dot_haraiの2021音楽年間ベスト50(推し曲動画・プレイリスト付)
2011年から毎年作り続けている音楽年間ベスト。
今回で11回目です。
過去のベストはこちらにまとめていますので、よろしければどうぞ。
この1年間によく聞いた、今後も追いかけるであろう作品からこれほんと良かったです、と言いたい50枚をピックアップしました。洋楽、邦楽、ワールドミュージック等々ジャンルバラバラですが、アンテナにビビビと反応した精鋭達です。順位付けはしておりますがそれほど意味なく、全てお勧めしたいタイトルです。
作品毎にSpotifyアルバムリンクとYouTube動画、二三言説明を付けています。ご参照ください。最後に推し曲並べたベストプレイリストがあります。いい流れで繋がりましたのでどうぞ曲順通りに聞いてみてください。
それでは早速第1位より。
1.時速36km「輝きの中に立っている」
東京江古田の4ピースロックバンドの1stアルバム。日常に寄り添う優しい眼差しも荒々しい熱量も泥臭さも兼ね備えた、間違いなく今年最も心揺さぶられた1枚。
昨年「ハロー」を初めて聞いて、それはもうガツンとやられました。この曲を構成する要素全てが熱くガッチリ成立している、そう言い切りたくなる圧倒的アンセムです。
どの曲も拳握ってグッとくる気持ちよさやカチッとハマる瞬発力のマジックがあって、しかもそれが波のように押し寄せ高まってくるんですよ。「ムーンサルト」はその極致。そして、テンポの速い遅いにかかわらずこう感じられる曲が目白押しなところがまた凄いです。
時速36kmは人間が出せるおよそ最高速度という話もあるようですが、疾走感だけでなく寄り添ってくれる優しさもあります。この曲なんかはそれらの魅力がよく詰まってます。
最新MV。めちゃ仲良しで微笑ましい。
これからのさらなる活躍が期待できる、希望に満ち溢れた素晴らしいタイトルです。ぜひ御贔屓に。
2.Sturle Dagsland「Sturle Dagsland」
ノルウェーの名状し難き異形のストレンジエレクトロミュージックユニット。歌唱も演奏もジャンルも独特過ぎて形容しようが無いので、まずはお聞きください。
エキセントリックで目が離せないライブ風景。全然音は違うけど54-71を思い出します。
3.San Salvador「La Grande Folie」
南仏オクシタン地方の混声ポリフォニーグループ。土着的な匂いありながらも荘厳さ感じる迫力があります。
声と打楽器のみなのにこの豊穣感。多彩なリズムと輪唱の心地好さが素晴らしい。
4.Weedie Braimah「The Hands of Time」
ガーナ生まれ、ニューオリンズ育ちの打楽器奏者初ソロ作。機関銃のような高速乱舞パーカッションはド迫力で快。Christian Scottをはじめ、豪華なゲストミュージシャンも聞き所です。
収録曲とバージョンは違うが、カッコいいアーティストプロモ動画。
5.Danny Elfman「Big Mess」
ティム・バートン監督作品など数々の映画音楽を手掛けてきた音楽家のソロ作。(ジョジョでしか知らなかったけど)オインゴ・ボインゴのメンバーだそうです。困惑するような重厚な怒りと混沌に満ち充ちた一大音楽絵巻。
6.ROTH BART BARON「無限のHAKU」
通算6作目、三船雅也のソロプロジェクトとなり2作目のアルバム。わくわくさせるタイトルの通り、何にでもなれるかのような柔らかさはこれまでに無かった感覚のような。
アイナ・ジ・エンドと組んだユニットA_oのポカリCMソング「BLUE SOULS」。こちらにロットバージョンが収録されてるが、A_o曲がまためっちゃ良くて聞きまくりました。CMの映像が凄かったです。
7.Nair Mirabrat「Juntos Ahora」
ウルグアイのMartin Ibarraを中心としたプロジェクト。伝統音楽カンドンベとジャズ、エレクトロがハイブリッドに融合した作品。
収録曲ではないが、こちらの動画からやってる音楽のヤバさが伝わると思います。
8.Jupiter & Okwess「Na Kozonga」
コンゴの重鎮的ファンキーロックバンド。結構なお年のはずなのに迫力と切れ味は衰える気配ありません。カッコいいオヤジが聞きたければ、迷い無くこちらをお薦めします。
9.Avishai Cohen「Two Roses」
イスラエルのベーシストがフルオーケストラと共演。ドラムはMark Guilianaマーク・ジュリアナ。アラブ、ユダヤ音楽の哀愁あるメロディーが迫力ある演奏で鳴らされ圧巻も圧巻です。
10.butaji「RIGHT TIME」
2018年のセカンド「告白」が素晴らしかったSSWの新作。tofubeatsがリアレンジした「free me」や折坂悠太に提供した「トーチ」など聴き所たっぷり。中でも「中央線」が胸に響きます。
11.The War On Drugs「I Don’t Live Here Anymore」
2018年のグラミーで最優秀ロックアルバムを受賞して以来のアルバム。期待通りの美しいメロディーに土煙が舞うようなサウンド、枯れた声が堪らないですね。
12.Fimber Bravo「Lunar Tredd」
20th Century Steel Bandに在籍していたスティールパン奏者のソロ作。トロピカルかつ優しい音色に揺られるファンキーディスコ。
13.Penya「Penya」
トライバルビートなアフロエレクトロユニットの2nd。前作も聞いてたはずだけどこんなに良かったっけ。よりスペイシーにぶっ飛べるタイトルになってます。
14.Fanfare Ciocarlia「It Wasn't Hard to Love You」
世界最速のジプシーブラスバンドとの異名も持つルーマニアのバンド。結成25年を記念する特別でラストとなる今作はクラウドファンディングを経て制作された強力盤。高速な勢いだけでなく、色気や流麗さも感じます。
15.The Armed「ULTRAPOP」
デトロイトのカオティック・ハードコアバンド。ドシャメシャヘビーで過剰なサウンドなんだけど「ULTRAPOP」と称する通りにポップに聞けるハイセンス。
16.諭吉佳作/men「からだポータブル」
でんぱ組.incへの楽曲提供や崎山蒼志、長谷川白紙などとのコラボといった活動も注目されるSSWlの1stEP。独特のぐるぐる巡る浮遊感と奔放に跳ね回るサウンドが心地よいです。
17.Maria Arnal i Marcel Bagés「CLAMOR」
スペインはカタルーニャの男女デュオ。エフェクト効いた深みと奥行きあるサウンドに引き込まれます。弦楽四重奏団クロノス・カルテットとの「Jaque」などめちゃかっこいい。
18.Manchester Orchestra「The Million Masks Of God」
マンチェスターですが、アトランタのインディーロックバンド。パワフルな勢いある前半曲から段々と感傷的に締めていくアルバ厶構成が良いです。
19.BADBADNOTGOOD「Talk Memory」
カナダ・トロントのインストバンド5作目。緊迫感ある即興のダイナミックさと繊細さを感じます。
20.家主「DOOM」
前作はリリースに気付かず翌年に聞いて悔しい思いをしました。こちらは先日出たばっかりですが、もう期待に違わぬ内容で大好きです。執拗とも思える高揚必至の曲展開とギターの唸り、伸びのあるボーカルは、新しくないけど新しい魅力に満ちてます。
21.Ben&Ben「Pebble House, Vol. 1: Kuwaderno」
双子がフロントのフィリピンの大所帯フォークポップバンド。親しみやすく緩急自在のメロディときれいなコーラスのハーモニーが魅力です。現地でOPM(Original Pinoy Music)というそう。
デビュー作の前作も実に良かったです。
22.崎山蒼志「find fuse in youth」
メジャーデビュー作はバンドサウンドや打ち込みなどキャッチーさありつつ、尖った才も見せています。混沌の「目を閉じて、失せるから。」から更に鋭くなった代表曲に繋げるセンスよ。
23.The Staves「Good Woman」
イギリスの3姉妹バンド。コーラスの美しさはもちろん、女性のしなやかな力強さが感じられる楽曲が揃っています。
24.Parannoul「To See the Next Part of the Dream」
韓国のシューゲイザーバンドの2作目。熱くこみ上がってきた感情がギターで昇華する、エモさ全開な作品。
25.君島大空「袖の汀」
繊細な穏やかさを湛えたEP。ガットギターの紡ぐ音色が優しいです。
26.折坂悠太「心理」
映画やドラマ主題歌を手掛けるなど各方面に活躍するSSWの3枚目。様々な楽曲が詰め込まれて底知れない作品となっています。
こちらはアルバム未収録。
27.UPH Conservatory of Music「The Unvarying Fragments of Light」
アーティスト名はインドネシアの音楽大学。ジャズピアニストを中心に、様々なインドネシアのアーティストとコラボしてるようです。詳細はよくわかりませんが、曲毎に様々な顔見せるエスニックフュージョン。1曲目はギタリストのTohpati参加してます。
収録曲ではないが、ピアニストの演奏動画です。
28.Jaubi「Nafs at Peace」
パキスタンはラホール出身のメンバーが中心のグループによる、北インド古典をベースとしたスピリチュアルジャズ。繰り返す旋律の中にある、音がピカッと光る瞬間にグッときます。
29.Femi Kuti/Made Kuti「Legacy+」
アフロビート創始者Fela Kutiの長男Femiのアルバムと、更にその息子Madeのアルバムをコンパイルした1枚。Femiは直系のメッセージ性と肉体に直接訴えてくるようなサウンド、Madeはクールな熱さを持つアフロビートとそれぞれの違いを感じられます。
30.Orquesta Akokán「16 Rayos」
キューバの名うてのミュージシャンが集結したオーセンティックマンボビッグバンド。色気が凄い!
31.Jon Batiste「WE ARE」
ソウルフルなナンバーからジャズ、ゴスペルなど枠に囚われない奔放な作風から若い人だと思ってたら、アルバムデビューから10年以上活動しているベテランでした。自由な佇まいになんだか藤井風との呼応を感じました。
32.Manu Delago「Environ Me」
UFOのような形状でスペイシーかつ有機的な音を響かせる打楽器、ハンドパン・ハングドラムを操るミュージシャン。今作は全編通じて様々な効果音を意外なところから鳴らしていて、一通り聞いた後にPV見るとまた楽しめます。
あの音こんなして鳴らしてたのかという驚きです。
33.Baiuca「Embruxo」
スペイン、ガリシア地方のエレクトロアーティスト。憂いある南米フォークトロニカとの親和性高いです。硬質な電子音にスペインのバグパイプ、ガイタと民族的コーラスが絡んで神秘的な雰囲気もあります。
34.PEOPLE 1「PEOPLE」
2019年から活動を開始した、プロフィール非公開バンドの1stAL。セルアウトに特化したバンドと自ら言い切ってましたが、良い意味で換骨奪胎、新しい魅力を生んでると思います。
こちらのPVはめちゃくちゃキュート。新曲「魔法の歌」も同じ方がPV作ってます。
35.Analogfish「SNS」
3年ぶり11枚目となるアルバム。全編通じて軽快で普遍性あるポップス、これは気持ちいい。二人のソングライター&ボーカルが同居する特異性が、しっかり魅力として1つに収まってる作品です。
36.Dumpstaphunk「Where Do We Go From Here」
ニューオリンズの重量級ファンクバンド。冒頭曲などのハードロッキンぶりは、障害物を薙ぎ倒していく圧倒的ブルドーザーな快感があります。
37.Nubiyan Twist「Freedom Fables」
イギリスのアフロジャズ集団による、ファンキーな小気味よさが充実の3作目。躍動感あります。
38.Echoes of Zoo「Breakout」
中東やアフリカなど雑食ワールドジャズを鳴らすバンドのデビュー作。サイケな妖しさや荒々しい勢いが感ぜられます。
39.冥丁「古風Ⅱ」
こちら出るのを待ってました。日本の古い文化をモチーフにしたエレクトロニカ・アンビエント。前作よりもわかりやすい印象で、ゾクゾクする和の情緒に浸れます。「黒澤明」のエモーショナルたるや。年末年始聞き込みます。
40.ずっと真夜中でいいのに。「ぐされ」
ACAねを中心としたユニットの、フルとしては2枚目。今作はストリングスの多用が目立ちますが、情報量の多さを更に彩っていて良し。そう来るかという展開も、堂々とさも当然のように歌われていて頼もしい限りです。
代表曲のTHE FIRST TAKE。
41.James Yorkston「The Wide, Wide River」
スコットランドのシンガーとスウェーデンのバンドによる北欧トラッドフォーク。弦楽器やニッケルハルパとコーラスのハーモニーが良いです。
42.Lucy Dacus「Home Video」
人気の米女性SSW3作目。タイトルの通り私書的でドラマティックな展開は控えめだが、それ故じんわりノスタルジックな気持ちに浸れます。
43.U-zhaan×環ROY×鎮座DOPENESS「たのしみ」
断続的に活動してきたユニットのフルアルバム。実力者たちが肘張らずゆるくリラックスして、高次元な遊びを展開しているという感じです。
44.HoSoVoSo「春を待つ僕ら2」
三重県在住のシンガーソングライター。訥々とした素朴で柔らかい歌が沁みます。
45.Boulevard des Airs「Loin des yeux」
フランスで人気のバンド。エネルギッシュな楽曲は控えめに、新曲やアコースティックな既発曲ゲストバージョンも多数収録と盛り沢山な内容。
46.Alafsar Rahimov「Panik」
アゼルバイジャンの木管楽器奏者。アゼルバイジャンのジャズをムガームジャズと呼ぶそうです。多彩な笛の音色がエスニック情緒を誘います。
47.Namgar「Nayan Navaa」
ロシア連邦を構成する中央アジア、ブリヤート共和国出身のシンガーによるアルバム。モンゴルやシベリアのビョークとも。伝統的民謡歌唱とヘビーなサウンドが彼の地の壮大さを連想させます。
収録曲ではないが、オーケストラと一緒もまた魅力的です。
48.hodíla ízba「Ходуном」
カオティックな展開が面白いロシアの大所帯バンド。民族的な要素からハードトリップするサウンドまで様々ぶち込まれてて、怖いもの見たさに引き込まれる感じです。
49.underscores「fishmonger」
ハイパーポップ勢の中で、最もしっくり来た作品。粗いポップとベック的な気だるさが混じった中、「Spoiled little brat」の直球エモに撃たれました。最近リリースのEPも良かったです。
50.Porter Robinson「Nurture」
アメリカ出身の音楽プロデューサー、アニメやボカロなど日本発カルチャー的でめちゃ良メロディー曲が目白押しです。
以下、50枚からは外したけどどうしてもここに挙げてから年を越したいタイトル。
宮本浩次「縦横無尽」
2枚目のソロアルバム。前作は様々なミュージシャンと宮本浩次の丁々発止が痛快で、誰とやってもどう切り取っても宮本浩次らしさが燦然と輝く強烈な一枚でした。今作は全編小林武史プロデュース。バラエティは様々なもののパワフルな曲もきれいに整えられてる印象で、それこそ縦横無尽なエネルギーの発露を感じられないのでした。こんなもんじゃないでしょう。
とは言うものの「東京協奏曲」は見事に良い曲。
くるり「天才の愛」
怪曲「野球」に心かき乱され、アルバム通しての印象がよくわからんことに。でもビール飲みながらまた聞きたくなります。(祝ヤクルト日本一!)。
以上になります。
これらからの推し曲をまとめたプレイリストも、どうぞお聞きください。もし何らかの発見に繋がったなら嬉しいことです。
毎年豊作と言ってますが、今年も満足行く実りでした。
また来年も素敵な作品に出会えることを期待しています。
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