“がまんしない”の実験
BUMP OF CHICKENの「スノースマイル」っていう歌は
冬が寒くて本当に良かった
君の冷えた左手を
僕の右ポケットにお招きする為の
この上ない程の 理由になるから
BUMP OF CHIKEN「スノースマイル」
という歌詞で始まるけれど、私は藤原基央さんと違い、ずっと寒い冬が苦手だった。筋肉量が少ないのか寒さに弱い。冷たい水とかほんとダメ。学生の頃は3学期になると自分の性格が変わったようにネガティブになって、ときどきずる休みもたぶんしてたと思う。3学期の自分のことが嫌いで、春休みを経て新学期が始まるといつもの自分が戻ってきて安心した。
大人になってもずっと冬が苦手だったけれど、ここ最近は少しずつ苦手の度合いが薄くなってきている気がする。朝洗濯ものを干した後、部屋に入った瞬間の暖かさにホッとしたり、ヒートテック的なものをちゃんと着て、貼るカイロを貼ってたくさん重ね着すれば案外大丈夫なことを知って、冬の晴れた日の光の美しさに地味に感動したり、寒くて曇っていてどんよりした日も、家の暖かさや明るさに幸せを感じたりしてる。
寒くないってメンタルと結構密接につながってる。昔はどうして重ね着をしなかったんだろう。洗濯ものを干すときも、寒さをがまんしたくないからコートを着て首にはふわふわのファーマフラーを巻いて、時々はキャップも被って干すようにしたら全然大丈夫。
たぶん私が冬の苦手を少しずつ克服しつつあるきっかけのひとつは、「がまんしない」ってことかもしれない。
頑張る、がまんするっていうことを最近特に意識的にやめている。他の誰かが私のことを見て、いやいやまだまだ頑張りが足りない、って思うかどうかは知らないけど、私はもう十分頑張った。一生分の頑張りやがまんを使い果たしたよ。と思うことにした。好きなことは頑張ったりがまんしたりせずにいくらでも果てしなくできる。
だからやりたくないことはやらない。やりたいことは即答できなくてもやりたくないことって即答できる。やりたくないことリストはすらすら書ける。すごくやりたいってわけではないけれどやりたくないわけじゃないことは、自分の中の保留フォルダに入れてひとまずやってみる。やってみてなんか違うなって思ったらやらない、丁重に断る、素早く逃げる。やりたくないことをしないで生きていけるための実験を今してるんだと思う。
代官山から駒沢方面に駒沢通りを散歩していると、何度となく、なんてきれいな光なんだろう、空なんだろう、と感じることが多くなった。空気が澄んでいる冬だからこそ見える景色。私は光にも空にも全然気づいてなかった。顔を少し上げたら冬の宝物はいつもそこにあった。