117 - 音楽の秘密
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Chantrapas(シャントラパ/以下”C”): 今日はフリートークで。
Johnny Cash(ジョニー・キャッシュ/以下”JC”): うん。
C: メモもニュースもなし。
JC: ね。
C: 単純に言う事がなかった、この何ヶ月か。
JC: そんな感じじゃないですか。
C: 結局マスクするんかいって。相当冷めちゃった。ははは。本当にこれで行くんだね。
JC: うぅん。
C: 言う事ないね。それより、わたし自身の中で「外」に出る感覚みたいなものが結構あったから。
JC: うん。
C: 歌ったり弾いたりしてたらね、これまで出てない所に出る感覚というのが日常に溢れていたから。特に言葉にする事がないなぁと。
JC: 良いタイミングだったんだと思う。
C: 世相も合わせてグダグダだし。
JC: 見てる感じでは。
C: “God save the Queen!”とか。ははは。相変わらずバイデンのギャグはキレが良いけど。
JC: キレの良いギャグね……。まあボケっとしてたらすごい倦怠感なんだろうけど、それ以上にボケっとしてたら何も感じないでいられそうな世相ではある。
C: うん。
JC: それが実情かな、とは思う。
C: 実は動いてる。
JC: 確実に向かってますね。着実。凄いよその辺は。もう通るかも、と言っていたやつが全部通っていってる。自分の中では1年くらい早いペース。全体的に急いでるんだろうな、という早さだけどね。
C: うん。
JC: 経済ギリギリでしょう。FRB自体が。誤魔化しながらどこまで突っ込めるか……それに賭けてるから、そりゃあ急ぐし、やる事は雑だし。
C: ほんの一瞬だけ普通のニュースまでが<アメリカがデフォルトの危機>って。それもまたなぜか無かったことに。
JC: なってるけどね。実際そんなわけないからね。
C: 風(ふう)すぎるだろう、と。
JC: うん。
C: <東証、バブル後最高値!>どんどこどんどこ。
JC: そんなのいくらでも出来るんだね……ということを実感するためのニュース。ははは。今までいくらでも騙されてきた、全部嘘だったのね、という。変な話、情報開示も完了まで来てる。一個気付いた人は全部気付けるようになってる。あれも、これも? って。
C: うん。
JC: そう思うと全体の底上げは確かに起こっているとしても、新しいものを推進するくらいの世の中の動きというのはないわけで。
C: 不思議な感じ。
JC: 間を飛ばされるようなニュースもたくさん入ってくるからね。いくらでもあるから……。自然に移行してることに気付かせない。世の中に対する怒りすら自然に移行していく。
C: 世の中に対する怒りって、見よう、見たいって、ずっと能動的な態度でしょう。そんな話なのかね。そうじゃなくて、なんにもないよ?
JC: それは……日々痛感してる。
C: なんにもないって。
JC: これこそフラットアースかっていう。はははは。ただ変な咳してる。
C: <気温20度台で中学生が倒れる>という話もあるからね。
JC: 明らかに来てるもんね……。多死時代でしょう? 今。
C: NHK様いわく。
JC: 恐ろしい事言い出した。なに、多死時代って……。
C: 聞いた話なんだけどテレビCMで、
JC: うん。
C: <そろそろマスクも取れる頃だし、これからは免疫で自分を守らなきゃ!>みたいなセリフがあるらしくて。正確かわからないけど。
JC: あぁぁ……。
C: 恐ろしい……そんな恐ろしいもの毎日見させられてね。色々恐ろしい。「マスクで守られてた」みたいな既成事実も作っちゃう。
JC: そうだなぁ。麻痺しちゃうよね。
C: だからそういうのを非難するのも……もう何にも言わない方がいいだろうなと思って。ははは。そういう態度も取りたくない。そんな時に楽器を弾いてたのさ。もし上達してるならそのお陰かもしれない。はははは。
JC: 時代のせい。ふふふ。昔から「ここは安全」と思って自分も弾いてたかもしれない。
C: 外に出る感覚あるからなぁ。
JC: 内的体験だよね。内側の世界の広大さ。それは独特の世界がある、音楽は特に。言葉はどうしても時代を捉えてしまうし今からなかなか離脱できないけど、音楽の場合は今に集中するという、不思議な今からの逃避がある。瞬間に飛び込むからこそのね。
C: うん。
JC: 現代は見えない、現在もなくなる。独特の世界だなぁと思う。
C: そうね。楽器の振動もあるし、自分を筒化して歌ってみることとか。
JC: うん。
C: 外は広いが内は深いぞ、と。まさに実感するというのは、弾いてみると面白いなぁ。
JC: 音楽やってる人がみんなそうかは知らないけど、「世界は波動で出来ている」と言われたら、「おお、そうか」と思うはずだよね。その通りだなぁと思う。
C: 「ここにいながら外に出る」感覚がないものには……またそれやりたいの? となっちゃう。コロナで出来なかった事が、我慢してたあれが出来る、あそこ行ける、とか。
JC: あぁ。
C: まったく別のもの。色々考えるきっかけがあったはずなのに、成功のイメージがまたピラミッド型に戻るんだね。
JC: それは全体的に言えることだね。音楽やってる人の周りを見てもそう思う。また戻るんだね? というのはある。新しいものを受け入れる脳をストップさせるためのアレだったわけだからね。
C: うん。
JC: 難しいって、理解するのは。例えば政治家とか、大手車メーカーや住宅メーカーが<新時代への幕開け!>とか言うと、そういうのは古いやつだから分かるの。本当にポンと飛び越えているものになるとわかんない。
C: 外に出るんだけど……わたし自身が結局、元いた場所に戻ってるというのもある。ぐるっと回って、結局ここじゃん、という感じがある。どんなオルタナティブな見方があっても。
JC: 歴史解釈に始まり。
C: 歴史なりエネルギーなり。フラットアースであったり、それこそ陰謀論と言われる他の事でもいいけど。
JC: うん。
C: ぐるっと回ってここはここなんだな、という。「今・ここ」なんだなって。
JC: 永劫回帰ですよ。なんでか帰って来るんですよ。ははは。
C: それしかないじゃん。
JC: そうですよ。
C: 時に自分以外のものになろうというチャレンジをするんだけど、何をやっても戻って来る。
JC: 色んなものを観に行ったり聴きに行ったりしても、絶対自分の中で戻って来る場所があって、それを持っている人達は大体同じような考え方をするだろうよ、というのが永劫回帰だよね。だから、それって一人でやってるんじゃないの。そういう人が一杯いるよ、という一つの哲学だよね。
C: うん。
JC: そういう時代が来る、そういう人達の時代が来るよ、というのがニーチェの考え方だったわけで。政治的主張とはまったく違うレベルで物事が既に進んでいた。自分の中での永劫回帰のイメージは、スパイラル状に上がっていっていて、色んな景色を見ていて、自分は進んでないと景色を見られない。
C: うん。
JC: ただそれを一つの面・一つの面と直線で縦に取った時に、絶対に戻っている。それは一つの自分なんだけど、複数の価値観が常に縦状に伸びている状態。それ全体が自分。それこそ「筒」なわけですよ。
C: そういう感覚があるよ。
JC: これが自分だな、というのは必ず収縮ではない、というのを理解しておく必要がある。「永劫回帰」と言って、ただ単にいつも同じ事を考えているというだけでは困るわけで。ははは。必ずみんな違うはず。
C: 外に出る感覚で言うと、
JC: うん。
C: 外に出たことによって外周が広がる感じがするの。
JC: うんうん。
C: で、また外に出ることによって外周が広がる。その繰り返しのイメージかな。外に出たこともまた一回普通になって、また外に出て、また普通になって。螺旋ね……それも面白いな。
JC: その螺旋というのが上昇志向と勘違いするのもまたリスキーだから、ある種の達観性みたいなのが必要かもしれないけど。
C: そうそう。だから外周の定まってない円というか。そういうイメージがわたしは合ってる。それを繰り返してるともう……わかんないんだよね。
JC: はははは!
C: どんどん人が理解出来なくなって、逆に新鮮になってきた。「そういう考え方があるのか!」って。
JC: いちいちそうなる。まじで! となる。新鮮かもね。まあ、「まだそんな事言ってるの?」と思う時に、自分だけが持ち込んでる時代性みたいなものだってあるかもしれないじゃん。
C: うん。
JC: 自分が見てる今の変換ね。そこと違う変換でも人と偶然ハマったりすると、その話面白い、ってなったりする事もあるし。そこで絶対的にその人への信頼みたいなものを欲するとズレていくだけで、一瞬のコンタクトと思えば、あぁ面白かったなぁ、と。
C: へえ。
JC: 全然面白い。
C: 優しいねえ。
JC: ははははは。別に優しさではない。くくく。
C: いちいち優しい。
JC: ははは。優しいだけではない。いやいや……優しいと思うわ。
C: 優しいと思う。
JC: 自分にどれだけ甘いか分かるでしょう?
C: 自分に?
JC: 人にもそれだけ甘いんだから。
C: ははは。まあ音楽をすることによってそんな感覚になるのは少し分かった。
JC: うん。分かってもらえる? 結構深い話だよ、それは。創造性全部に関わる話。
C: 音楽やる人ってナチュラルに尊大でしょう。
JC: そうなれるのがベストだよね。
C: 尊大な振る舞いをする時って多少は気張ってる。「振る舞おう」という気持ちが全然ないと出来ない。
JC: そういう人バレるもんな。
C: 不安を利用しないと攻撃性は出せないでしょう。そんな事したくないけど。
JC: うん。
C: 音楽やってる人はナチュラルに尊大でいられる。それはやっぱり秘密を知ってるんだろうな。
JC: ははは。そうかそうか。
C: 言葉は道具。メロディーや和音は秘密。ちょっと鳴らして歌ってみるだけで、「あいつらこんな秘密を知っていたのか!」という。そりゃあ尊大にもなるよ。
JC: うははははは!
C: だからなんか昔から話がズレる時にわたしだけムキになってるんだな、って。
JC: はははははは! はははは。
C: 良い秘密をご存じで。
JC: もしその音楽の秘密と思われるものによって尊大なアーティスト達が多いなら、良い事だよね。そうじゃないから問題なのであって。
C: そうそう。気張った尊大さの人もいる。力関係を見せつけないとその地位が維持できないから演技的に尊大に振る舞う。まあ演技的にというのはどちらもあるのかもしれないけど。
JC: まあいいけどね。
C: 根本がね。ヒエラルキーを分からせるための尊大さというのがあるでしょう。
JC: そういう音楽産業が終わらない限りは上手く先には進まない時代が来たし、それはこれからのことだからね。みんなが気付かなきゃいけないこと。あらゆる悪行がうごめいていたわけだから、その現実だって知らなきゃいけないし。
C: うん。
JC: 音楽の秘密……神秘的なものだよね。ある種の神秘に触れるのと、音楽「産業」の秘密を知ることが並行して同時に進んでいくのがベストだよね。一番美しい姿だろうなぁ。いきなり音楽嫌いになられても困る。今までの音楽全部嘘かよ、ってなられても……そうなったら駄目だよ。ちょっとずつでも、自分でやりたいなと思う人が増えてきたりするのが一番良い形。
C: もう十分好きと思ってた曲すらもっと深くいけるよ。
JC: うん。
C: 道具のレベルでもまだまだ理解は浅いんだから。言葉を理解しようと努めるだけでもさらに深くいけるし、実はまだまだこれから。面白いなぁ。
JC: そういうものあるかもな。「なんでこいつらこんな事知ってるの?」とか。売れてる音楽の独特のヒエラルキーの秘密もあるんだから、そういうのを言葉で紐解いていく面白さもあるだろうね。
(つづく)
2023年6月28日 doubles studioにて録音
ダブルス・ストゥディオ
Johnny Cash (thinker/artist) & Chantrapas (designer/curator)
#doubles_studio_talk でトーク部分を一覧表示できます。
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