MC-FAtherの俺にマイクを握らせろ!
MC FAther
1989年7月31日生まれ。日本体育大学「乱縄」出身。現役時代は「FeAts-G」に所属し、DOUBLE DUTCH DELIGHT JAPAN 2010に出場。卒業後はNPO法人 ZEROに所属。またMC FAtherとしてDOUBLE DUTCH DELIGHT・DOUBLE DUTCH CONTEST WORLDにてMCとして活躍。
※この記事は2018年8月30日にダブルダッチマンに掲載した記事です。
DELIGHTやCONTESTでおなじみ、ダブルダッチのお父さんこと「MC-FAther」にMCとしての経緯やテクニックをインタビューしました。彼が8年間で培ってきたノウハウやポイントをあますところなく話していただきました!
俺がみんなに「お父ちゃん」って呼ばれていて、そこから派生してMC-FAtherになっていった
-まずは最初にMCになるきっかけはどんなことだったんですか?
MC-FAther : 俺って人前に出るのは好きなんだけど、極度の緊張しいなんだよね。(笑)
けども、教員になりたいっって日体大に入ったこともあったから人前で話すことに慣れておかないとって思っていて、現役の時には小学校の講習会などでの司会進行を当時リーダーだったKO-YA(REG-STYLE)に変わってやらせて貰っていたんだ。
それから徐々に人前で喋るのが楽しくなって、イベントやサークル全体の講習会のMCも自分から率先してMCするようになって、サークル内でもMCキャラが定着していった感じかな。
-そうなんですね!MC-FAtherはどうやって名付けられたんですか?
MC-FAther : もともと俺がみんなに「お父ちゃん」って呼ばれていて、そこから派生してMC-FAtherになっていったかな。(笑)
大学の友達にダンスサークルの友人もいたり、サークル以外でも色んな繋がりがあったから俺がMCやってるってこと知ってくれてる人が増えてきて、MCの依頼貰えるようになったりもしたね。
-なるほど。そこから本格的にMCをしていこうと思ったのはいつ頃なんですか?
MC-FAther : 「MCでやっていきたい!」って強く思ったのは、Red Bullの「Red Bull Racing Can」っていうイベントと色々なストリートパフォーマンスを融合した「4 TUNE GAME」。
この2つのイベントで真剣にMCを仕事にしたいと考えるようになったかな。
Red BullのイベントもTOKYO creatistのウッチーさんがたまたまMCを探してて、ダンスサークルの友達が俺に声かけてくれて繋がったイベントなんだよ。ほんとにこのイベントでは良い経験させて貰った。それからは仕事としてMCを意識するようになって、いろんなイベントで場数踏んで経験と知識を増やしていった感じだね。
-そしてついにDOUBLE DUTCH DELIGHTにMCとして登場するようになりましたね。
MC-FAther : 引退してから1年してDELIGHTのMCの依頼が来たんだよ。
その時、OVER THUMPZの千野さんからかかってきた電話、今でも鮮明に覚えてる。「ヒロタカ、DELIGHT EASTのMCいける?」って。セブンイレブンで買い物してるときだったんだけど。ついにきた!って。ダブルダッチをはじめて6年目。不安で怖かったけど、それ以上に嬉しかった。やっぱり常にデライトは意識していたからね。
-そこからMCとしての知名度も上がったのでは?
MC-FAther : そうだね。俺がMCをしていることについて徐々に知っていることが増えてきて、イベントの話を振ってくれたり、ついにはダブルダッチコンテストのMCまでやるようになるなんて。そうやってMCとして見てくれてる人が沢山いたから、今のところまでやれてきたんだなと思う。
MCにおいて重要な5つのポイント
-現在、MCとして8年目になりますが、その中で培ってきたMC-FAtherとしてのノウハウやポイントを教えていただきたいです!
MC-FAther : 俺のMCのストロングポイントは5つあると思ってる。それらがすべて正解ではないけれど、これからMCを目指している人やMCに対して興味持ってる人に何かプラスになればいいなと思ってるかな。
1.「雰囲気を感じる能力」
1つめが「雰囲気を感じる能力」。ダブルダッチデライトなどの規模の大きい大会や小さいクラブイベントもそうだけど、会場の大きさ関係なくお客さんの雰囲気を感じる能力は大事だと思ってる。
例えば、MCってマイクを持ってお客さんに語りかけて進行させていくっていうのも大事なんだけど、そうするとラジオみたいに相手のレスポンスを待たずにペラペラしゃべっていく感じになっちゃうから、大会の暗い中でも、常に表情だったり相づちとかの無言のレスポンスを受け取るイメージでMCしてるかな。けども声を出してお互いに会話するわけではないから、お客さんから無言の圧力を感じている。
その中でさっきのようなレスポンスを返してくれる時には、その反応で「今のは伝わっているな」「伝わっていないからもう少し話題を変えてみよう」みたいな感覚で雰囲気をとらえながら話してる。
言ってしまえば、ダブルダッチも同じだと俺は思っていて、パフォーマンスも自分たちだけでやるものではなくて、お客さんに対して表現することでその反応が返ってくる。これがMCと共通して、一方的な感情・会話の送信じゃなくて、お互いに相互受信してレスポンスするような感覚を常に意識してパフォーマンスする。だから俺はこの部分はすごく大事にしてる。
2.「キャラクター性の確立」
2つめは「キャラクター性の確立」。キャラクターを確立することでイベントで覚えてもらいやすいし、お客さんとの距離も測りやすくなる重要なツール。これはまず「覚えてもらう」ということに重点を置いてるかな。インパクトを残せば、覚えてもらいやすいし、MCもスームズになるからね。
例えば「MC-FAther」は、みんなのお父ちゃん的なポジションと思っていて、みんなのことを応援してたり、叱ったりそんなキャラクター性があるんだよね。
MCっていうのは、大会・イベントをコントロールするためにお客さんの気持ちを掴まないといけないから、タイトルコール・自己紹介して、お客さんに俺はこういう人間だよっていうのをさらけ出して、まず知ってもらうことから始めるんだよね。
知らない人のMCとかだと、後ろで壁に寄っかかって腕組んで、「ああ、この人MCなんだ」だけで終わってしまう。たとえ良いこと言ったとしても、その人の心に入らないんだよね。だから自分を最初からさらけ出して受け入れてもらうことを意識してる。
結局何をやるにしても、人前やステージ立ってから繕っても、見ている人には絶対にばれるから、そのまんまの自分を出せるようにすることが一番大事。だから、まず最初に自分を知るところから始めて欲しい。自分が何が好きで、何が嫌いとか細かく調べる。
俺、アクロも好きだけど、縄も好きだし、ダンスも好き。だけどその中でもどういうのが好きなんだろうとか。そうじゃないと自分が本当にやりたいことや本質の部分が見えないと思うんだよね。
けど、キャラクター性も場面に合わせてうまく使い分けていることもあるかな。
俺の場合、DELIGHTのMCもやるし、DDSとか結婚式の二次会のMCもやるし、前は教員の人に向けて講演会もやったりするんだけど、社会人の方に向けての講演会で、DELIGHTみたいなMCやったら引いちゃうじゃん。逆にそれが原因で壁作ったりするから、そこは雰囲気・場面に合わせてMCする。そこから壁なくなったかなって時に、ちょいちょい小出しでMC-FAther出していったりする。(笑)
3.「クオリティの高い声質」
3つめは「クオリティの高い声質」だね。MCって声の高さやトーン、滑舌とかの色々要素が絡み合って、それがそのままお客さんのテンションに直結しちゃうわけなんだよね。
例えば声が気持ち悪かったり、滑舌が悪かったりしたら、お客さんも盛り上がらない。そうしたらその大会・イベントが盛り上がらない大会になってしまう。そのくらい重要な部分が声質だと思ってる。
俺、サークルのイベントでMCやってた時とか、DELIGHTの3、4回目ぐらいの時、自分の声本当に嫌いで、聞きたくない時があったんだよね。まぁ、自分の声はほとんどの人がキライって言うけど。
これをどうやって改善してきたかというと、地道にMCしながらトーン・抑揚・速さを意識しながらやってきた。そもそも急激に上手になることはないと思う。歌うのと一緒の感じかな。俺の場合、鼻炎持ちだから、鼻つまってるような舌足らずのような甲高めの声になっちゃうんだよね。それをYouTubeに載っている映像とかで確認しながら、さらに調整して狙っている声質に合わせていく。よく大会の動画を学生の子がアップしてたりするじゃん。そこにMC-FAtherの声も大抵入ってるんだよね。それを聞きながらイメージしたりしてる。正直、自分で聞いていてもわからないからね。
4.「タイムマネジメント」
4つめは「タイムマネジメント」。大会やイベントって分刻みなスケジュールで運営してるから、今、何分遅れて、何分巻いててっていうのは把握しながら進行しなきゃならない。そういう部分も頭にいれながら大会・イベントをコントロールする。
MCって必ず話さないといけないこと、やらないといけないことは必ずある。それは問答無用で進行しなければならい。けども音源や進行のトラブルが起きて10分遅れていたとしても、チームのコメントやスポンサー様の紹介なしでとか絶対できないわけじゃん。
そこは通常通りに紹介して、違う部分で時間を縮めたりするようしてる。例えばパフォーマンス終わった後のコメントや1部・2部の間の諸注意事項を早口にしたりとか。最初はそれして大丈夫かなって思ってたんだけど、お客さんから、あれで大丈夫だよって。(笑)
けども、やはり大会を円滑かつ、お客さんのテンションを維持することで大会自体の満足度も高くなると思ってる。MCやってる上で時間を守るっていうのは、お客さんと運営側からしたら安心できるし、この部分に対してMCの重要性は高いかなと俺は思ってる。
ちなみにタイムキーピングとかのテクニックだったらニュースのアナウンサー見た方が良いと思う!毎日、30秒や1分の尺を使って話して、また明日みたいな。
5.「ワードのボキャブラリー」
最後の5つめに「ワードのボキャブラリー」。場面において、キラーワードや雰囲気に合わせた言葉が出てくるのはMCとしての重要なテクニック。
例えば、イベントなどで一言印象に残る言葉を出すだけでインパクトを残せるし、お客さんとの会話も繋ぎやすい。一緒にDDCWでMCをしたMIKIさんやDELIGHT JAPANのTOMOさんは雰囲気に合わせてポンと言葉が出ててきたり、ズドンとキラーワードはとばしたり、すごい幅が広いんだよね。
けど、これって諸刃の剣のようなもので、言い方やタイミングがものすごく大事で、はずしたらお客さんはなんだそれってなっちゃう。けどあの人達ははずさない。(笑)
これって経験値もあると思うけど、俺の場合は映画見たり小説読んだりテレビ見たりとして、ああ、こういう返し方あるんだなって。最近海外のドラマを見たりするんだけど、海外のドラマの言い回しってすごいおしゃれなんだよね。それ以外にもニュースも見て、その時にしか出てこない時事ワードとかピックアップしてる。
MC-FAther : まとめると、1に「雰囲気を感じる能力」、2に「キャラクター性の確立」、3に「クオリティの高い声質」、4に「タイムマネジメント」、5「ワードのボキャブラリー」。
これらを押さえられれば、MCとしてものすごく技量が伸びると思う。
けど、結局大事なのは最初に言ったけど、その場の雰囲気をどうコントロールするかだから、一番大事なのはテンションかな。(笑)
テンション上げたらお客さんもテンション上がるし、ここ落ち着かせるタイミングって場合だったら声の抑揚やトーンだったりを落としたら、お客さんも落ち着かせられる。正直、テンション次第で大会を盛り上げるかぶち壊すかできると思ってる。
MCじゃなくても人生の経験として色々やってみることは大事
-最後になりますがMCに挑戦したい人や興味を持っている人に一言頂けないでしょうか?
MC-FAther : 細かいこと考えずにやってみて欲しい! 結局、MCもダブルダッチのパフォーマンスするってことも「人前に立って何かをやる」・「人に何かを伝える」って面では同じだと思う。人前で喋るの苦手な人って結構居ると思うんだけど、ダブルダッチしているなら人前でパフォーマンスしてるじゃんって感じ。(笑)それだったらダブルダッチと一緒で堂々とやればいいじゃないと思ってる!
もちろん細かいやり方は人それぞれだけど、どれが正解でどれが間違いとか選択するのは全部自分次第。だから少しでも興味のある人はダブルダッチと一緒で挑戦してみて欲しいな。
-確かにステージの上で人前に立つという部分は一緒ですね。
MC-FAther : だからこそステージに立つ以上は自分を磨いていかなければいけないって常に思っている。 舞台の上では、その人の人間性だったり性格が結構浮き彫りになるからね。 俺の場合は選手より舞台に立ってる時間が多い分なおさら感じてるかな。
-それ以外にもMCなる人に挑戦して欲しいこととかありますか?
MC-FAther : あと、いろんな場所に出向いて世の中に何があるのかを知って欲しい。
ダブルダッチの世界だけじゃなく、他ジャンルのイベントに行っていろんなカルチャーの人たちと絡んで「こういう見せ方もあるんだ」って勉強するのもすごく大事。
俺はそういうカルチャー部分を色々勉強して経験していったら、MCやるのもすごく楽しくなったかな。知識も増えるし、こういうときこんな言葉を使えば良いんだって思うことも沢山あるからね。
MCじゃなくても人生の経験として色々やってみることは大事だよ。 (笑)
-確かに何でも経験することで自分にインプットされて、成長していきますよね。
MC-FAther : 上手い下手関係なく、見たこと聞いたこと、面白そうなこと、とりあえずやってみようって感じ。その精神が大事。
ここだけの話、今のダブルダッチシーンの中でのMCのポジションは頑張ろうと思えば挑戦する機会が沢山あると思う。俺の食い扶持が無くなるのは困るけど。(笑)
けども、学生の時にMCポジションを作りたいと思って動き出したのも俺なんだよね。だから後輩のMCが育って欲しいって思うのも事実なんだ。絶対負けたくないけどね。(笑)
-今後はダブルダッチシーンにとって、どんなMCの展望がありますか?
MC-FAther : MCでも俺には俺の見せ方がある。ダブルダッチでもダンサーでもそうだけど、色々な武器や個性を持ってるMCがさらに出てくれば、きっとダブルダッチシーンも盛り上がると思う。将来的にダブルダッチにおいてMCのコミュニティーも出来てきたら嬉しいな!
MC-FAtherのインタビューはどうでしたでしょうか?現在、全国で大学生NO.1を決める大会「DOUBLE DUTCH DELIGHT」の予選が始まっています!学生の熱い気持ちが入ったパフォーマンスとともに各地方大会のMCのトークパフォーマンスにも耳をを傾けてはいかがでしょうか?新たな発見やMCの見方が変わるかもしれないです!
(構成・撮影・デザイン:井上 明徳)
Supported by
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