「冗談としてのビジネスモデルとは?」“ネットに住む人達” ドワンゴ川上会長講演 〜 niconicoのポータル化事業とユーザーとの関係作り〜(7)
niconicoには、実は、冗談としてのビジネスモデルがありまして、その冗談ビジネスモデルにどんなものがあるかというと、例をあげますと、これは「ニコニ広告」というサービスなんですけれども、
ユーザーがお金を払うと、好きな動画を宣伝出来る
という、サービスです。つまり、ユーザーが好きな動画で応援したい動画があったら、お金を払うんですね。そのお金というのは、普通だったら動画を作った人がもらえるのかなと思ったら、そんなことはなくて、ドワンゴがもらう 訳です。つまり
ユーザーはドワンゴにお金を払うことで好きな事を宣伝するという、ユーザーからすると「何が得をするんだ !?」というサービス (会場 笑)
でして、「誰が使うんだ !?」ということになったんですが、実はこれが大人気になったんですね。
結構、意外と儲かりまして、月に5000万円ぐらい入るような、意外と儲かるサービスなんですけれども。これは先程説明した「嫌儲」という言葉と関係があります。嫌儲というのは、儲かると叩かれるという、儲かる奴は悪だというそういう考えですよね。で、これがもし、自分が応援したい動画にお金を払った時に、 動画を作った人にお金が入ったとしたらどうなるか、そうするとネットの嫌儲の人達はネットの動画を作った人に「儲けやがって」となる訳なんですね。
本当は動画を作った人が儲かるのは当然なんですけれども、そこに嫉妬が生まれて、叩かれる
んですよ。だから実はドワンゴがお金をもらった方が、盛り上がるんですね。で、動画を作った人にあげると、逆に大げんかが発生してしまう。なので、僕らはユーザーさんにですね
発表した時に、ユーザーさんから「なんでドワンゴがもらうんだ」というような質問を受けたんですけれども、答えましたのは、「いや我々ドワンゴは"カルマ"を背負ってるだけです」 と。(会場 爆笑)
そういうユーザーが儲けるのは憎いという「憎しみを浴びる為にお金をもらっているんだ」というそういう宣伝をしまして。すると、
ユーザーさんに非常にウケて「その通りだ」「さすがドワンゴだ」と賞賛を受けまして。(会場 笑)
これは、さきほど言った嫌儲というようなネットにある考え方と深く関わってまして、とにかくユーザー同士で楽しむ時にお金を儲ける奴は許せない、という考え方、それを防ぐ為に僕らが考えたサービスです。
これは意外と成功したんですけど、基本はコンセプトを言いますと、どういう人が作っているかということなんですけどね、ニコニコ動画というのは、日本のUGCというユーザーが作ったコンテンツでは最高峰でして、レベルがどんどんあがっていっているんですね。今では素人が動画を作ってもなかなか人気になれない、と。で、そうすると
自分もニコ動でクリエイティブなことをしたい、でもそんな技術も根性も暇もない、けど金ならある。という人がこういうニコニ広告というのを使っている
訳です。実際、ニコニ広告に金を払う事を生き甲斐にしている有名なユーザーさんがいまして、 ニコニ広告のランキングがあるんですけれども、その
ランキングで1位になるためだけに、毎月100万円ぐらい払うユーザーさんがいる
わけですよ。もう、それは、自分で動画を作って目立つ事は出来ないんだけれども、お金だったら払う事が出来るという。で、意外と儲かる、意外と盛り上がるというサービスです。
(了)
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