『安倍晴明「闇」の伝承』読後感想
著 小松和彦さん
桜桃書房
図書館をふらふらして、タイトルだけ見て何となく手にとった本。
思えば、ホラーだ怪談だオカルトだとその辺の本は好きなのに、陰陽道は通っていなかったんですよね。かといって安倍晴明をまったく知らないかと言われたらそんなこともないんですが。
多分、今まで読んだ本にもちらちらと出てきていたんだと思います。
イケメン超能力者で犬夜叉みたいな赤白の格好をしてるイメージがうっすらあるんですが、理由は分かりません。
なんとな〜くのイメージなのか、どっかで何かのアニメのサムネとかを見たのか……(アニメなら絶対イケメンに描かれてますしね)
そして、読んでとりあえず、安倍晴明とは誰なのかがちゃんと分かりました。
実在の人物で、時は平安、藤原氏全盛期の頃に道長の「呪的ボディーガード」なるポジションにいた、超長生きの生え抜き陰陽師、賀茂保憲らに師事し、弟子(?)に芦屋道満をもっていたとのこと。
道満と晴明はライバル関係だと勝手に思っていたんですけど、箱の中身を当てるゲームに晴明が勝ち、それで道満が晴明のもとに下った、というのが史実みたいですね。
道満はちゃんと箱の中身を当てたのに、晴明がそれを何らかの術で鼠に変えていた……と。
そんなことして恨まれてないの? と思ったんですが、案の定恨まれており、晴明の唐での修行中に、道満は晴明の妻とねんごろになることで秘伝の書である「金烏玉兎集」を密かに書き写して「自分も夢で授かったのだ」と晴明に言うんですよね。そして「お前が持っているわけがない!」と言い張った晴明の前に写しを突き出して、晴明の立場を不利にし、首を斬られて死ぬ……。
「え、死んだんだけど」
とギリギリ声を出さずに耐えましたが、死んだやん……と思いながら読み進めました。
唐で晴明に物を教えていた人が蘇らせてくれたみたいです。(んな簡単に……)
安倍晴明紹介が終わったら、あとは
・安倍晴明の無双が書かれた話の紹介
・陰陽道の成り立ちと現代に残るいざなぎ村
・陰陽道はいかにして人々の心を掴んだか
このあたりまでが安倍晴明の話でしたね。
後半は、上で紹介した話たちの分類であったり、どう読み解くことができるか、という話であったりで大学の文学の講義を思い出しました。
読んでる最中はなるほど〜と思いながら読んでたんですが、メモを取らなかったので詳細は書けないですね……神だの異類だのは好きなので面白かったです。
狐に化かされるエピソードがかなり多く紹介されていたのですが、安倍晴明の母親が狐(信太の神)という説があるそうで、これも興味深かったです。
狐と人間で子を成すと、その子が英雄になる、という書き口が多かったですが、まあ人間に化けて子を成せるレベルの狐なら確かに霊力はすごそうですものね。
最近離れてましたが、物語小説以外の民俗学、人文チックな本もまたたくさん読みたくなりました。
あと、帝都物語とか陰陽師の本やらアニメやらも、結構名前が出てきていて気になったのでそのうち見ようと思いました。脳内晴明のイメージを確定させたい。
(式のイメージはゴーストハントのアニメでリンさんが出してたもので確定してますが、もしかしたら覆されるのかも?)
引っ越した先が大きな図書館の近くだったので、たくさん通えるといいな〜。