紅麹の問題を調べてみよう
紅麹の問題、意外と騒がしいので、調べてみようと思う。
今、自分が知っているのは、小林製薬の紅麹とかいう健康食品で死亡含む健康被害(腎障害)が出ているらしいこと。最近、原因物質として「プベルル酸」なる物質が特定されたらしいこと。
このあたりで僕が疑問に思ったのは、健康被害の原因物質の特定なんてそうそう簡単じゃないのに、どうやってプベルル酸だと特定できたのか。プベルル酸のニュースを見ると、原因物質かどうかはわかっていないという記載もあるが、わかっていない段階でどうして物質名まで公表しようと思ったのか。
あと、そもそも有害事象が腎障害であるのが少し不思議。通常、体内には存在しない物質を摂取して、腎障害や肝障害が生じるのは、それらの物質が腎臓や肝臓で代謝されるため。代謝によって腎臓や肝臓へ負荷がかかって、機能が低下していく。物質ごとの負荷の大きさの違いによって、数日単位で急速に機能低下が進む場合もあれば、数か月単位でゆっくり機能低下が進行する場合もある。
紅麹って、いままでも流通していた健康食品なんでしょう?なんでいきなり、腎障害?しかも原因物質までわかる?どういうこと?という感じ。
では調べ始めてみる。
調べものをしようとするとき、役所の文書は、俯瞰的で、網羅的で、嘘がないのだけど、どこがポイントかわからない、最新の情報は含まれない(ことが多い)という欠点がある。とりあえず出始めに眺めておくと頭の整理のベースになる。
「紅麹」でググって一番最初に出てきた役所のページが食品安全委員会のこちら。
なんだ、2014年の記事である。しかも紅麹で、腎障害が出るから欧州で規制や注意喚起されている、原因物質はシトリニンだと。
はぁ?もう知られてる話だったの?やばくない?わけがわからん。
いったん紅麹とシトリニンで検索してみると、このページがトップヒット。小林製薬の紅麹はシトリニンを含まないらしい。なるほどちゃんと言い訳しているのね。この記事がいつのかはわからないけど、論文投稿が2020年とあるので、そのぐらいには存在していた製品のようだ。
次、農水省。
関係省庁連絡会議の資料がある。こういうのは偉いが理解しやすいように資料がつくられるので、素人的にも理解しやすかったりする。
https://www.mhlw.go.jp/content/001235173.pdf
会議の設置とかはどうでもいいけど、3ページ目の経緯はわかりやすいかな。3月22日に初めて会社から報告されましたと。
あと7ページ目に現状把握している被害数がまとまってる。小林製薬プレスリリースの件数とヒアリングの件数が違うのが意味不明だけど、まぁ小林製薬は出し渋ってるけどヒアリングで無理くりきいたらこういう数字も出ましたということなんだろうなぁ。
厚労省のページにもとべる。
だいたい同じような情報だけど、下の方に過去の健康食品での健康被害情報がのってる。
肝機能障害で、数か月間、特定の健康食品を摂食して、おそらくそれが原因であると想定して、摂食を中止したところ改善したというケース。
こういうのが普通のパターンかなって思う。たぶん体質とか、そもそもの肝機能の程度とかによって症状が出たりでなかったりするもの。だから原因物質の特定なんて普通できない。
そういえば、今回のケースの死亡事例ってどのぐらいの年代なんだろう。そもそも腎機能が落ちている人だと影響も大きいかなって思うし、高齢になると腎機能は必然的に落ちてくる。
厚労省のページを探すが、年齢が出てこない。そもそも最新の人数もない。小林製薬のプレスリリースも、まとめた人数もなくて、毎回、追加で報告がありました、とだけ記載するふざけた内容。
死亡者数とか年齢とかってニュースになってなかったかなぁと思い、適当にニュースを検索すると、とりあえず昨日の記事で70~90代の5名が死亡とあった。
ニュースは、網羅性や俯瞰性はないけど、嘘がなく、最新の情報があり、かつ、お茶の間の主婦が気にしそうなキャッチーな話題に絞られていることが多い。だから死者の数とか年齢とか原因物質とかそういう話題はニュースを見るのが早い。
それで、死者はやはり高齢者に多いので、腎機能に影響を与える物質があって、高齢者でその影響が強く出て死亡に至った場合もあった、ということなんだなと理解。
こういえば小林製薬が初めて症例を認識したのはいつなんだっけと思って適当にぐぐると、ニュースでは1月15日に認識したとある。
それで、最初のプレスリリースを見ると、さすがに認識した日は書いてはないけど、「一部の紅麹原料に当社の意図しない成分が含まれている可能性が判明」と記載。
あぁだからこういうことなんだ。
そもそも紅麹はこれまでも販売されていて、特に健康被害は発生していなかったから、通常であれば問題ない。
特定のロットで腎機能に影響を与えるプベルル酸が混入したため、健康被害が発生した。
いや、当たり前の話なんだけど。
こんなこと調べる前から少し考えればわかるのだけど、なぜか素直にこういう結論に至らなかった。まぁこういう素朴な結論以外にも一応いろんな可能性がある中で、調べる中でそれらが普通に排除されたというだけなんだろう。
ちなみに、混入の原因は、まだ判明していないが、プベルル酸は青カビから産生されるということなので、製造過程で青カビが混入したことが最も想定されるケースか。
あるいは、過去の欧州の注意喚起では、紅麹からシトリニンが産生される場合もあるということなので、紅麹からプベルル酸が産生された可能性もある。仮にそうだとすると、その原因として最も考えられるのは、紅麹の株を何らかの理由で変更したこと。次に突然変異。ただそれはさすがに考えにくいか。株変更があったのかどうか、厚労省の立ち入りで調査されるんだろうなぁ。
シトリニンの事例があったので、本件も少し理解がしやすい気がしますね。
時系列としてはこういう感じか。
小林製薬が初めて症例を認識した今年1月には、紅麹が原因なのか患者の背景疾患に由来するのかなどわからないので、原因特定を検討。
症例報告も増えるなかで、おそらく紅麹製品が原因である可能性が高まってきて、小林製薬でも紅麹製品側の分析を進めると、おそらく特定のロットで「意図しない成分」、のちに厚労省が発表した「プベルル酸」を検出。これは青カビから発生する有害成分。
3月22日にもう耐えられないと判断して厚労省に報告、公表。
これが遅かったのかどうかはわからないけど、たまたま患者の症状が重くて出ただけの可能性もあるので、最初の認識から2か月であれば仕方ないんじゃないかなぁという気はしないでもない。わからんけど。
とりあえずこのぐらい把握すれば、あとはニュースを順に追っていけば理解できそうかな。
調べものをしながらその順に記事を書いてくのって、さすがに面倒ですね。あんまり効果的でもない気がした。ちゃんと整理した後にまとめ記事にした方がよかったかも。