「もういい大人だから」の呪縛
自分は歳を取ることをポジティブに捉えている方だと思っていた。
自分より年上で素敵な方々をインスタグラムなどで日々たくさん見ていて、こんな風に歳を重ねるっていいなとよく感じているし、自分自身を振り返っても昔よりは今の方が確実に楽に生きられているから。
だけど知らず知らずのうちに、自分自身に対して「もう歳だから、いい大人だから」と思っていろんなことに対して保守的になっていたのかもしれないな、と昨日気がついた。
39歳になった途端、40代の気分
私は直近1年半くらい、ある制作会社で働いていて、同じ部署のメンバーは圧倒的に自分より年下で、また髪の毛の色からファッションまでかなりエッジの効いた子たちが多かった。
私は年齢的にだいぶ上の方だし仕事のキャリアもあるし、会社からも下の子たちを育ててほしいと言われて入社したこともあり、無意識のうちに、ちゃんとしなきゃ!と自分自身にプレッシャーを与えていたような気がする。100%、対クライアントの仕事内容でもあったので、前に出る立場としての責任感ももちろんあった。
上司からの「若い子たちをマネージメントしてほしい」という言葉を重く受け止めすぎていたのか、会社に入ったばかりの頃は悩んで、自分は性格的に上に立ってマネージメントするタイプではないし、マネージメントと言われても正直自信がない、とカウンセラーの方に相談をしたこともあった。(その後は単純に忙しくなりすぎて悩むどころじゃなくなったけど笑)
以前からファッションは割とコンサバなものが好きだったけれど、コンサバ=保守的の分量が自分の中で多くなりすぎていたのかも。5月に39歳になった途端、もうすっかり40代の気分になって、気がつけば「もういい大人だから」が口癖になっていた。
白髪染めをやめてみたら
ここ1年くらいで悲しいことに白髪がすごく増えて、今まで自分の髪の毛のことはずっと好きだったのに、初めて自分の髪がちょっと嫌になった。白髪染めを2回くらいしてみたけれど薬剤がやや強かったのか頭痛がしたり、元々の髪の毛の柔らかさがなくなる気もしていた。
あるとき美容師さんから「ヘナで染めてみる?うちでは色はブラックしか選べなくなっちゃうけど白髪染めよりは頭皮にダメージはないよ」と提案されて、ヘナで染めてみることにした。
(1時間くらいで染まったので、おそらく100%純粋なヘナではないとは思う)
ヘナは白髪染めのようなケミカルな刺激はなくて、真っ黒に染まった髪も、あえておしゃれでブラックにしてる感じで、まあ悪くないかなと思ってた。カラーリングもさんざんしたし、今さらしてみたい髪色なんてないし。大人だし落ち着いた感じでいきたいし…。
私はこれからは黒髪の人になるんだ!とこんな風に思い込もうとしていたのかもしれない。でも「黒髪いいですね」と周りの人に言われるたびに、「ポジティブな理由で黒くしてるわけではないんです」となぜか律儀に説明をしていたから、心のどこかでは納得していなかったのかな。
そして黒髪の人で生きていくことを選んだはずなのに、正直なところ数ヶ月経ったらやっぱり黒髪に飽きてきてしまった。
電車のホームで明るくカラーリングした人を見かけると羨ましく思っている自分に気がついて、あ、私こんなに髪の毛明るくしたいんだなと気がついたり。
一度ヘナで染めてしまうとヘナを落とすことはできないと聞いていたけれどダメもとで「ヘナで染めちゃってるからもう明るくできないんですよね…?」と先月美容院に行ったタイミングで美容師さんに聞いてみた。
そしたら強めのブリーチをしてからカラーをすれば明るくカラーリングできるとのこと。思い切ってブリーチをした。カラーリング代はいつもの2倍かかったけれど、久しぶりに髪の毛の色を明るくしたらびっくりするほど気分が明るくなった。
髪が明るくなったら明るい服が着たくなって、最近は古着のカラフルなニットやピンクのコンバースをよく履いている。ジーンズもベーシックな501ではなくて少し癖のあるフレアデニムを選ぶことの方が多い。
お気に入りの白いニットも今年は大きな襟付きの柄のブラウスを合わせたりしてコンサバに着ない方が今の気分にしっくりきている。
ひとさじのお砂糖が必要だったのは
昨日は新宿の伊勢丹でやっているPOTETEというヘアアクセサリーブランドのPOP UPショップに行き、お風呂上がりに使うヘアタオルを買ったらすごくよくて頭に巻いた見た目も可愛くて、今日も行って色違いを買った。それからデイジーのような花が並んだ小ぶりのピンのセットも買った。
家に帰ったら真っ先に鏡の前でピンを付けてみた。自分で言うのも変だけどすごく可愛くてワクワクして、POTETEのピンを髪に付けることを自分に許した。
たぶんもっと若い子向けのブランドだし、私はショートヘアだしいい歳だし、花のついたピンを頭につけるなんて……と諦めていた自分に気づいて、それでこのnoteを書こうと思った。
「もういい大人だから」という呪いの言葉を私にかけていたのは私だった。
自分が一番チヤホヤされていた20代の頃の自分を引きずって時代が止まっているような痛いおばさんにはもちろんなりたくないけれど、歳だからって心がときめくものを諦める必要はないんだ。
私は基本的にはベーシックなものやシンプルなものが好きだけど、そういうベースにひとさじのポップさやノスタルジックさが混ざった、ほんの少しだけ毒のある世界観が一番好きなんだった。
お砂糖ひとさじの「お砂糖」が一番必要なのは、私自身だったのだ。