DAICHI #3【ダッチャーのお仕事、覗いてみたい。】
FOXには「手を動かして作りたい」っていう理由で入ったのね。
――そこから作る仕事をしたいっていうことで、FOXに入社されたんですね。
そう、やっぱり自分でいじりたい。いじりたいって言っても独学の知識しか無かったから、FOXでも最初は技術部っていう部署に入って。どうやってテレビは放送してるのかとか、マシンの取り扱いとかたくさん学んだ。
今になってそこでの仕事はだいぶ役に立ってるかなって思うけど、本当に技術的な仕事をしたね。ソフトが簡単になったこともあって、今編集ってぶっちゃけ誰でもできるじゃん。でもテレビの放送に関しては、専門知識がたくさん必要だったりするから、その点が今は逆に重宝されるかな。
――他の人があまり持ってない知識ということですもんね。そこからDAZNに入社するまでのお話を聞かせていただけますか。
まずFOXには「手を動かして作りたい」っていう理由で入ったのね。結果的に作る部署ではなかったけど、ソフトをいじって手を動かして、人が作ったものを整えて完パケして納品するっていう仕事はできた。
じゃあ次はその一つ前の工程の仕事、いわゆるディレクションをしたかったから、ソニー・ピクチャーズに入った。ちょうど空きがあったAXNっていうチャンネルに移って、最初の1〜2ヶ月は作らせないって言われてたんだけど、入って最初の2日目くらいに「とりあえず1本やってみようか」って言ってくれたんだよね。その1本がハマったみたいで、それから一人で仕事を任せてもらえるようになった。
仕事を続けていくうちに会社の中でも結構いい評価をもらえたから、その後は規模の大きかったアニマックスで同じような仕事をやってたんだけど・・・。なんつーんだろうな、DAZNに移った1個の理由としては、結構TVって難しくてCS・ケーブルテレビっていうものに対してちょっと映像業界を変える勢いとか新しさを感じられなくなってきたんだよね。
“CS・ケーブルテレビっていうものに対してちょっと映像業界を変える勢いとか新しさを感じられなくなってきたんだよね。”
――確かにケーブルテレビが今後伸びていく未来は想像しにくいですね。
そうだね。全然アニマックスを辞めたいと思ったことはなかったんだけど、映像業界ではNetflixやhuluとかの配信系が時代の先を行っていて、勢いあるなって思ってた。ちょうどそういうタイミングでDAZNがイギリスから乗り込んできて、スポーツを扱ってるし、新しいし、楽しそうだなあって思って。おれ元々Red Bullみたいなストリートカルチャーを扱うところでクリエイティブをやりたいなって思ってたことがあって。DAZNならスポーツだし、Red Bullに近くなるかなと思った。
AXNとかアニマックスに関しては、辞めたいっていう動機があったわけではなく、新しいフィールドでやってみたいって思ってたタイミングでちょうどDAZNの人に誘ってもらったって感じだね。ダブルダッチを、個人的にじゃなくて、会社として取り上げて、それを自分が手掛けたいっていう夢が頭のどっかにはあったから、それにつながるかなとも思ってた。
――なるほど。
今までもボツをくらってるんだけどさ。「ダブルダッチのこういうのやりませんか?」っていう企画考えたり、そんなことをやったりはしてる。
“今までもボツをくらってるんだけどさ。「ダブルダッチのこういうのやりませんか?」っていう企画考えたり、そんなことをやったりはしてる。”
――サッカー、野球、ラグビーなどある中で、メディアからダブルダッチはどう見られてるんですか。単純に競技人口が少なくて、取り扱っても見てくれる人が少ないって事実はあると思うんですけど。
世界的なデータで見ると、人の関心が高くてお金になるスポーツって、サッカーがダントツで1位らしいんだよね。野球なんかもアメリカと日本でだけって感じだし。そうやって見ると、ストリートスポーツは本当にまだまだで、大きなメディアでは取り上げにくいところだね。
おれが企画書を作るときに考えていたことは「オリンピックが1つのきっかけになるといいな」ってこと。「BMXとスケボーがオリンピック種目になっているので、ストリートスポーツをDAZNが先んじて取り上げてみませんか?」っていう内容で、後ろの方にちっちゃくダブルダッチをくっつけてた(笑)。そもそもダブルダッチってなんぞやってとこから始まっちゃうような状況だから、メディアからすると費用対効果が悪いってのもある。それでもこの間、DAZN主催でフリースタイルフットボールの世界大会が開催されたんだよね。ストリートシーンに対してそういう動きも少しずつ増えているから、いつか実現できるじゃねえかなとは思うけど。そのためにも頑張んないとなって。
――はい、とっても頑張って欲しいです(笑)。
「ここは音ハメだな」っていう感じで、曲編に関してはまじダッチと一緒(笑)。
――ダブルダッチのパフォーマンスをつくる際、構成や曲編はDAICHIさんが担当されていたんですか?
構成はみんなで考えるけど、メインはそうだね。あと、曲編はかなり活きてくると思う。
――映像制作にですか?
うん。時間があるときは、コンセプトをしっかり書き起こして、構成立てて、コンテ描いて、それから作り始めるんだけど。今の会社だと土曜日に試合があったら、その翌週の土曜日にも試合があるから、制作期間が超短いのね。
――あ、なるほど。スポーツだからこその。
そう。頭の中で構成作って、頭の中でイメージ作って、手を動かしながらいろんな工程を同時にやるくらいの早さなんだよね。
――はあー。
おれは最初に曲を作っちゃうことが多い。音楽はロックなのか、ブレイクビーツなのか、ヒップホップなのか。それで大体のイメージを作って、まず曲編をして、「ここは音ハメだな」っていう感じで、曲編に関してはまじダッチと一緒(笑)。
――そうなんですね。
だから曲編は本当にやっててよかったなって。おれの感覚では、ダッチと映像めっちゃ似てるからさ。テンションの上がりどころ、最後の追い込み、波の作り方なんかはダッチでのイメージのままやっちゃってるって感じかな。割とそれがうまくハマって今のところまで来れてる。
“割とそれがうまくハマって今のところまで来れてる。”
――なるほど。映像を音からアプローチするって人はあまり多くないんですか?
どうなんだろう?海外の人は結構音にハメてくる感じが強いかな。DAZNには、イギリス・ドイツ・日本にクリエイティブチームがあって、日本で流す映像が海外で作られてることも結構ある。
――へえー。
逆に日本で作った映像を海外で流すこともあるから、日本のクリエイティブチームも日本臭くならないようにあえて音にハメていってるかな。
日本のCMとかはどちらかというとタレント志向で、キャスティングに力を入れてポップな音楽にのせていく印象だね。もちろんそうじゃない作品もたくさんあるけど。
――なるほど。外資系って感じです。
(▼第4回に続く)
取材・編集:イケポン