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算命学余話 #U36玄「鑑定者の適性と心得」/バックナンバー

 地球の人口は現在66億程度ですが、そのうちの12億が飢えているそうです。一方で日本の食糧の1/3は廃棄されており、この廃棄分を飢えている人たちに回せたら随分助かるのに、そうはなっていない。物理的に不可能なのだろうか、それとも知恵や、何よりやる気が足りないだけ?
 人類の1/5が飢えているというのに、ほんの一握りの大富豪が豪華客船に乗って着飾って飲み食いしている。ワンルーム・マンション程度の狭さの一番安い船室の販売価格は1億円。それだけあったら陸上で豪邸が買えるのに何でわざわざ海上に必要なのと庶民は思うが、彼らは金銭感覚が麻痺しているらしく、おかしいとは思わない。慣れとは恐ろしい。我々も福島原発の汚染水洩れが日常茶飯事になり、感覚が麻痺してその深刻さを日々感じなくなってきている。慣れとは恐ろしい。

 ともあれ豪華客船で飲み食いできる人間を更に金持ちにする仕組みが現代社会のシステムとするなら、そうではなく、飢えてる12億人が自立してそこそこ快適に生きられるよう富を分配するシステムを目指したい、と語るのは認知科学者の苫米地英人で、最近当ブログでもその発言をちらちら紹介しておりますが、彼の専門や思想は一見すると一番遠い関係にあるような算命学の、占いとしての側面よりは思想としての側面に妙に通底するところがあり、私は注目しております。
 マスメディアに疎い私が苫米地氏を知ったのは、あぶないローカルテレビ局TOKYO MXで、この局は台本なしの際どい本音トークを生放送を武器にたれ流して一部の東京人に支持されている、スポンサーに逃げられてばかりなのも敢えて隠さない、貧乏を隠さない、江戸っ子らしい潔さが光る東京名物なのです。スポンサーが逃げるということは、スポンサーに首根っこを押さえられていないということなので、自由に番組を制作できるのですが、苫米地氏は最近ここの深夜枠を月一で使ってCMなしの独りトーク番組に出演し、その専門である認知科学やコーチングについて判り易く解説してくれています。CMがないので勿論スポンサーもなく自腹。だからどこの企業にも業界にもおもねる必要がなく、伝えたい本音を自由に語っている。内容が詰まっているので30分もあっという間。私も楽しく視聴しています。

 最近の回では彼の提唱するコーチングが、なにしろ著書が多数出版されているので支持者や実践者も増えているが、どうも世に間違った解釈をされているらしいのでここらではっきり正したい、とコーチングの定義やその誤った解釈との見分け方を伝授。それによれば、コーチングとはマインドつまり意識の向上を目指しているため、コーチする側はコーチされる側に助言してはならないという。助言すれば答えは簡単に見つけられるようになるが、それでは答えを見つける技術を磨くだけで、意識の向上には繋がらず、却って逆効果になる。コーチされる側はあくまでも自力でその域に到達しなければならず、コーチはそれを見守ってサポートはするが、答えを導くようなアクションをしてはならない。
 ちょっと判りにくいかもしれないし、私の理解も深いものではないですが、算命学と通底すると感じたのは、鑑定者は依頼人にああしろこうしろとは決して言わないということです。宿命を算出し、持って生まれた性質や得手不得手をあぶり出しますが、それをそのまま伝えるか、せいぜい依頼人の目下の悩みについて幾つか解決法を提示する程度です。その解決法も、具体的に何をしろというものではなく、こういう風に考え方を変えると見える物も違ってくるし、悩みのウエイトも分散される、といった意識の改善を促す種類のものが主流だし、それが正しい助言の仕方です。
 具体的な助言もしようと思えばできますが、それでは眼前の問題1つだけを解決するにすぎず、別の問題が生じた時に依頼人は再び助言を請わなければならない。一過性の解決ではその後の対処に活かされないので、それよりは意識を変えさせた方が本人の自立に役に立つ。人間は、どうしても人の助けが必要である非常な場合を除いては、自立し自力で解決する術を身につけているのが正しい大人の姿なのです。

 以上を踏まえた上で、今回の余話のテーマは鑑定者の心構えについてです。これまでに土星の裏側を訪ねてこられた方の中には、自分も算命学の易者になりたいが適性はあるか、といった相談を寄せられる方も多く、その都度当人の宿命を見て相応の回答をしてきましたが、はっきり言ってこの宿命の型だと適性があるとか、こうだからダメとかいう理論はほとんどなく、ではどこを見ているかというと、その人の人間の仕上がり具合と宿命とのバランスを見て判断しているのです。
 いくら宿命が適性ありと明示していても、本人がその特性を磨く生き方をして来なかったなら、せっかくの能力も発揮できません。ある占いサイトでは、占い師の適性について「人生経験が豊富な事。ぬるま湯に浸かったような年月を過ごしてきた人に適性はない」とずばり掲示していましたが、算命学も同じ立場です。鑑定者は技術だけでは成り立たない。では鑑定者とは一体何なのか。
 今回はその活動の意義について考えてみますが、鑑定者を目指す人向けなので恒例の玄人価格です。鑑定技術を開示する内容ではないので、予めご了承下さい。

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