地)近くを通り、田原へ。帰りに豊橋鉄道渥美線の豊島駅の踏切を通過。豊島駅から神戸駅に続くカーブで悲劇が。国道259号線から家路につくと豊橋行きの電車をみかけた。速度をあげていく電車。戦争最後の年、空襲警報が出れば、人でも何でも狙われるので運行見合わせ・運転停止をしていたのだと思うと隔世の感を感じた。


<参考文献>

『フィールドワーク 豊川海軍工廠』豊川海軍工廠跡地保存をすすめる会 編著 2015
『中日新聞縮刷版』 2018年6月分 2018年6月26日 中日新聞社 2018
『はるなつあきふゆ叢書10 2004秋 私鉄沿線』文・山盛洋介 写真・山本典義 春夏秋冬叢書2004 166P~167P

『県別マップル23 愛知県道路地図』 昭文社 2019
『小さな鉄道の小さな旅』 長屋良行・水崎薫 ゆいぼおと 2018
全国未成線ガイド』 草町義和 監修 宝島社 2016 224P~227P
『愛知の駅ものがたり』 藤井健 風媒社 2022 24P~25P、31P
証言 渥美線電車機銃掃射-1945年8月14日の記憶-』豊川流域研究会:編集 2015
『続証言 渥美線電車機銃掃射-1945年8月14日の記憶-』豊川流域研究会:編集 2016