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メキシコとアメリカ間の分野別輸出入、貿易収支 関税の影響
トランプ新政権は2月頭からメキシコに対して関税を掛ける方針であるが、改めて、両国間の輸出入及び貿易収支についてみてみた。2024年11月末までのアメリカからの輸出額は3,094億ドル、メキシコからの輸入額は4,646億ドルで、貿易収支としてはマイナス1,552億ドルと、11月末時点で、既に2023年の貿易収支マイナス1,503億ドルを超えている。最大の貿易赤字分野は、自動車及び部品(HSコード:87)で、貿易収支はマイナス980億ドル(63%)にも及ぶ。次の赤字額が大きいのは、一般機械(HSコード:84)のマイナス479億ドル、次いで、電気機器のマイナス287億ドル。上位3分野合計で、マイナス1,746億ドルと、全体額を大きく超えている。トランプ大統領は、アメリカが一方的に赤字と主張しているので、あまり話題に上がらないが、実は、対メキシコで貿易黒字の分野もあり、黒字合計は674億ドル。ただ、3分野の赤字額が巨大なので、最終的な収支は、大幅な赤字になっている。対メキシコは、要は、自動車、機械、電気機器分野の問題ということになる。特に、自動車及び部品分野は、日本にとっても大きな影響が出てくるのは必至の状況。
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メキシコからの輸入に関税を掛けると、関税収入は大幅に増加し、メキシコへのダメージはあるが、一方で、輸入時に関税を払うのは、アメリカの輸入者であり、関税収入が増えた分は、消費者物価に転嫁されると思われ、双方に大きなダメージがあると思われる。仮に、10%の関税を両国(メキシコは報復として)が全ての分野に一律にかけると、アメリカからみた関税の収支は、単純に貿易収支の10%(155億ドル)のプラスとなる。
トランプ大統領の考え方だと、貿易黒字の分野にも関税を掛けると、アメリカが不利益を被るという考えになる可能性もあり、貿易収支が赤字分野だけに関税を両国がかけた場合は、アメリカ223億ドルの関税を得ることになる。ただし、繰り返しになるが、政府収入は増えても、関税を払っているのはアメリカの輸入者であり、その分をだれに転嫁するかが問題である。消費者価格に転嫁した場合は、物価はさらに上がっていくと思われる。
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【注記】
データの引用元は、ITC (U.S. International Trade Commission)。
輸出額は、ITC データベースの輸出合計 (Exports: Total)。
輸入額は、後日、関税率などを算定すること等もあり、一般輸入額 (Imports: General)ではなく、消費用輸入額 (Imports: Consumption)の関税評価額(Customs Value)を引用している。