TABIDUTCH|Scene0:旅のしおりと抽象化
様々な要素からなるダブルダッチ。それを”抽象化”して、ダブルダッチを通し世の中の色んなことに興味を広げよう、という鋭角な新コーナーがスタートします。その名も『TABIDUTCH』。
みなさんはじめまして、Festival CarnivalことOdaです。今回からこちら「TABIDUTCH」のコーナーをお送りさせていただきます。
さて、お前は誰やねんということで、まずは自己紹介をさせてください。僕は東大のダブルダッチサークル・D-act出身で、最近ではちょっと前までWhat Makes Us Differentと言うチームでダブルダッチコンテストなどに出場していました。
プレイヤーとしてだけでなく、海外の大会やイベントに参加したり(アフリカに行ったこともあります!)、キッズチームのコーチ(Rouge)をさせてもらったり、イベントやメディアをやったりと、中途半端ながら細々と様々な課外活動も重ねてきました。ダブルダッチに携わる全ての皆さんから日々刺激を頂いており、この場を借りてお礼を言わせてください、本当にありがとうございます。
そんな自分が送るこのコーナーですが、テーマを一言でいうと「ダブルダッチを抽象化して、世の中のいろんなことに興味を広げてゆこう!」というものです。よくわからないですよね、ということで、まずはこのテーマについて簡単に説明させてください。
ダブルダッチを抽象化、あるいは宇宙人・ジャルとの邂逅
さて、「ダブルダッチを抽象化して、世の中のいろんなことに興味を広げてゆこう!」ということなのですが、「世の中のいろんなことに興味を広げてゆこう!」はさておき、「ダブルダッチを抽象化して」ってなんのことやら、、よくわからないですよね?
「抽象化」という言葉、「具体的↔︎抽象的」という対義語のセットで聞いたことがある気がする、でも「どんな意味なんだっけ?」と聞かれると困ってしまう、、そんなじゃじゃ馬な「抽象化」、、ぴえんを超えてぱおん、、これから何回も登場すると思うので、皆さんが大好きなダブルダッチで分かりやすく例えてみたいと思います、というわけで簡単なクイズにチャレンジしてみましょう!
はい、ここからクイズです↓
時は宇宙旅行が普及した20xx年、あなたは火星から来た宇宙人の友達(仮に「ジャル」という名前にしましょう)に、自分が大好きなダブルダッチのことを伝えたいと思いました。さて、何も知らない宇宙人のジャルに対して、どのように伝えればよいでしょうか?
さてさて、宇宙人のジャルが目の前にいることを想像し、1分ほど考えてみてください。イメージしやすいように、ジャルの絵を書いてみたので載せておきますね。
ジャルと友達になるために
・・・はい、1分が経過しました!もちろん正解は1つではないですし、色々なアプローチがあると思いますが、例えば次のような伝え方だとどうでしょうか。
「ジャル、僕が取り組んでいるダブルダッチというのは、2本の縄が交互に入れ替わる中で、ダンスやアクロバットといった技を繰り広げたり、縄を早く回す・1本ずつに分ける・投げるといった見せ方の工夫をしてパフォーマンスを作るんだ。2分から3分の時間で、音楽に合わせてチームでパフォーマンスを作って、ダブルダッチデライト・ダブルダッチコンテストという2大大会を目指して、、」
さてさて、すごく細かく(これが「具体的に」です!)説明しましたが、これを聞いた宇宙人のジャルはどのように思うでしょうか?
そもそも火星には縄がないかもしれません、重力が地球の1/3しかない火星では縄の動きも全然違うことでしょう、ひょっとすると火星での時間の数え方は1分・2分ではないかもしれないですね(豆知識ですが火星の自転周期は地球と近く、火星の1日は地球時間の24時間39分35.244秒です)。そして、詳しく説明を重ねている分、話しても話してもなかなか時間が足りなそうです。
つまり、この説明はすごく具体的で内容が豊か、ダブルダッチを知っている人にはとっても分かりやすいのですが、前提知識が何もない宇宙人のジャルにはちょっとわかりにくいようです。宇宙人でなくとも、例えばおばあちゃんや、外国の方に説明することを想像してみても、同じようなことが起こってしまう気がしませんか?
抽象化、あるいはそれは枝葉を切り取る植木職人
そこで、こんな説明を考えてみました。
「ジャル、僕が大好きなダブルダッチは、道具を使った表現なんだ。仲間と一緒に、ロープという道具を2本使って、音楽に合わせて自分たちを表現するんだよ。」
これがダブルダッチを抽象化した1つの表現です(もちろんこれだけではないです)。
さて、どうでしょう?先ほどの説明よりも、火星人に理解してもらえそうな気がしませんか?火星人というのは極端な例でしたが、アフリカやアマゾンの奥地に住む原住民にも、タイムマシンに乗ってやってきた古代人にも通じるのではないでしょうか?古代人は、マンモスが狩れた夜には、火の周りに集まって歌えや踊れやの宴を楽しんだことでしょう。まさに「道具を用いて、仲間と一緒に、自分たちを表現する」ことです。「そうか、お前にとってのダブルダッチは、俺たちにとっての宴みたいなもんなんだな」と理解してもらえることでしょう。細かい部分はさておき、本質は伝わるかと思います、それが重要なんです。
つまり、具体とは1つ1つの物事に対応して枝葉の部分を表す、だからこそ、ある特定の物事について詳しく説明することができますが、前提知識がないと理解することが難しい。そして抽象とは1つ1つの物事を共通の特徴でまとめて一般化したもの、つまり枝葉ではなく幹を表すこととも言えます。抽象的な表現は、解釈の自由度が高く応用が効くことになり、これが抽象の最大の特徴ということになります。
ダブルダッチとかけて抽象化と解く、その心は「どちらも色々なことをつなぎます」
さて、抽象化によって皆さんは宇宙人のジャルにダブルダッチを伝えられるようになりましたが、抽象化の恩恵はそれだけに留まりません。抽象化することによって、あるものごとを別のものごとと繋げて、理解することができるようになるのです。
先ほど、ダブルダッチを抽象化すると「道具を用いて、仲間と一緒に、自分たちを表現する」になると言いましたが、ここまで抽象化すると色々なものごとが当てはまると思います(正確には、あるものごとを抽象化して、もういちど具体化すると、元とは別の様々なものごとに姿を変え得るということです)。
例えば音楽やアート、それぞれが楽器を重ねて1つの音楽を奏でるオーケストラ、はたまた選挙は「公約」という道具を用いて政党が表現を戦わせる行為ですよね。他にもたくさんのことが当てはまると思います、みなさんもぜひ考えてみてください。(ちなみに火星では、「ジャル祭り」がこれに当てはまるそうです)
一説によればダブルダッチの歴史は300年以上昔に遡ると言われていますが、現代ダブルダッチは生まれてまだ数十年です。まだまだ歴史が浅く、可能性に溢れたダブルダッチ。抽象化するとダブルダッチに似たオーケストラや選挙の歴史を覗いてみれば、ダブルダッチに活かすことのできるたくさんの発見があるかもしれません(かもしれません)。
ダブルダッチの特徴は、本当にたくさんの抽象化ができることにもあると思います。例えば、表現、スタイルの流行り廃り、チームワーク、コミュニティ、革命、、僕が言うまでもなく、たくさんの方がダブルダッチは世の中の様々なことに通ずると気づいているかと思いますが、抽象化を通してそれをどんどん明らかにできるのではと考えています。
ダブルダッチは素晴らしい
抽象化という武器を手にすれば、皆さんが大好きなダブルダッチを基盤に、色々なことに興味を持つことができます。興味を持つことができれば、挑戦して可能性を広げることができます。可能性が広がれば、人生は豊かになると思います。さらには、ダブルダッチ以外のものごとを抽象化して、ダブルダッチに活かすこともできるかもしれません。
(本当はもう1つ「構造化」という武器があるのですが、これについてはまた別の機会に説明したいと思います)
僕1人がダブルダッチについて語るのはおこがましいかもしれませんが、ダブルダッチは本当に素晴らしいスポーツ、そしてパフォーマンスだと思います。多くの経験をさせて頂いた1人として、ありったけの情熱をダブルダッチに注ぐことができるのはそれだけで素晴らしい才能ですし、そんな才能をもった皆さんには本当にたくさんの可能性が秘められていると信じてやみません。
ダブルダッチに情熱を注ぐ皆さんの興味が、そして可能性が爆発し、それが還流してダブルダッチシーンがもっともっと豊かになる、このコーナーがそんなきっかけになれたら幸いです。「お前は何様やねん」とw、自分などが語るまでもなく既にたくさんの方が素晴らしい才能を発揮されている中、偉そうな物言いが過ぎて恐縮ですが、、誰かの気付きになればと思いますのでお許しください。
さて、長ったらしい前置きはこのくらいにして、いよいよ次回からダブルダッチと抽象化の旅に出発しましょう!
▼その他の記事はこちらから
ダブルダッチマンの運営のために、もし良ければサポートしていただけると嬉しいです◎