ビエンチャンで三角関係

一人大学卒業旅行で立ち寄ったラオス。淡い恋物語が幕を開ける。

ラオスの首都・ビエンチャン。ここに来て誰一人日本人と会っていない。ガイドブックがあれば別に一人でもいいんだが

誰か日本人からガイドブック見せてもらえばいいかというなんとも卑劣な考えだったためか、後に天罰が下ったのかもしれない。

ひたすら街中を歩いていると中国人にも韓国人にもない日本独特な上品さを兼ね備えた女性を発見!

「すみません!この辺ってどこか観光名所みたいなところってありますか?」
とすかさず話しかけると
「う~ん。あんまないですね」
…気まずい空気が流れる。

波長が合わないなと思い早々にさようなら。それから少し歩いていたら、後ろから物凄い勢いで誰かが走ってくる!

強盗か!っと思ったらさっきの上品な女性だった。

「今からブッタパークに一緒に行きませんか?」
波長が合わないことを認識しつつも可愛いパワーで強引に持っていかれた。

「まだ時間あるんでそれまで一緒に昼食どうですか?」
今度は上品なパワーで「ハイ!」言わざるを得なかった。

新宿生まれの新宿育ち。そりゃ上品な訳か。

名前はAさん。年齢は不詳だが大学を卒業してアメリカに1年、オーストラリアに1年、マルタに1年語学留学していたらしい。

食事を終え、アキさんに連れられてホテルへ。
え!?まさかアキさん!!!

「この人が今からブッタパークに連れて行ってくれるブロ」

は?!ラオス人も同行すんの!?


ブロも戸惑っていた。バイクで行くのに3人は無理だからもう1台用意するとか。そこでやってきたのが仕事終わりのエイ(男)。エイに悪いことをした。てかブロが車出せばこんなことには。いやそもそもAさんが私を誘わなければ。
ブロはAさんと2人でブッタパークに行く気満々でいたのだが、2人で行くのに抵抗のあったAさんは暇そうにしていた日本人を誘ったのだ。

絶対にここで断るべきだ!
なんでこんなに面倒臭いことになること請け合いの事案に巻き込まれなければならないのだ!しかしあれ!?なぜだろうか…なんだか断れる気がしない。。。
そうだ!! 昼食を奢ってもらっていたんだった!
思えば昼食後の会計の時、Aさんが最初に全額支払い。その後お金を渡しても全く受け取る気のなかったAさん。

全て計算されていたのだ!!!


騙され騙し合う都会で育った人にとって私を手玉に取ることなど容易だったのだろう。恐るべし新宿育ち。

結局渋々ブッタパークに行くことになった。それも無料ってところがまた気を使ってしまう要素。

1時間程走ると、目的地に到着。すごい光景だった!!!混沌な感じがある意味でバランスを取っている。みんなで記念撮影をしまくった。それでも心に蟠りが残っていたので全ての写真で変顔をきめてやった。

観光している最中、ブロの視線がとても痛かった。
「おまえがこなければ。おまえはAさんと一体どういう関係なんだ!?あ!?何人目の男なんだ!?」

視線が訴えていた。忘れてはいけないのがエイの存在。ラオス国立大学の4年生。笑顔がチャーミングで日本人にしか見えない風貌からすぐに意気投合。仕事終わりに無報酬で日本人のバイクタクシーをするなんてこんな良い奴はいない。ブロは学はないがツアー会社で働いていたことからべら棒に英語が上手かった。見た目は渋めなイケメン風。歳は27歳くらいに見える。

帰り道、ブロは帰路を変えたり、スピードを急に早くしたりしていた。恐らくAさんと2人きりになりたかったのだ。もうわかっているだろうが、ブロはアキのことが好きなのだ。しかしエイはそんな勝手な行動を許さない。そのような行為をする度にブロに対して怒鳴る。次第にAさんの心はどんどんエイに傾いていく。

夜までアキの策略につき合わされ死ぬほど疲れた。
「夜はみんなで話そう!」
ブロが言い出した。
「夜は噴水の前で本を読みたい」
なんてするわけない理由をつけてその場から離脱。

その後の恋の行方はどうなったことやら。。。


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