関西の歴史が変わる “グランプリ”その裏側
いよいよ明日は「DDGP2020」。昨年から走り出した今大会について取材した過去の記事の転載となります。ぜひご覧ください!
(掲載:2019年8月17日)
※掲載時の内容を転載しておりますが、一部の内容・表記を改訂しております。
関西で伝統的に続いていた「DOUBLE DUTCH SUMMER FESTA」(以下、サマフェス)と「WE LOVE DOUBLE DUTCH」(以下、ウィーラブ)という2大会が融合し、2019年から新たにスタートした「DOUBLE DUTCH GRAND PRIX」(以下、グランプリ)。関西ダブルダッチシーンの歴史に、新たな1ページを刻むことになりました。
今回ダブルダッチマン取材班は、グランプリ運営陣に突撃インタビュー。一体どのような経緯で2大会が融合し、どのような思いを込めてグランプリが走りだそうとしているのか、取材しました。
左からMiri、KAZMA、Daichi
K: KAZMA – OVER THUMPZ関西支社長
M: Miri – 4回生(HANGOVER)
D: Daichi – 4回生(CapriSe)
サマフェスとウィーラブ ―関西シーンの歴史―
——そもそも、「サマフェス」と「ウィーラブ」って何か違いはあるんでしょうか?
D:「4回生が主催なのが『ウィーラブ』で、OVER THUMPZ主催が『サマフェス』って感覚ですね。内容はあまり変わらないけど、何となくの雰囲気が違うというか」
K:「ウィーラブの歴史ってまあまあ長くて、15年前から始まってるんですよ。その当時はダブルダッチの大会ってCONTESTくらいしかなくて、『もっとパフォーマンス出来る機会が欲しい』と。でも、運営を頼める人がいなかった。だから自分たちでやるしかないと始まったのがウィーラブなんです」
——なるほど、そういう歴史があったんですね。
WE LOVE DOUBLE DUTCH
K:「その5年後くらいにalttype(オルトタイプ)というチームが、当時所属していたダンススタジオの大会である『number.one SUMMER FESTA』という大規模なショーコンテストの中にダブルダッチ部門を作ったんです」
——これがサマフェスの前身になると。
K:「そうなります。それでその3年後くらいに、所属していたスタジオからalttypeが独立するタイミングでダブルダッチ限定の大会として『DOUBLE DUTCH SUMMER FESTA』が出来た。だから『number.one~』の時代から合わせると10年くらいの歴史があるんです」
DOUBLE DUTCH SUMMER FESTA
新しいスタートを切るまで
関西の夏に開催される歴史ある2つの大会は、一体どのような経緯で合体することになったのでしょうか。
K:「俺的に、数年前から学生とタッグを組んでやった方が良いなとは感じていたんです。運営というポジションで全体を俯瞰して見ていた時に、絶対にそっちの方が大きいことが出来るだろうと。この感じが続いてしまうと、出る方も運営にとっても、そして関西シーンにとってもしんどいんのではないかって気がしていたんですよね」
——確かに、大会がひと夏に2つあるのは大変ですよね。
K:「それで2019年はDOUBLE DUTCH CONTEST WORLDが日本で開催されるということもあるし、いいきっかけかなと思ってSHIMO(NEWTRADマネージャー)らと一緒に4回生に相談をし、その時に学生たちがどう思っていたかは分かりませんが、最終的には『一緒にやりましょう』と言ってくれました。実際傍から見たらOVER THUMPZが学生を食ったと見えると思うし、俺が4回生だったらそう思ってたと思うんですけど(笑)、他の地方や日本全国、いろいろな視点から関西シーンのことを本気で考えたときに、こっちの方が絶対いいやろ、と思ったんです」
「関西シーンのことを本気で考えたときに、こっちの方が絶対いいやろ、と」
——学生のお二人としては、今カズマさんが仰ってた内容を感じていたことはあったんでしょうか?
K:「いや、特にないですね。全然違う2つの大会として過去も出場していたので」
D:「俺もそうだったな」
M:「でも、憧れはありましたね。4回生になった時にウィーラブの運営とか、代合同でオープニングのパフォーマンスをやるんですが、それとか」
D:「ウィーラブ=4回生が運営するってイメージが強かったですし、いよいよ次は自分たちの番かというワクワクは強かったですね。ただ、いざ一緒になってグランプリを運営していると、その時感じていたものとは違うワクワクを感じます。『もっと大きいことが出来る!』みたいな。にしても、一緒になる日が来るとは全く思っていませんでしたが」
——そうですよね。実際、一緒にやろうと話を持ち掛けられたとき、学生としてお二人はどう感じました?
D:「個人的には今年(※2019年)8月の頭にCONTEST WORLDがあるってなった時から『どうすんやろ』とは思ってたんですよね。実際2つやるとなるとかなりタイトなスケジュールですし。そのタイミングで話があったので、『全員納得いくカタチでもっと面白いことが出来るんじゃないか』と感じました」
M:「当初は反対意見もかなり大きかったんですよ。数多くの先輩たちが作り上げてきた事実を尊重すると、簡単に首を縦に振れない人も多かった。でも現役生のことを考えると、先ほどダイチが言ったようにスケジュール的に厳しいし、そんな状況下でやってもそれぞれの価値が落ちてしまう。それなら、それぞれの作り上げてきたものを尊重して新しい形で出発しようと意見がまとまりました」
「それぞれの作り上げてきたものを尊重して新しい形で出発しようと」
変わりゆくもの 変わらないもの
——サマフェスとウィーラブが合体するってことなんですが、そのどちらの遺伝子も大会の随所に残っていたりするものなんですか?
K:「そうですね。残すように心がけてるよな」
D:「お互いの良いところは残しておこうというところからがスタートしているので、作っていく上で『ここはサマフェスの良いとこやから残しておこう』とか『ウィーラブのココがええから残したいな』とか、学生の間で話し合ったりしています」
K:「さっきも言ったように、”オトナが学生を食った”って見えてしまうと思うんですけど、あくまで真剣に関西のシーンを考えたときに、こういう形が最適解だろうと。だからお互いの良いところは目に見えて残すよう心掛けています」
——具体的にはどういった部分にその意識をされているんでしょう?
K:「例えばサマフェスには高額賞金があったり、ウィーラブには4回生合同のオープニングパフォーマンスがあって。もちろん、そのどちらもグランプリにはありますし、今回で言えばMCもASUKAとSEIYAの学生2人とNEWTRADからUrynaが担当してくれます」
「お互いの良いところは目に見えて残すよう心掛けています」
そんな新しいスタートを切ったグランプリ。その名前はどのようにして決まったのか、当時の裏話を教えてくれました。
M:「めちゃめちゃ話し合いましたね(笑)」
D:「なんやかんや名前が一番時間かかったんちゃう? 1カ月くらい話続いた気がします」
——ちなみに、他にはどういう案があったんでしょうか?
M:「“Our Party”とか、“Double Dutch with”“ナントカCarnival”とか… 日本語だと“ナツトビ”とかもありました。あと、関西っぽい雰囲気があるやつにしようとか」
D:「もうほんとにたくさんの案が出て、話し合って、案出して、話し合って… ってやってたので、気が狂いそうでした(笑)」
K:「僕らもイベント運営はかなりやっていますが、名前を付ける経験は初でした。ある程度完成されたものに参加して合流って感じだったんで、だいぶ違和感があったり、責任はすごいですよね(笑)」
——最終的には結構シンプルというかオーソドックスというか、奇をてらったような形にはならなかったんですね。
K:「もう、それはそれは色んな案があって、でも最終的にはシンプルな方が良いとなりました。誰が見てもダブルダッチの大会だと分かるし、どういうスタンスなのかも分かる。それぐらいメジャーな名前の方が頭に入りやすいですから。それに、DelightやCONTEST、それこそウィーラブやサマフェスみたく大きな規模感でやるものに、わざわざ奇をてらったネーミングを施す必要はないと感じました」
——なるほど。そしたら、本当にいろんな案を出して、色んなテイストに行きつつも最終的にはシンプルなものに行きついたと。
K:「ホントに色んなところにいって着地しました(笑)」
M:「毎回会議やるにしても、まずは名前から付けるところから始めてました」
D:「そうそう、それで何度も一日が潰れました(笑)」
グランプリ運営の裏側
今回の2大会の融合。OVER THUMPZと4回生がタッグを組む新しい形でスタートしたこの大会の運営は、どのような形で進んでいるのでしょうか。
D:「学生だから雑務とかってわけじゃなく、結構全部やってますかね」
K:「俺らと4回生だったら、割と50:50な感じだと思います」
D:「例えば俺とMiriはTシャツのデザインをAIさん(NEWTRAD)と担当していたり、営業だったらSHIMOさんと学生が一緒に協賛先へ足を運んだり。そこはタッグを組んでやってますね」
K:「学生の経験値を上げられればとも思っていて。そういうことも含め、俺は今すごくいい雰囲気やなと感じてます。もちろん、大事な決め事がある場合は必ずミーティングで共有しますし」
ミーティングのようす
グランプリに賭ける思い
関西、ひいては日本のダブルダッチシーンが動く瞬間となるであろう、DOUBLE DUTCH GRAND PRIXの開催。最後に運営のお三方に、大会へ込めた意気込みを伺いました。
K:「俺は立場的にもだいぶシーンを俯瞰的に見てると、ぶっちゃけ関西って勢いが落ちてる部分があるなと。それをずっと気にしていたんです。なんでなんやろって。こんだけTVやメディアで『ダブルダッチ』というワードを扱ってもらえるようになったのにも関わらず、大学生でダブルダッチをやる人口は減少傾向にある。もう、意味が分からないですよね(笑)。認知度は上がっているはずなのに、人口は下がるという」
——確かに、普通に考えたら矛盾していますよね。
K:「だから、このグランプリが、関西そしてダブルダッチシーン全体の、そんな状況を打破できるような何かのキッカケになれば嬉しいです」
M:「過去のサマフェスもウィーラブも、どっちも超える大きなものを作りたいね! とは話していて、みんなと。どっちに寄っちゃったとか、どっちより劣っちゃったとかではなく」
D:「しょっぱな、ってのがめちゃくちゃ大きいですね。しっかりカマして、“くっついてよかった”って下の子にもOBさんたちにも思われたいし、ましてや関東の人たちにも『めちゃくちゃデカい面白いこと始まったな』って思ってもらいたいなと思います。もしウィーラブ単体だったら『後輩のために何かしてあげよう』というマインドだけだったと思うんですけど、こういう形になって実際視野が広がった気がしています。色んな人に良いものと思われたいし、良いものを提供したいです」
「色んな人に良いものと思われたいし、良いものを提供したいです」
【 DOUBLE DUTCH GRAND PRIX 】
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