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いぬのファックス

私が体験したものではなく、直接聞いた話でもなく、たまたま入った中華屋で後ろのテーブルから聞こえて来た話で印象に残ったものを要約して記載。
(たぶん聞いたのは7年前くらいの話)

サラリーマン4人での会話です。上司+部下(同僚)だと思う。

年の初めぐらい(冬季休暇後?)に「俺、最近ダイエット始めたんですよ」って言ってた部下がいて、「始めてから一週間で5キロも減ったんですよ」と笑いながら調子良さそうに言ってたので、「その調子なら(体重が減り過ぎて)春を迎える頃には消えてなくなっちゃうんじゃないの?」と下らない笑い話をしていたらしい。

ところが、二週間を過ぎたぐらいから部下は見る見るうちに尋常じゃなく痩せ細って、無断欠勤も増え、困った事態になったらしい。
ある日、「犬が煩くて家から出られない」というメールが届いて、心配して電話をするも全く繋がらず、暫くしてから会社の普段は殆ど使われてないファックス宛に「あれいぬじゃなかった」という子供が書き殴ったようなひらがなだけのファックスが届いたんだって!

それで心配してその人の部屋まで行ったらしいんだけど誰も居なくて、慌てて実家にも問い合わせたんだけど「家に子供などいませんが」という返答があり要領を得ず、春を迎えるどころか冬が終わる前に本当に消えてなくなっちゃったって話をお昼時にサラリーマンたちが深刻そうにしていた。

凄い変な話って私は思ったんだけど、サラリーマンたちはこの話自体を怖いとか変だとは思っていないみたいで本当に心配してて凄いと思いました。
人間の優しさって凄い。
でも、凄い変な話だよ!

と、思った話です。