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佐藤可士和の超整理術|私のイチオシ本
Dot.代表の安東です。
2024年は「私のイチオシ本」と題して、Dot.所属メンバー有志によるリレーコラムをやっていきたいと思っています。
まずはその第一回として、私のおすすめする一冊をご紹介できればと思います。
佐藤可士和の超整理術
もともと本を読むのが好きなこともあり、正直、印象に残っている本、勉強になった本、影響を受けた本はかなりあります。
その中で、どの本をイチオシにしようかと迷ったのですが、今回は自分のキャリアに大きな影響を与えたという意味で、この一冊をチョイスしました。
ある意味では、人生を変えた一冊ということもできるかもしれません。
佐藤可士和さんを知ったのは、まだテレビ番組制作会社で働いていたとき。
おそらく20代の後半から30歳になったくらいの頃だったと思います。
ちょうど私が担当する番組のMCとして出演されていて、その流れで「超整理術」を読みました。
で、シンプルに面白かった。
本著は「空間の整理」「情報の整理」「思考の整理」という3つの大きな軸から可士和さんの考えを紐解いて解説しています。
この考え方が、元々ミニマリスト思考だった私の考え方とベストマッチしました。
おそらく、まだミニマリストという言葉を誰も使っていない時代の話です。
空間の整理についてはカバンやデスクの整理整頓。
可士和さんの「手ぶらで通勤する」という一文に影響され、しばらくはそれを実践していたくらいです。
まぁ、PCやら手帳やら、どうやっても取材に欠かせないのですぐに諦めたのですが、それくらい影響が大きかったということですね。
「情報の整理」「思考の整理」では可士和さんの思考法、PCのフォルダ整理から仕事術、実績に至るまでが詳細に解説され、どんどんと引き込まれていったのを覚えています。
キャリアチェンジへの影響
では、この本がどう私のキャリアチェンジに影響を与えたのか?という部分ですが、間違いなくそれはデザインへの憧れでした。
デザインと言っても狭義の意味での表層デザインではなく、物事の本質をすくい取り、全体設計までを完結させる広義の意味でのデザインの方です。
テレビ番組制作会社の退社後にデザイン、クリエイティブの道を選び、いま、こうした仕事をしているのは「佐藤可士和の超整理術」を読んだから、と言っても過言ではないのかも知れません。
また、業務の中でも、デスクや書類のスリム化、最適化、アップデートの概念などはもともと私自身も持っていた考え方でしたが、それを言語化し、ビジネスに役立つスキルとして明確に提示してくれたのは間違いなくこの本でした。
さらには、仕事道具についてのこだわりや、選択と集中、本質の追求といった細かい点についても多くの学びがありました。
間違いなく、大きな影響を受けた一冊です。
視野の広さと視点の多さ
本著では、いろいろと面白い実績がたくさん紹介されているのですが、印象に残っているエピソードとしては、「新国立美術館」のシンボルマーク制作コンペの話があります。
もともと、シンボルマークの条件として、国立新美術館(National Art Center, Tokyo)のイニシャルを用いた「NACT」というモチーフで作ってほしいという要望があった案件に対して、可士和さんが提案したのは「新」という漢字をモチーフとしたものだったのです。
依頼内容からするとオリエン違反、業界的にはなかなかトライしにくい提案を成立させたのは、やはり可士和さんの本質を見抜く目、広い視野と多くの視点(思考の方向性)のなせる術だったのだと思います。
詳細はぜひ、本著を一読していただくのが良いかと思います。デザインに限らず、クリエイティブ業界にいる人ならほどんどが納得し、また感嘆するエピソードだと思います。
原点回帰
今回、このリレーコラムを開始するにあたり、数年ぶりに「佐藤可士和の超整理術」を読み返しました。
そして驚きました。
今でもその思考術は色褪せず、さまざまな業務に活かせるポイントばかりだったのです。
発行日が2011 年となっているので、13年たった今でも通じる考え方、仕事術は、物事の本質をすくい上げる可士和さんだからこそと言えるのかも知れません。
あらためて、自分のクリエイティブの原点を見つめ直すことができました。今後も、折に触れてこの一冊は読むようにしたいと思います。
興味ある方は、ぜひこちらのリンクからご確認ください。
それではまた。