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それは何かの役に立つのですか?
先日FP一級を持つ方とお話する機会があった。私と同年代か、少し上かな?ぐらいのおじさん。
お金のことはもとより、歴史にも精通されていてお話がとても面白い。
話の合間に
「FP一級を取るのは難しいんでしょうね。勉強は大変でしたか?」
と聞くと、
「やはり一級となると難しいし大変でしたね。でも今の仕事に役立っていますよ。仕事の全貌が見えるようになったというか。」
という答えが返ってきた。
さもありなん。
彼の仕事は銀行員だ。
今は後輩たちの資格取得を応援する立場にあるそうで
「資格は二週間前が勝負ですよ。ここで頑張るとグッと合格率があがります。一発勝負がいい。何度も受けると合格率って下がるんです。」
なるほど。二週間前ね。
と、私は自分が受ける世界遺産検定を思い浮かべる。
「みずたまさんは何か資格取得の勉強をされてますか?」
あら、やぶ蛇だった。
私は言うべきか、言わざるべきか躊躇する。FP一級はそれは実用的な資格だけど、世界遺産検定は…ねぇ?
とはいえ、嘘をつくのはためらわれたため、
「私は世界遺産検定の勉強を少々…」
なんだかお見合いみたいな雰囲気になってきた。
ご趣味は?と聞かれて「お琴を少々。」とか「裏千家を少々。」みたいな。
私が口ごもりながら言うと
「世界遺産検定?それは何かの役に立つんですか?」
とおじさんが言った。
英作文のように聞こえた。
Is it of any use?
ほほう?
役に立つか、立たないか?か。
「いえ、何の役にも立ちませんね~。」
とにっこり笑いながら言った。
私も若い時は血気盛んであったため、役に立つか立たないか、で判断することも多くあった。
でも今はそういう役に立たないものがココロオドり、楽しかったり、人生を豊かにしてくれると気づいてしまったのだ。
そして一見なんの役にも立たなさそうなことが、回り回って役に立ったりすることも私は知っている。
もちろん役に立つことをやるのもいい。
だけど、そればっかりだと疲れちゃわないかい?
うん、年をとるのも意外と悪くないかもしれないな。
今朝明るい場所でシミがまた増えた…とボヤいたことは帳消し…にはならないけど。
私は今日もなんの役にも立たない世界遺産の本を見て喜んでいる。
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