DAICHI #5【ダッチャーのお仕事、覗いてみたい。】
自分にプレッシャーをかける意味もあって言うことなんだけど。
――はい。
ダッチャーの中で、一番格好いい映像を撮って構成から作れるのはおれだっていう自負を持つようにはしてる。U-SKさんがおれの師匠だし、他の人が作った映像もめっちゃ上手えじゃんって単純に思うんだけど。でも気を張るという意味も含めて、絶対一番格好いい映像を作れるのはおれだっていう自信みたいなものを持ってやってる。持ってなきゃいけないとも思うし。
だから今後、ダブルダッチでもそうでなくても本気でなにかの映像を作りたいっていう希望があれば是非頼んで欲しい。映像といえばDAICHIみたいな感じで、映像に関してダッチャーの代表格に自分がなれたら理想かな。
――前回お話に出ていた映像を見れるのがますます楽しみになりました。
“映像といえばDAICHIみたいな感じで、映像に関してダッチャーの代表格に自分がなれたら理想かな。”
ダブルダッチ業界のクリエイティブにもっと携われるように頑張って、しっかり格好いいものをだしていけたらいいなあって思うよ。
――そこで世に出るダブルダッチのイメージが作られていきますもんね。
昔に比べて大きくなったと言えども、まだまだ小さい業界だから、お金に関してもスケジュールに関してもまだまだ余裕がないだろうし。クリエイティブはクリエイティブで分業して、うまくやっていけたら大会のクオリティも全体的にもっと上がっていくのかなと思うよ。
演出は良くも悪くも印象を変えるからね。
――ダッチの話からは少し外れてしまうんですが、イイ感じに演出されすぎてる場合もあるなと最近思ってまして。例えば飲食店なんかで、イイ感じの映像を見て、実際にお店に行ってみると案外そうでもないなあとか(笑)。
あーあるね(笑)。
――演出しきる良さあると思うんですけど、演出と実物のバランスも大事なのかなと。
あー分かるかも。演出は良くも悪くも印象を変えるからね。例えば、ちょっとマニアックな話なんだけどフレームレートって分かる?
――はい。1秒間に何フレーム入れるかという。
そうそう。例えばサッカー中継とかだと、基本的に1秒間に60フレームなんだよね。
――滑らかな、テレビっぽい感じですよね。
そう。要はボールを蹴る瞬間とかがブレないように。でもそれっておれ達から見ると、言い方が難しいけど・・・「生っぽい」。中継の映像っぽい。
――はい、作品っぽくない感じです。
おれがプロモーションに落とす時は、それをわざわざ1秒間に30とか、25フレームに落として使う。ちょっとブレが増えるけど、それくらいのほうが演出的にはドラマチックな絵になる。実際と違うなーってのもある意味演出の上手さじゃん?
――そうですね。
“ちょっとブレが増えるけど、それくらいのほうが演出的にはドラマチックな絵になる。”
演出に関して言えば、海外ドラマの仕事をしてるときにドラマを見てて、俺の好みもあるけど、超つまんない!マジでつまんない!って作品もたまーにあったんだよね。どうしようと思って(笑)。
――それキツイですねえ(笑)。でも見ないといけないんですもんね。
そう。見たうえで「つまんない」って思って。でもどうにかしないといけないから、面白く見える構成にするじゃん。そこは演出力なのかなと思う。
あとは、映画でも予告としてはうまいなって思うけど、実際の映画は面白くないんだろうなって思うことは結構ある(笑)。
――なるほど(笑)。その点ダッチはそこにはちゃんと応えられるカルチャーな気もしますね。
そうだね。ダッチは何より生が一番だと思うしね。
――はい。
元を辿ればダッチの何がすごくて、何が面白いかっていうと、2本の縄を跳んでるところだと思う。
ダッチに関しては、映像格好いいって思ってもらったら生はもっと格好いいって思ってもらえる自信はある。映像だと伝わりにくい部分がいっぱいあるから。
――映像で見るよりもっと立体的というか、映像だとペタッとしてる感じに見えます。聞こえてくる音も生だと全然違うし。
ワンズ(DOUBLE DUTCH ONE’S)の影響もあると思うんだけど、最近はジャンパー1人がピックアップされることが多くなった。でも元を辿ればダッチの何がすごくて、何が面白いかっていうと、2本の縄を跳んでるところだと思う。だから1人が主役だとしても2本の縄の中で跳んでることがうまく伝わるような作品を作ることがおれにとっても課題だよね。
――そうですね。僕も今まで見たダブルダッチの映像を振り返って、どの作品が好きだったかなと思ったときにRUN-D-CREW出演のユニクロのCMが浮かんできます。シンプルだし「ダブルダッチの音」がするんですよね。ダブルダッチが引き立っている感じがします。
すごいシンプルだもんね。
(▼第6回に続く)
取材・編集:イケポン