中国への10%関税の影響
来週からカナダ、メキシコに25%、中国に10%の追加関税がかけられることになってきた。
トランプ新政権、関税の影響追跡2:中国、カナダ、メキシコの過去20年の実関税率
の記事で、過去20年のアメリカの中国、メキシコ、カナダなどからの輸入と平均関税額などを想定したが、中国に関して、さらに月次の輸入額でみてみた。
2018年末までは、中国からの輸入額全体への平均関税率は3~4%で推移していたが、2019年以降、トランプ第一期政権による関税で一気に9~11%に上がっている。
さらに、コロナ禍で、特に2020年2月、3月は大きく落ち込んでいる。
そこで、関税とコロナ禍の影響をみるために、2018年時点での平均関税率(4%)が2024年まで継続し、さらにコロナ禍がなかった、とした場合の想定輸入額と実輸入額とを非常に単純化して比較してみた(想定方法等は別記事で掲載予定)。
それによると、6年間の間、年平均1,140億ドル程度減少していると推測できる(6年間合計マイナス6,860億ドル)。2024年1~11月までは、1,490億ドルとなっている。
2019年以降、平均関税率を10%とすると、来週から新たに10%の追加関税がかけられると、同規模が減少し、年間輸入額が2,500億ドル程度まで落ち込む可能性がある。これは、2022年比では約半分であり、中国にとっては非常に大きなダメージとなると思われる。ただ、アメリカ国内の需要が変わらない場合、これらで減少した分を、どこかで埋める必要があり、製造業をアメリカに移しても人件費が高いこと、また、これまで、この減少分を補ってきたメキシコとカナダにも関税を掛けると、両国でも埋められない、かといって日本やベトナム等では供給しきれる量ではない。となると、ものが不足することになり、結局物価高につながるのではと思える。
【注記】
データの引用元は、ITC (U.S. International Trade Commission)。
輸出額は、ITC データベースの輸出合計 (Exports: Total / FAS額l)。
輸入額は、後日、関税率などを算定すること等もあり、一般輸入額 (Imports: General)ではなく、消費用輸入額 (Imports: Consumption)の関税評価額(Customs Value)を引用している。